113 / 124
7
113*
しおりを挟む
実際、どこもかしこも悠真さんのにおいがして堪らない。
頭がばかになってしまいそうなくらい、甘くてくらくらして、蕩けそうで、でもふわふわして、しあわせ。
だってずっと足んなかった。
悠真さんがうちに来てくれたって、どれだけ近くにいたって、車の方がにおいがするなって思うくらいだった。
この家全部が悠真さんのにおいがして、大きな巣みたいだ。家なんだからそのままその意味通り、当然ではあるんだけど。
勿論悠真さんの服はまだ欲しくて、包まれたいっていう欲求はあるんだけど、おれの家よりもこの家の方が落ち着いてしまうくらい、悠真さんのにおいが溢れててしあわせ。
「今日の和音、すぐトんじゃいそう」
「んぇ……」
「もっと話したいけど……でもヒート中だもんね、こっちが優先だ」
「んッ……ん、う!」
胸元をそっと指の腹で潰して、また腫れちゃってる、と呟く。
自分じゃ加減出来ない?と訊かれて頷くと、次からは俺が触ってあげるね、と言われて、腰が揺れてしまった。
お腹がきゅう、とした。
……そうか、もうひとりでしなくても、悠真さん、おれの発情期にあわせて休暇を取ってくれるんだ。
多分、丸々一緒にいてくれるから、自分で慰める必要もなくなるってこと。
「痛い?」
「んっ、い、いたいぃ……」
「後で薬塗ったげる。暫くこっちは触らないでおこうね」
「うん……っひあ!」
触らないでおこうね、なんて言った口でぺろっと舐めたりするから。
変な声、出た。
なのに悠真さんはにこにこしている。……引かないんだ?
「もー……和音が何したってかわいくて。嬉しい」
「……嬉しい?」
「嬉しいよ、だってやっとこうやって……ちゃんと和音といていいんだと思ったら、なんか……にやけちゃって、かお、戻んないかも」
「……」
にこにこじゃないんだ、それ、にやけてるんだ?
近くでその表情が見たくて、腕を着いて上半身を起こした。
それを悠真さんは違う意味で取ったのだろう、ちゅう、と軽いキス。
……それだって欲しかったし、嬉しいけど。
悠真さんの頬に触れて、じいと瞳を覗いて、でも恥ずかしくなって先に逸らしてしまうのは自分。
誤魔化すように頬を首元に寄せた。
……やっぱりここ、においが強い気がする。
強いにおいをかいでしまえば、猫がまたたびを与えられたように酔ってしまう。
元々この部屋のにおいにくらくらしていたというのに。
「ゆうましゃ……さ、ん」
「うん?」
「も、おなか、っ、あつい……!」
「……挿入れてほしい?」
「んゔ……」
耳元と頬にキス。
自分から抱き着いてしまったから、離れないと悠真さんも動くことは出来ないのに、腕を離すことが出来なかった。
甘えたり我儘を言う権利があるとわかったらこれだ、心を開いたひとにはすぐ甘ったれてしまう。
「……昨日はナカに挿入れたのは指だけ?」
「ンっ、ん~……」
「じゃあ少し慣らしておこうか、奥の方」
「ん、あ、う……ゔッ、ぁ、んっ」
ゆっくりと悠真さんの指がナカに挿入ってくる。自分の指じゃ届かないとこまで。
いつも慣らさなくてももいいって言うのに、悠真さんは必ず指で慣らす。少しだって痛い思いをさせたくないと。
……でもおれはその指だって気持ちよくて、でもすぐに足りなくなっちゃって、早く挿入れてって、そればっかりになっちゃうんだけど。
慣らさなくたって、痛いのも一瞬だと思うけど。
「和音……」
「ん、ン、っう、ん……うぐ」
悠真さんはおれの首元に触れるのがすきだと思う。
おれをひっくり返したりまではしないんだけど、こうやって首元が近いと、首筋や噛み痕を舐めたり触れたりする。
確かめてるのかな、その痕が消えたりしてないか。
おれが悠真さんの首元のにおいにくらくらするように、悠真さんもおれのにおいにくらくらしてくれるだろうか。
おれのにおいに夢中になってくれるだろうか。
「も、ッいい、ゆびっ、もういいからっ……」
堪え性がないのもわかってる。
でもこの躰で我慢しろっていう方がきつい。
早くしてほしくて、誘う意味を込めて悠真さんの頬にキスをすると、驚いた表情をして、それから嬉しそうにはにかんだ。
……なにそれ、かわいい。
悠真さんの短くなった髪を撫でる。
前の髪型も格好良かったけど、これくらいも爽やかでいい。いいな、どんな髪型でも、すき、似合ってる。
でもちょっと、いじわるな笑い方は似合わないかな。今の嬉しそうな笑顔の方が合う。
どんな悠真さんだってもう構わないけど。
「……かわいいなあ、和音」
「え」
「和音は笑ってる時がいちばんかわいい」
「……笑ってた?おれ」
「うん、ごめんね、ずっと笑えない状態にしてて」
「んっ」
本当は、頬への流れで唇にもキスをしようと思ったのだけれど、おれが悠真さんの笑顔に見惚れてしまったのと、またベッドに倒されたのとで距離が出来てしまった。
自分で早くと強請っておきながら性急だな、とも思う。
いつもより愛撫が少ないから。それを望んでる訳ではなくて、寧ろ、求められてるようで嬉しかった。
悠真さんだって我慢をしていたのだと、おれがほしかったんだと、態度から、表情からわかるのが愛おしかった。
頭がばかになってしまいそうなくらい、甘くてくらくらして、蕩けそうで、でもふわふわして、しあわせ。
だってずっと足んなかった。
悠真さんがうちに来てくれたって、どれだけ近くにいたって、車の方がにおいがするなって思うくらいだった。
