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「あたしが勝手なことしてたのはわかってる、早くアオくんとコーキがくっつけばいいなんて、自分のことばっかりだって」
「そんな」
「ううん、自分勝手なの、勝手に赦されたいって思ってるだけだし、ふたりがしあわせになったら、あたしもふっきれるんだって、物語とは関係ないとこにいけるんだろうなって」
「あ……」
そうかもしれない、お姫様は人魚姫と王子様に巻き込まれただけとも取れる。
だから謝るのは僕な気もする、けど。
「はあ……すっきりしたあ」
「そう?」
「こんな前世がどうのこうのなんて誰にも言えないもん、頭おかしくなったと思われちゃう」
「はは、確かに」
「ねえアオくんはいつ気付いた?自分が人魚姫だって」
「え、っと、うん、あの、中学の時……引っ越してきて、そこで皇輝をみて、思い出した」
「あーね、それでアオくんは思い出したのに、コーキは気付かなかったんだ、前世も今も鈍い男なのねー」
「ふっ」
「アオくんはこんなにかわいいのにねー、まあかわいいから前世関係なくコーキもすきになったんだろうけど。あ、顔だけの話じゃないんだけどさあ」
男子とは違う弄り方に、戸惑う。女子だからというか、佐倉の性格というか。
でも不思議と馬鹿にされてるとか、不快の気持ちはなくて、なんだろうな、お姫様に優しくされたのを思い出して、悪い気がしない。
あの時代だったから堅苦しかったけど、今ならこうやって楽しく話が出来たんだろうな。
「佐倉はなんで気付いたの?高校?」
「あー、あたし?あたしはねえ、実は中学の時、コーキと塾一緒でさ、少し話はしたことあるけど、どこ受けるなんて知らなかったから高校一緒なのびっくりして。それで会った時に、同じ高校じゃん!って話してたらそこでアオくんが来てさ」
「あった気がする」
「その時にあっ!て気付いたんだよね、家に帰ってからめっちゃくちゃ頭の中整理しちゃった」
「えっ、その時は僕なんも思わなかったや」
「だってアオくん、あたしと目ェあわさなかったでしょ、まああたしは気付いたんだけどね~、ってこれなんのマウントだろ、あはは」
飲み切ったいちごミルクのパックを丁寧に潰して、喉渇いちゃった、と呟いて佐倉は立ち上がった。
「もうそろそろ授業終わるかな」
「うん」
「ま、そんな訳でさ、あたしとも仲良くしてくれたら嬉しいなって」
「……それは、まあ……騒がれそうだけど」
「先に話出来て良かった、コーキが話しても勘違いしないでね、絶対コーキ、言葉足りないし、前世のこと思い出してないしさ」
まあ何か訊きたいことあったら訊いてよ、と僕に手を伸ばす。
握手か?と思って手を握ると、違うよおと笑われてしまう。
もしや僕を起こそうとしたのか、流石に女子にそれをされる訳には……
「教室帰る前にお茶買いにいこー」
「うん」
「もういちごミルク買うことないかな」
「僕も」
「美味しいは美味しいんだけどね~」
自力で立ち上がって佐倉の隣に並ぶ。
そういえば王子様は人魚姫と似てたお姫様をすきになったんだよな、ということは僕と佐倉は……うん、似てないな。
そもそも人魚姫だった時と比べると僕は性別も違うし。
「佐倉」
「うん?」
「僕も、佐倉が先に進む為に出来ることがあるなら手伝いたい」
「……うん、よろしく」
長い髪が揺れる。少し懐かしさを感じた。
正直まだ少し妬いてる。けど、佐倉のことは信じた。
自分でもちょろいと思うけど、だって信じたいじゃん、前世の仲間みたいなもんだし。
◇◇◇
「帰るぞ」
「えっ」
「なんでびっくりするんだよ、話するって言ったろ」
「するけど!部活!」
「この状態でもプールに入りたがるお前がこわいわ」
「ちょっとだけ!ちょっとだけだから!ねっ」
「……お前はァ」
呆れる皇輝の言葉を背中に部室へ走る。
ごめん、こればっかりは譲れない。皇輝のことだいすきだけど、どうしても水に浸かりたい。
さっさと着替えて、怒られるので軽く準備運動をして、プールに飛び込む。
ほんの少し、温くなったプールが気持ちいい。
端っこのレーンでひとりぼーっと浮かぶ。
偶にビート板を抱えて、濡れないよう袋に入れたスマホを弄ることがある。それを見た後輩に付けられた渾名がラッコ先輩だ。
すきなように呼ぶがいい、僕はこの時間がしあわせだから、別にそう呼ばれるくらいは構わない。
「今日は何時間浮かぶおつもりで?」
「うーん、あとにじかんくらい」
「馬鹿、下校時間過ぎるわ」
溜息を吐きながら悪態を吐く皇輝ににんまりしてしまう。
馬鹿って言ったって僕のこと、すきなんでしょ、って。
昨日のあの、焦ったような顔が忘れられない。キスしたら我慢出来なくなるって。
我慢って。こないだしたみたいなやつのこと?もっと?もっとってどんなすごいことが?
