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4.探せ! 借りもの返却競争
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一瞬でおれたちは学校にもどってきた。
ノワールは、
「準備しておいてよかったわい」と、
くちばしでお腹のあたりをごそごそすると、
ハンカチとシャーペンをとりだして机に置いた。
……これも、マジック・ポケットってやつか?
「おい、どうしたんだよこれ」
マナトがノワールにつめよっているのを見るに、
これらふたつはマナトのではないらしい。
ノワールはこほん、とせきばらいをした。
「エスパーVS.魔法使い! 借りもの返却競争~!」
また、高らかに宣言して……。
てか、借りもの競争ならわかるけど、借りもの「返却」競争?
返却ってことは、まさか……。
「おまえ、このハンカチとシャーペン、盗(と)ってきたのか⁉」
おれと同じ考えにいたったマナトが叫ぶ。
ノワールはきょるんっと首をかしげ、
「借りたのだが?」と悪びれもしない。
「あ~、もう! これだから悪魔は!
今度から、こういうことは禁止! いいな?」
……え。
「おい、今、悪魔って……」
「ルール説明!」
マナトに話しかけようとしたおれを、ノワールがさえぎった。
なんだよ、超気になるじゃん!
でも、今は勝負に集中か。ルールはしっかり聞かないとな。
「わしが借りてきたものを、持ち主のもとに返すこと。
その早さを競う。能力は何をつかってもよし。
リッキーはハンカチ、マナっちはシャーペンじゃな。
以上」
なるほど、だから、借り物「返却」競争か……。
「では、はじめ!」
って、もう⁉
おれとマナトは急いでそれぞれの担当したものを手に取った。
ハンカチを手に、目を閉じて集中する。
物体にも、ものごとが記憶されている。
おれはその情報を読み取って、持ち主を探せばいいワケだ。
いわゆる、サイコメトリーって言われてるものだな。
頭に浮かんだのは、中等部の制服を着た女子の顔。
それから次々と記憶が浮かんでは消えていく。
洗濯機に入れられた。
たたまれた。
制服のポケットに入れられた。
トイレの洗い場で、ポケットから出されて手をふかれた……。
くそ、こんな情報どうでもいいから、何か他に手がかりはないか?
ふわっと、女子とその友人らしい人物の会話が脳裏に浮かぶ。
【ふーちゃん、今日の部活、最初は筋トレだって】
ふむ、名前はふーちゃん、か。部活は何なんだ?
【え~、つらい~】
【バスケ部名物、地獄の階段上り下りが待ってるね……】
【きっついよ~。
でも、後輩になさけない姿は見せらんないか~】
バスケ部!
今は筋トレ中。
ってことは、教室棟か部活棟の、どちらかの階段にいるなず!
候補は三か所。
教室棟の高等部側、もしくは中等部側にある階段の二か所。
そして、部活棟の階段一か所だ。
可能性が高いのは中等部側だな。
この子の制服は中等部のものだったし。
おれは教室をとびだして、階段へと向かった。
ちょうど、
おれたちがいたのは階段の近くにある空き教室だったのだ。
階段を見ると、
ジャージ姿の女子たちが、
それぞれ階段を上ったり下りたりしている。
えっと、ふーちゃんは……、どこだ……。
……いた!
「すみませ~ん、そこのポニーテールの人!」
おれが声を張り上げると、ふーちゃんはすぐに気づいておれに寄ってきた。
「わたし、ですか?」
「はい、あの、ハンカチ落としましたよ!」
「……えっ? あ、ほんとだ。それ、わたしのだ」
よっしゃ、ビンゴ!
さ、受け取ってくれ!
とばかりにおれは笑顔でハンカチを差し出したのだが……。
「えっと、キミ、一年生だよね?
これどこでひろったの?
わたし、ハンカチは制服のポケットに入れてたはずなんだけど……」
ふーちゃんは、気味悪げにおれを見た。
ぶわ~っと背中に冷や汗が浮かぶ。
やべえ! そういや、ノワールのやつ、
「準備しといてよかった」的なこと言ってた!
