【完結】エス★まほ ~エスパーと魔法使い、出会う~

みなづきよつば

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3.なんでもアリの障害物競走

3-2

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 マナト、速っ!
 おれをぬかして、マナトが宙をかけていく。
 もしかしたら、マナトはこういう勝負に慣れてるのかもしれない。
 おれ、全力を出してとぶなんてこと、少ないからな。
 よし、妨害しよう!
 でっかいクッションボールをぶつけるイメージで……、やりすぎないように……!
 ふっと力を入れて念じ、念動力で空気のボールをぶつける。

「うわっ!」

 叫び声をあげて、マナトが横にふっとんだ。
 よし、追い越したぞ!
 と、思った瞬間。

「氷柱(ひょうちゅう)よ、かのものを追いかけ、氷づけにしろ! 
アイシー・クレイジー・ブレッド!」

 ひゅんひゅんっと何かのカタマリがとんでくる。
 おれはくるっと回って、とんできたカタマリたちを念動力ではじきとばした。
 カタマリが海に落ちる。
 と、そこを中心にして海の一部が凍ってしまった。
 ひえ、こんな魔法もあるのか。
 ぞっとした背中が冷たく、重くなる。
 重く……?
 マジで冷たいし、重い!
 しまった! あのカタマリ、おれの背後にまわりこんでたのか!
 ぶつかった背中が氷づけだ!

「お先に!」

 再びマナトがおれを抜いていく。
 おれは発火能力をうまく調節して背中の氷をとかしつつ、前へと進んだ。
 お、見えた! ゴールテープが空中に浮かんでる!

「目に見えずとも、
われはそこに友がいることを知っている。
きまぐれの風の精霊よ、われに力を貸し、われを守れ。
エアリアル・シールド!」

 マナトが何か呪文をとなえたが、びゅうびゅうと風を切る音で詳しくは聞こえない。
 こうなったら、もう一度、念動力だ。
 空気のボールよ、マナトにぶつかれ!
 バシンッという、確かに空気のボールがぶつかった音。
 なのに、マナトはふっとばなかった。
 ちっ、さっきの呪文でなにかしやがったな……!
 何度も空気ボールをぶつけるが、もうマナトはゆらがない。
 このままじゃ、マナトが先にゴールしちまう!
 どうすれば……。
 と、ふと脳裏に浮かんだのは、ノワールの言葉。

「どんな能力をつかってもヨシ!」

 そうか、なら……。
 これも、OKだよな?
 おれは空中でぴたっと止まった。

「なんだ? 勝負、あきらめたのか? じゃあな!」

 マナとはおれから目をはなし、それこそ流星のように一直線にゴールへと向かっていった。
 マナトがゴールテープを切るまで、あと十メートル……!

「よし、おれの勝……えっ⁉」

 マナトが言い終わる前に、ゴールテープは切れていた。

「えっ? ええっ⁉ オマエ、いつの間に追い越して……」

 びっくりしただろ? おれが先にゴールして。

「くそ、どうやっておれを追い越したんだ?」

 くやしそうにしているマナトに、
 おれは勝者の笑みを浮かべ、説明してやった。

「カンタンだ。瞬間移動で、ゴールのすぐ前に移動した」

「……はあ⁉」

 そう、これは「どんな能力をつかってもヨシ!」な障害物競争。
 別に、空中浮遊での競争じゃない。
 勝者の条件は、「おのれの体で、ゴールテープを先に切ったもの」。
 これだけ。
 ってことは、バカ正直に宙をとんでるだけの競争をしなくてもいいってこと。
 ゴールテープが見えた瞬間、その前に瞬間移動して、テープを切ればいい。
 そう話してやると、マナトは顔を真っ赤にして怒った。

「ズルだ! このインチキ野郎! 正々堂々と勝負しろよ!」

「人の話聞いてたか~? これは、ズルじゃありません~」

「ノワール! どうなんだ!」

 おれたちと並んでとんでいたノワールに、マナトがジャッジを求める。
 審判ノワールの判定は……。

「こりゃ、リッキーの勝ちじゃな」

「はあああ⁉」

「よっしゃー!」

 マナトは口を大きく開けて絶叫し、おれはガッツポーズをきめた。
 わかってんじゃん、ノワール。
 マナトの使い魔だから、マナトの味方をするかと思ったけど、そうでもないんだな。
 勝負はおれの勝ちだ。
 ……まあ、魔法使いもなかなかやるってわかったし?
 マナトがエスパーを軽んじてたことを謝るなら、
 おれの「仲間」にしてやっても……。

「じゃ、第二回戦じゃな」

 いいかなーって、ん?
 なんて言った、ノワール?

「第二回戦?」

 おれが聞くと、ノワールはまたかわいらしく首をかしげた。

「だれが一回で勝負を決めると言った。三回勝負じゃよ」

「……はあああ⁉」

「よっしゃ! そうこなくっちゃな、ノワール!」

 今度はおれが絶叫して、マナトがガッツポーズをする番だった。

「ほれ、二回戦のためにまた学校にもどるぞい。
はようわしらを学校にもどせ。
ちなみに、拒否したらリッキーの負けとみなす」

 ぐ、ぐぬぬぬ。
 正直、おいていってやりたいけど、負けるのはシャクにさわる!
 結局、おれたちは瞬間移動でまたあの教室へともどったのだった。
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