この家全部が悠真さんのにおいがして、大きな巣みたいだ。家なんだからそのままその意味通り、当然ではあるんだけど。
勿論悠真さんの服はまだ欲しくて、包まれたいっていう欲求はあるんだけど、おれの家よりもこの家の方が落ち着いてしまうくらい、悠真さんのにおいが溢れててしあわせ。
「今日の和音、すぐトんじゃいそう」
「んぇ……」
「もっと話したいけど……でもヒート中だもんね、こっちが優先だ」
「んッ……ん、う!」
胸元をそっと指の腹で潰して、また腫れちゃってる、と呟く。
自分じゃ加減出来ない?と訊かれて頷くと、次からは俺が触ってあげるね、と言われて、腰が揺れてしまった。
お腹がきゅう、とした。
……そうか、もうひとりでしなくても、悠真さん、おれの発情期にあわせて休暇を取ってくれるんだ。
多分、丸々一緒にいてくれるから、自分で慰める必要もなくなるってこと。
「痛い?」
「んっ、い、いたいぃ……」
「後で薬塗ったげる。暫くこっちは触らないでおこうね」
「うん……っひあ!」
触らないでおこうね、なんて言った口でぺろっと舐めたりするから。
変な声、出た。
なのに悠真さんはにこにこしている。……引かないんだ?
「もー……和音が何したってかわいくて。嬉しい」
「……嬉しい?」
「嬉しいよ、だってやっとこうやって……ちゃんと和音といていいんだと思ったら、なんか……にやけちゃって、かお、戻んないかも」
「……」
にこにこじゃないんだ、それ、にやけてるんだ?
近くでその表情が見たくて、腕を着いて上半身を起こした。
それを悠真さんは違う意味で取ったのだろう、ちゅう、と軽いキス。
……それだって欲しかったし、嬉しいけど。
悠真さんの頬に触れて、じいと瞳を覗いて、でも恥ずかしくなって先に逸らしてしまうのは自分。
誤魔化すように頬を首元に寄せた。
……やっぱりここ、においが強い気がする。
強いにおいをかいでしまえば、猫がまたたびを与えられたように酔ってしまう。
元々この部屋のにおいにくらくらしていたというのに。
「ゆうましゃ……さ、ん」
「うん?」
「も、おなか、っ、あつい……!」
「……挿入れてほしい?」
「んゔ……」
耳元と頬にキス。
自分から抱き着いてしまったから、離れないと悠真さんも動くことは出来ないのに、腕を離すことが出来なかった。
甘えたり我儘を言う権利があるとわかったらこれだ、心を開いたひとにはすぐ甘ったれてしまう。
「……昨日はナカに挿入れたのは指だけ?」
「ンっ、ん~……」
「じゃあ少し慣らしておこうか、奥の方」
「ん、あ、う……ゔッ、ぁ、んっ」
ゆっくりと悠真さんの指がナカに挿入ってくる。自分の指じゃ届かないとこまで。
いつも慣らさなくてももいいって言うのに、悠真さんは必ず指で慣らす。少しだって痛い思いをさせたくないと。
……でもおれはその指だって気持ちよくて、でもすぐに足りなくなっちゃって、早く挿入れてって、そればっかりになっちゃうんだけど。
慣らさなくたって、痛いのも一瞬だと思うけど。
「和音……」
「ん、ン、っう、ん……うぐ」
悠真さんはおれの首元に触れるのがすきだと思う。
おれをひっくり返したりまではしないんだけど、こうやって首元が近いと、首筋や噛み痕を舐めたり触れたりする。
確かめてるのかな、その痕が消えたりしてないか。
おれが悠真さんの首元のにおいにくらくらするように、悠真さんもおれのにおいにくらくらしてくれるだろうか。
おれのにおいに夢中になってくれるだろうか。
「も、ッいい、ゆびっ、もういいからっ……」
堪え性がないのもわかってる。
でもこの躰で我慢しろっていう方がきつい。
早くしてほしくて、誘う意味を込めて悠真さんの頬にキスをすると、驚いた表情をして、それから嬉しそうにはにかんだ。
……なにそれ、かわいい。
悠真さんの短くなった髪を撫でる。
前の髪型も格好良かったけど、これくらいも爽やかでいい。いいな、どんな髪型でも、すき、似合ってる。
でもちょっと、いじわるな笑い方は似合わないかな。今の嬉しそうな笑顔の方が合う。
どんな悠真さんだってもう構わないけど。
「……かわいいなあ、和音」
「え」
「和音は笑ってる時がいちばんかわいい」
「……笑ってた?おれ」
「うん、ごめんね、ずっと笑えない状態にしてて」
「んっ」
本当は、頬への流れで唇にもキスをしようと思ったのだけれど、おれが悠真さんの笑顔に見惚れてしまったのと、またベッドに倒されたのとで距離が出来てしまった。
自分で早くと強請っておきながら性急だな、とも思う。
いつもより愛撫が少ないから。それを望んでる訳ではなくて、寧ろ、求められてるようで嬉しかった。
悠真さんだって我慢をしていたのだと、おれがほしかったんだと、態度から、表情からわかるのが愛おしかった。
178
あなたにおすすめの小説
愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない
了承
BL
卒業パーティー。
皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。
青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。
皇子が目を向けた、その瞬間——。
「この瞬間だと思った。」
すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。
IFストーリーあり
誤字あれば報告お願いします!