ふーちゃんは、もう制服からジャージに着替えている。
ジャージの時に、このハンカチを落とすワケがないんだ。
制服の時間帯にハンカチをわたさないと、不自然だ。
「なんで、これがわたしのだってわかったの?」
うっ、もっともな疑問。
ふーちゃんは、ますます不審人物を見るようかの目でおれを見てくる。
えーっと、えーっと。
「おれ、ちょうど部活の先輩に用があって、
先輩のとこ行ってたんですよ。
で、その階のトイレの手洗い場で、
ちょうどこのハンカチを落としたおねーさんを見つけて……」
よし、うまくしゃべれてる。
ふーちゃんが一年生じゃないってことは、
友人との会話でわかってるからな。
「後輩になさけない姿は見せられない」ってね。
ただ、二年生か三年生かはわからない。
だから、おれはそこらへんをにごして、
「部活の先輩」ってウソを言うだけにした。
あとは、長年つちかってきた演技とハッタリだ!
こちとら十二年、超能力を隠し続けてきたんだからな!
おれは声色を申し訳なさそうなものにして、話を続ける。
「すぐ声をかければよかったんですけど、
おれも先輩のところに行かなきゃって急いでたから、
声かけそびれちゃって。
ごめんなさい」
「……そうなの」
ふーちゃんが、ちょっと警戒をとく。
「そうなんです。
で、職員室の落とし物置き場に持っていこうとしたら、
ちょうどここでおねーさんに会って。
あ、返さなきゃなーって思って」
「……ああ、そっか。それにしても、よくわたしの顔を覚えてたね」
よし、ここでちょっと照れくさそうにして……っと。
「おねーさん、美人だったから」
「……えっ! もーっ、そんなことないって!」
よっしゃ、効果はバツグンだ。
ふーちゃんは照れ笑いをしながら、「お世辞、うまいね~」なんて言ってる。
もうおれのことを疑いもしていない。
「ハンカチ、ありがとうね! じゃあ、わたし部活にもどるから!」
「はい、がんばってください!」
ふーちゃんはハンカチを受けとって、
ジャージのポケットにねじこむと、階段へと去っていった。
あ、危なかった……。思わず重いため息が出る。
そこに、パチパチパチと、廊下に響く音。
な、なんだ?
ノワールは、
「準備しておいてよかったわい」と、
くちばしでお腹のあたりをごそごそすると、
ハンカチとシャーペンをとりだして机に置いた。
……これも、マジック・ポケットってやつか?
「おい、どうしたんだよこれ」
マナトがノワールにつめよっているのを見るに、
これらふたつはマナトのではないらしい。
ノワールはこほん、とせきばらいをした。
「エスパーVS.魔法使い! 借りもの返却競争~!」
また、高らかに宣言して……。
てか、借りもの競争ならわかるけど、借りもの「返却」競争?
返却ってことは、まさか……。
「おまえ、このハンカチとシャーペン、盗(と)ってきたのか⁉」
おれと同じ考えにいたったマナトが叫ぶ。
ノワールはきょるんっと首をかしげ、
「借りたのだが?」と悪びれもしない。
「あ~、もう! これだから悪魔は!
今度から、こういうことは禁止! いいな?」
……え。
「おい、今、悪魔って……」
「ルール説明!」
マナトに話しかけようとしたおれを、ノワールがさえぎった。
なんだよ、超気になるじゃん!
でも、今は勝負に集中か。ルールはしっかり聞かないとな。
「わしが借りてきたものを、持ち主のもとに返すこと。
その早さを競う。能力は何をつかってもよし。
リッキーはハンカチ、マナっちはシャーペンじゃな。
以上」
なるほど、だから、借り物「返却」競争か……。
「では、はじめ!」
って、もう⁉
おれとマナトは急いでそれぞれの担当したものを手に取った。
ハンカチを手に、目を閉じて集中する。
物体にも、ものごとが記憶されている。
おれはその情報を読み取って、持ち主を探せばいいワケだ。
いわゆる、サイコメトリーって言われてるものだな。
頭に浮かんだのは、中等部の制服を着た女子の顔。
それから次々と記憶が浮かんでは消えていく。
洗濯機に入れられた。
たたまれた。
制服のポケットに入れられた。
トイレの洗い場で、ポケットから出されて手をふかれた……。
くそ、こんな情報どうでもいいから、何か他に手がかりはないか?