いやいやいや今はそんなこと考えるな、水着だぞ、反応してしまったらどうする、少ないとはいえ一応部活に出てる後輩もいるんだぞ。
えっちなことじゃなくて、そう、今日どんな話をするのかな、とか……
うん、そうそう。
佐倉の話は聞いたけど、皇輝は前世を覚えてない訳で、つまり関係ない話があるっていうことだよな。
どういうことだろう。
昨日までなら不安になってたことだろうが、今日の僕は違うのだ、だって皇輝からすきって言葉を引き出したからね、自信を持っていい筈だ。
多分。
「そんな」
「ううん、自分勝手なの、勝手に赦されたいって思ってるだけだし、ふたりがしあわせになったら、あたしもふっきれるんだって、物語とは関係ないとこにいけるんだろうなって」
「あ……」
そうかもしれない、お姫様は人魚姫と王子様に巻き込まれただけとも取れる。
だから謝るのは僕な気もする、けど。
「はあ……すっきりしたあ」
「そう?」
「こんな前世がどうのこうのなんて誰にも言えないもん、頭おかしくなったと思われちゃう」
「はは、確かに」
「ねえアオくんはいつ気付いた?自分が人魚姫だって」
「え、っと、うん、あの、中学の時……引っ越してきて、そこで皇輝をみて、思い出した」
「あーね、それでアオくんは思い出したのに、コーキは気付かなかったんだ、前世も今も鈍い男なのねー」
「ふっ」
「アオくんはこんなにかわいいのにねー、まあかわいいから前世関係なくコーキもすきになったんだろうけど。あ、顔だけの話じゃないんだけどさあ」
男子とは違う弄り方に、戸惑う。女子だからというか、佐倉の性格というか。
でも不思議と馬鹿にされてるとか、不快の気持ちはなくて、なんだろうな、お姫様に優しくされたのを思い出して、悪い気がしない。
あの時代だったから堅苦しかったけど、今ならこうやって楽しく話が出来たんだろうな。
「佐倉はなんで気付いたの?高校?」
「あー、あたし?あたしはねえ、実は中学の時、コーキと塾一緒でさ、少し話はしたことあるけど、どこ受けるなんて知らなかったから高校一緒なのびっくりして。それで会った時に、同じ高校じゃん!って話してたらそこでアオくんが来てさ」
「あった気がする」
「その時にあっ!て気付いたんだよね、家に帰ってからめっちゃくちゃ頭の中整理しちゃった」
「えっ、その時は僕なんも思わなかったや」
「だってアオくん、あたしと目ェあわさなかったでしょ、まああたしは気付いたんだけどね~、ってこれなんのマウントだろ、あはは」
飲み切ったいちごミルクのパックを丁寧に潰して、喉渇いちゃった、と呟いて佐倉は立ち上がった。
「もうそろそろ授業終わるかな」
「うん」
「ま、そんな訳でさ、あたしとも仲良くしてくれたら嬉しいなって」
「……それは、まあ……騒がれそうだけど」
「先に話出来て良かった、コーキが話しても勘違いしないでね、絶対コーキ、言葉足りないし、前世のこと思い出してないしさ」
まあ何か訊きたいことあったら訊いてよ、と僕に手を伸ばす。
握手か?と思って手を握ると、違うよおと笑われてしまう。
もしや僕を起こそうとしたのか、流石に女子にそれをされる訳には……
「教室帰る前にお茶買いにいこー」
「うん」
「もういちごミルク買うことないかな」
「僕も」
「美味しいは美味しいんだけどね~」
自力で立ち上がって佐倉の隣に並ぶ。
そういえば王子様は人魚姫と似てたお姫様をすきになったんだよな、ということは僕と佐倉は……うん、似てないな。
そもそも人魚姫だった時と比べると僕は性別も違うし。
「佐倉」
「うん?」
「僕も、佐倉が先に進む為に出来ることがあるなら手伝いたい」
「……うん、よろしく」
長い髪が揺れる。少し懐かしさを感じた。
正直まだ少し妬いてる。けど、佐倉のことは信じた。
自分でもちょろいと思うけど、だって信じたいじゃん、前世の仲間みたいなもんだし。
◇◇◇
「帰るぞ」
「えっ」
「なんでびっくりするんだよ、話するって言ったろ」
「するけど!部活!」
「この状態でもプールに入りたがるお前がこわいわ」
「ちょっとだけ!ちょっとだけだから!ねっ」
「……お前はァ」
呆れる皇輝の言葉を背中に部室へ走る。
ごめん、こればっかりは譲れない。皇輝のことだいすきだけど、どうしても水に浸かりたい。
さっさと着替えて、怒られるので軽く準備運動をして、プールに飛び込む。
ほんの少し、温くなったプールが気持ちいい。
端っこのレーンでひとりぼーっと浮かぶ。
偶にビート板を抱えて、濡れないよう袋に入れたスマホを弄ることがある。それを見た後輩に付けられた渾名がラッコ先輩だ。
すきなように呼ぶがいい、僕はこの時間がしあわせだから、別にそう呼ばれるくらいは構わない。
「今日は何時間浮かぶおつもりで?」
「うーん、あとにじかんくらい」
「馬鹿、下校時間過ぎるわ」
溜息を吐きながら悪態を吐く皇輝ににんまりしてしまう。
馬鹿って言ったって僕のこと、すきなんでしょ、って。
昨日のあの、焦ったような顔が忘れられない。キスしたら我慢出来なくなるって。
我慢って。こないだしたみたいなやつのこと?もっと?もっとってどんなすごいことが?
いやいやいや今はそんなこと考えるな、水着だぞ、反応してしまったらどうする、少ないとはいえ一応部活に出てる後輩もいるんだぞ。
えっちなことじゃなくて、そう、今日どんな話をするのかな、とか……
うん、そうそう。
佐倉の話は聞いたけど、皇輝は前世を覚えてない訳で、つまり関係ない話があるっていうことだよな。
どういうことだろう。
昨日までなら不安になってたことだろうが、今日の僕は違うのだ、だって皇輝からすきって言葉を引き出したからね、自信を持っていい筈だ。
多分。
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