番解除した僕等の末路【完結済・短編】
藍生らぱん
BL
都市伝説だと思っていた「運命の番」に出逢った。
番になって数日後、「番解除」された事を悟った。
「番解除」されたΩは、二度と他のαと番になることができない。
けれど余命宣告を受けていた僕にとっては都合が良かった。
優秀な婚約者が去った後の世界
月樹《つき》
BL
公爵令嬢パトリシアは婚約者である王太子ラファエル様に会った瞬間、前世の記憶を思い出した。そして、ここが前世の自分が読んでいた小説『光溢れる国であなたと…』の世界で、自分は光の聖女と王太子ラファエルの恋を邪魔する悪役令嬢パトリシアだと…。
パトリシアは前世の知識もフル活用し、幼い頃からいつでも逃げ出せるよう腕を磨き、そして準備が整ったところでこちらから婚約破棄を告げ、母国を捨てた…。
このお話は捨てられた後の王太子ラファエルのお話です。
もう一度君に会えたなら、愛してると言わせてくれるだろうか
まんまる
BL
王太子であるテオバルトは、婚約者の公爵家三男のリアンを蔑ろにして、男爵令嬢のミランジュと常に行動を共にしている。
そんな時、ミランジュがリアンの差し金で酷い目にあったと泣きついて来た。
テオバルトはリアンの弁解も聞かず、一方的に責めてしまう。
そしてその日の夜、テオバルトの元に訃報が届く。
大人になりきれない王太子テオバルト×無口で一途な公爵家三男リアン
ハッピーエンドかどうかは読んでからのお楽しみという事で。
テオバルドとリアンの息子の第一王子のお話を《もう一度君に会えたなら~2》として上げました。
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
殿下に婚約終了と言われたので城を出ようとしたら、何かおかしいんですが!?
krm
BL
「俺達の婚約は今日で終わりにする」
突然の婚約終了宣言。心がぐしゃぐしゃになった僕は、荷物を抱えて城を出る決意をした。
なのに、何故か殿下が追いかけてきて――いやいやいや、どういうこと!?
全力すれ違いラブコメファンタジーBL!
支部の企画投稿用に書いたショートショートです。前後編二話完結です。
運命じゃない人
万里
BL
旭は、7年間連れ添った相手から突然別れを告げられる。「運命の番に出会ったんだ」と語る彼の言葉は、旭の心を深く傷つけた。積み重ねた日々も未来の約束も、その一言で崩れ去り、番を解消される。残された部屋には彼の痕跡はなく、孤独と喪失感だけが残った。
理解しようと努めるも、涙は止まらず、食事も眠りもままならない。やがて「番に捨てられたΩは死ぬ」という言葉が頭を支配し、旭は絶望の中で自らの手首を切る。意識が遠のき、次に目覚めたのは病院のベッドの上だった。
【bl】砕かれた誇り
perari
BL
アルファの幼馴染と淫らに絡んだあと、彼は医者を呼んで、私の印を消させた。
「来月結婚するんだ。君に誤解はさせたくない。」
「あいつは嫉妬深い。泣かせるわけにはいかない。」
「君ももう年頃の残り物のオメガだろ? 俺の印をつけたまま、他のアルファとお見合いするなんてありえない。」
彼は冷たく、けれどどこか薄情な笑みを浮かべながら、一枚の小切手を私に投げ渡す。
「長い間、俺に従ってきたんだから、君を傷つけたりはしない。」
「結婚の日には招待状を送る。必ず来て、席につけよ。」
---
いくつかのコメントを拝見し、大変申し訳なく思っております。
私は現在日本語を勉強しており、この文章はAI作品ではありませんが、
一部に翻訳ソフトを使用しています。
もし読んでくださる中で日本語のおかしな点をご指摘いただけましたら、
本当にありがたく思います。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる