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7.遺跡を守りしもの
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「助けてくださって、ありがとうございます、ルーナ。
もう少しで、立ち上がれそうですわ……」
その言葉に、サカキも胸をなでおろす。
そうだ、ゴーレムは? 倒したのか?
ガラガラ! ゴバッ!
がれきが空に舞った。
埋もれていたゴーレムが、体に積もっていたがれきを一気に持ち上げ、
取り去ったのだ。
「まずい……! おい、こっちだゴーレム!」
サカキはカエデから距離をとりながら、
足元にあった石を投げつけ、ゴーレムに当てた。
と、ゴーレムの頭の部分が動き、サカキをとらえた。
標的をサカキにしたようだ。
サカキめがけ、駆け出してきた。
「関節をねらう……。土の部分を、切る」
サカキは呟き、集中する。
ふーっと息を吐き、すうっと吸いこんで、止める。
こちらにむかって剣を振り下ろすゴーレム。
それを受けるのではなく、かわす。
ギインッ!
ゴーレムの振った剣が石畳に当たり、動きが一時にぶくなった。今だ!
「ハッ!」
スパンッ!
サカキはゴーレムの伸びきったひじの部分を切った。
岩の鎧のわずかな隙間。
土でできた部分を切られ、剣を持ったままのゴーレムの腕が、
ごとりと床に落ちた。
「よっしゃ!」
喜んだのもつかの間。
ゴーレムは反対の腕に持っている盾に身を隠すようにして、
サカキ目がけて突っこんできた。
「ウソだろ⁉」
人間だったら、腕を失った痛みで動きがにぶるところだ。
しかし、そこはゴーレム。
痛みも何も感じない。
それを、サカキは忘れていた。
なんとかゴーレムの盾を剣で受けるサカキ。
だが、力の差は歴然だ。ゴーレムに押され、ついには背後の壁につきあたる。
「ぐっ!」
サカキはゴーレムと壁との板挟みになってしまった。
剣を支える両手が痛い。
体中が悲鳴を上げている。
ゴーレムはまるでサカキを追いつめたことを喜ぶかのように、
口をガチガチと開閉していた。
口の奥には、暗闇が広がっている。
「こっちよ! ゴーレム!」
サカキの耳に聞こえた、ルーナの声。
ゴーレムはサカキを押しつぶしつつ、顔をそちらに向けた。
ゴーレムの口元に、ルーナがいる。
ちらちらと誘うように、口元の辺りを行き来していた。
次の瞬間。
ばくんっ!
「……なっ⁉」
ゴーレムが、口をがばりと開けて、ルーナを食べてしまった。
「こ、この野郎おおおっ!」
サカキの目の前が真っ赤になる。
ゴーレムがルーナを食べた後、一瞬力がゆるんだ。
それを利用し、サカキは体を沈めると、
そのままスライディングをしてゴーレムの足の間から抜け出した。
「ルーナを返せぇっ!」
サカキはゴーレムの背後から、ゴーレムにむかってめちゃくちゃに切りつけた。
だが、当然ながら岩をまとったゴーレムはびくともしない。
ゴーレムは思いっ切り盾を持った腕を振り払った。
盾のはじの部分がサカキのみぞおちにちょうどあたり、
サカキは再び吹っ飛ばされた。
ゴロゴロと体が転がる。
そのまま、サカキは立ち上がれなくなってしまった。
「ぐぇっ、うえっ、ごほっ」
ひどい気分だ。サカキは意識を朦朧とさせながら、ゴーレムの行方を見た。
「アナタの敵は、ここですわ、ゴーレムさん!」
恐怖から立ち直ったカエデが、
さきほどゴーレムが開けた穴の向こうから顔を出して、
ゴーレムを呼んでいる。
「危ない……、カエデ……」
サカキは手をのばすが、その手はむなしく宙をつかむだけだ。
ゴーレムはサカキを無力化したと思ったらしく、
カエデの方へ向かって行った。
「なんじらの主にかわり、命ずる。蔓草よ……」
カエデの呪文の詠唱をまずいと思ったのか、
再びゴーレムは丸まり、勢いよくゴロゴロと転がっていった。
逃げるカエデ。
ゴーレムを壁の穴から連れ出し、隣の部屋へと連れて行く。
すぐに、カエデとゴーレムはサカキの視界から見えなくなってしまった。
その時だ。
バシャン!