ふわっと、女子とその友人らしい人物の会話が脳裏に浮かぶ。
【ふーちゃん、今日の部活、最初は筋トレだって】
ふむ、名前はふーちゃん、か。部活は何なんだ?
【え~、つらい~】
【バスケ部名物、地獄の階段上り下りが待ってるね……】
【きっついよ~。
でも、後輩になさけない姿は見せらんないか~】
バスケ部!
今は筋トレ中。
ってことは、教室棟か部活棟の、どちらかの階段にいるなず!
候補は三か所。
教室棟の高等部側、もしくは中等部側にある階段の二か所。
そして、部活棟の階段一か所だ。
可能性が高いのは中等部側だな。
この子の制服は中等部のものだったし。
おれは教室をとびだして、階段へと向かった。
ちょうど、
おれたちがいたのは階段の近くにある空き教室だったのだ。
階段を見ると、
ジャージ姿の女子たちが、
それぞれ階段を上ったり下りたりしている。
えっと、ふーちゃんは……、どこだ……。
……いた!
「すみませ~ん、そこのポニーテールの人!」
おれが声を張り上げると、ふーちゃんはすぐに気づいておれに寄ってきた。
「わたし、ですか?」
「はい、あの、ハンカチ落としましたよ!」
「……えっ? あ、ほんとだ。それ、わたしのだ」
よっしゃ、ビンゴ!
さ、受け取ってくれ!
とばかりにおれは笑顔でハンカチを差し出したのだが……。
「えっと、キミ、一年生だよね?
これどこでひろったの?
わたし、ハンカチは制服のポケットに入れてたはずなんだけど……」
ふーちゃんは、気味悪げにおれを見た。
ぶわ~っと背中に冷や汗が浮かぶ。
やべえ! そういや、ノワールのやつ、
「準備しといてよかった」的なこと言ってた!
ふーちゃんは、もう制服からジャージに着替えている。
ジャージの時に、このハンカチを落とすワケがないんだ。
制服の時間帯にハンカチをわたさないと、不自然だ。
「なんで、これがわたしのだってわかったの?」
うっ、もっともな疑問。
ふーちゃんは、ますます不審人物を見るようかの目でおれを見てくる。
えーっと、えーっと。
「おれ、ちょうど部活の先輩に用があって、
先輩のとこ行ってたんですよ。
で、その階のトイレの手洗い場で、
ちょうどこのハンカチを落としたおねーさんを見つけて……」
よし、うまくしゃべれてる。
ふーちゃんが一年生じゃないってことは、
友人との会話でわかってるからな。
「後輩になさけない姿は見せられない」ってね。
ただ、二年生か三年生かはわからない。
だから、おれはそこらへんをにごして、
「部活の先輩」ってウソを言うだけにした。
あとは、長年つちかってきた演技とハッタリだ!
こちとら十二年、超能力を隠し続けてきたんだからな!
おれは声色を申し訳なさそうなものにして、話を続ける。
「すぐ声をかければよかったんですけど、
おれも先輩のところに行かなきゃって急いでたから、
声かけそびれちゃって。
ごめんなさい」
「……そうなの」
ふーちゃんが、ちょっと警戒をとく。
「そうなんです。
で、職員室の落とし物置き場に持っていこうとしたら、
ちょうどここでおねーさんに会って。
あ、返さなきゃなーって思って」
「……ああ、そっか。それにしても、よくわたしの顔を覚えてたね」
よし、ここでちょっと照れくさそうにして……っと。
「おねーさん、美人だったから」
「……えっ! もーっ、そんなことないって!」
よっしゃ、効果はバツグンだ。
ふーちゃんは照れ笑いをしながら、「お世辞、うまいね~」なんて言ってる。
もうおれのことを疑いもしていない。
「ハンカチ、ありがとうね! じゃあ、わたし部活にもどるから!」
「はい、がんばってください!」
ふーちゃんはハンカチを受けとって、
ジャージのポケットにねじこむと、階段へと去っていった。
あ、危なかった……。思わず重いため息が出る。
そこに、パチパチパチと、廊下に響く音。
な、なんだ?
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