バッシャーン!
派手な水音が二回聞こえた。
いったい、あの穴の向こうはどうなっているのだ?
サカキはよろよろと立ち上がり、
体をひきずって壁に開いている穴をのぞきこんだ。
そこに広がっていたのは、ちょっとした池ほどもある大きな水場だった。
神殿で祈りをささげる前に、体を清めたところなのだろう。
そういえば、ルーナもよく水浴びをしていると言っていた。
ぷはっと水面から顔を出したのはカエデだ。
無事だったのかとサカキは胸をなでおろす。
が、ゴーレムもまた、水面からざばりと出て来たではないか!
あの二回の水音は、カエデとゴーレムが水場に落ちた音だったのだ。
しかし、これからどうするのだろう。
「さあ、ゴーレムさん、アナタ、たっぷり水を含みましたわね」
カエデは不敵な笑みを浮かべていた。
「なんじらの主にかわり、命ずる。
ゴーレムの体内にありし種よ、発芽し、その身でもって、
ゴーレムの核を破壊せよ!」
そうカエデが呪文を唱えた瞬間、
ゴーレムの岩の鎧の隙間という隙間から、蔓が生えだした。その蔓は岩をも砕き、どんどんゴーレムを侵食していく。
そして、バギンッという鈍い音が響いた。
「うおおおおおお!」
ゴーレムは鋭い叫び声を上げたかと思うと、その姿が一気に崩れていった。
どろどろとした土と岩が水場に流れ出す。水はどんどん茶色ににごっていった。
カエデは水場から上がり、その様子をじっと見つめていた。
水場が完全ににごりきった後、残ったのは、
蔓草に囲まれ、ひびの入った核のみだった。核はぼんやりと光を放っている。
「やった! カエデ、作戦成功よ!」
サカキの耳元で、声がした。
「ル、ルーナ⁉」
そう、ゴーレムに食べられたはずのルーナの声だ。
もう少しで、立ち上がれそうですわ……」
その言葉に、サカキも胸をなでおろす。
そうだ、ゴーレムは? 倒したのか?
ガラガラ! ゴバッ!
がれきが空に舞った。
埋もれていたゴーレムが、体に積もっていたがれきを一気に持ち上げ、
取り去ったのだ。
「まずい……! おい、こっちだゴーレム!」
サカキはカエデから距離をとりながら、
足元にあった石を投げつけ、ゴーレムに当てた。
と、ゴーレムの頭の部分が動き、サカキをとらえた。
標的をサカキにしたようだ。
サカキめがけ、駆け出してきた。
「関節をねらう……。土の部分を、切る」
サカキは呟き、集中する。
ふーっと息を吐き、すうっと吸いこんで、止める。
こちらにむかって剣を振り下ろすゴーレム。
それを受けるのではなく、かわす。
ギインッ!
ゴーレムの振った剣が石畳に当たり、動きが一時にぶくなった。今だ!
「ハッ!」
スパンッ!
サカキはゴーレムの伸びきったひじの部分を切った。
岩の鎧のわずかな隙間。
土でできた部分を切られ、剣を持ったままのゴーレムの腕が、
ごとりと床に落ちた。
「よっしゃ!」
喜んだのもつかの間。
ゴーレムは反対の腕に持っている盾に身を隠すようにして、
サカキ目がけて突っこんできた。
「ウソだろ⁉」
人間だったら、腕を失った痛みで動きがにぶるところだ。
しかし、そこはゴーレム。
痛みも何も感じない。
それを、サカキは忘れていた。
なんとかゴーレムの盾を剣で受けるサカキ。
だが、力の差は歴然だ。ゴーレムに押され、ついには背後の壁につきあたる。
「ぐっ!」
サカキはゴーレムと壁との板挟みになってしまった。
剣を支える両手が痛い。
体中が悲鳴を上げている。
ゴーレムはまるでサカキを追いつめたことを喜ぶかのように、
口をガチガチと開閉していた。
口の奥には、暗闇が広がっている。
「こっちよ! ゴーレム!」
サカキの耳に聞こえた、ルーナの声。
ゴーレムはサカキを押しつぶしつつ、顔をそちらに向けた。
ゴーレムの口元に、ルーナがいる。
ちらちらと誘うように、口元の辺りを行き来していた。
次の瞬間。
ばくんっ!
「……なっ⁉」
ゴーレムが、口をがばりと開けて、ルーナを食べてしまった。
「こ、この野郎おおおっ!」
サカキの目の前が真っ赤になる。
ゴーレムがルーナを食べた後、一瞬力がゆるんだ。
それを利用し、サカキは体を沈めると、
そのままスライディングをしてゴーレムの足の間から抜け出した。
「ルーナを返せぇっ!」
サカキはゴーレムの背後から、ゴーレムにむかってめちゃくちゃに切りつけた。
だが、当然ながら岩をまとったゴーレムはびくともしない。
ゴーレムは思いっ切り盾を持った腕を振り払った。
盾のはじの部分がサカキのみぞおちにちょうどあたり、
サカキは再び吹っ飛ばされた。
ゴロゴロと体が転がる。
そのまま、サカキは立ち上がれなくなってしまった。
「ぐぇっ、うえっ、ごほっ」
ひどい気分だ。サカキは意識を朦朧とさせながら、ゴーレムの行方を見た。
「アナタの敵は、ここですわ、ゴーレムさん!」
恐怖から立ち直ったカエデが、
さきほどゴーレムが開けた穴の向こうから顔を出して、
ゴーレムを呼んでいる。
「危ない……、カエデ……」
サカキは手をのばすが、その手はむなしく宙をつかむだけだ。
ゴーレムはサカキを無力化したと思ったらしく、
カエデの方へ向かって行った。
「なんじらの主にかわり、命ずる。蔓草よ……」
カエデの呪文の詠唱をまずいと思ったのか、
再びゴーレムは丸まり、勢いよくゴロゴロと転がっていった。
逃げるカエデ。
ゴーレムを壁の穴から連れ出し、隣の部屋へと連れて行く。
すぐに、カエデとゴーレムはサカキの視界から見えなくなってしまった。
その時だ。
バシャン!
バッシャーン!
派手な水音が二回聞こえた。
いったい、あの穴の向こうはどうなっているのだ?
サカキはよろよろと立ち上がり、
体をひきずって壁に開いている穴をのぞきこんだ。
そこに広がっていたのは、ちょっとした池ほどもある大きな水場だった。
神殿で祈りをささげる前に、体を清めたところなのだろう。
そういえば、ルーナもよく水浴びをしていると言っていた。
ぷはっと水面から顔を出したのはカエデだ。
無事だったのかとサカキは胸をなでおろす。
が、ゴーレムもまた、水面からざばりと出て来たではないか!
あの二回の水音は、カエデとゴーレムが水場に落ちた音だったのだ。
しかし、これからどうするのだろう。
「さあ、ゴーレムさん、アナタ、たっぷり水を含みましたわね」
カエデは不敵な笑みを浮かべていた。
「なんじらの主にかわり、命ずる。
ゴーレムの体内にありし種よ、発芽し、その身でもって、
ゴーレムの核を破壊せよ!」
そうカエデが呪文を唱えた瞬間、
ゴーレムの岩の鎧の隙間という隙間から、蔓が生えだした。その蔓は岩をも砕き、どんどんゴーレムを侵食していく。
そして、バギンッという鈍い音が響いた。
「うおおおおおお!」
ゴーレムは鋭い叫び声を上げたかと思うと、その姿が一気に崩れていった。
どろどろとした土と岩が水場に流れ出す。水はどんどん茶色ににごっていった。
カエデは水場から上がり、その様子をじっと見つめていた。
水場が完全ににごりきった後、残ったのは、
蔓草に囲まれ、ひびの入った核のみだった。核はぼんやりと光を放っている。
「やった! カエデ、作戦成功よ!」
サカキの耳元で、声がした。
「ル、ルーナ⁉」
そう、ゴーレムに食べられたはずのルーナの声だ。
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