【完結】エス★まほ ~エスパーと魔法使い、出会う~

みなづきよつば

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4.探せ! 借りもの返却競争

4-1

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 一瞬でおれたちは学校にもどってきた。
 ノワールは、
 「準備しておいてよかったわい」と、
 くちばしでお腹のあたりをごそごそすると、
 ハンカチとシャーペンをとりだして机に置いた。
 ……これも、マジック・ポケットってやつか? 

「おい、どうしたんだよこれ」

 マナトがノワールにつめよっているのを見るに、
 これらふたつはマナトのではないらしい。
 ノワールはこほん、とせきばらいをした。

「エスパーVS.魔法使い! 借りもの返却競争~!」

 また、高らかに宣言して……。
 てか、借りもの競争ならわかるけど、借りもの「返却」競争?
 返却ってことは、まさか……。

「おまえ、このハンカチとシャーペン、盗(と)ってきたのか⁉」

 おれと同じ考えにいたったマナトが叫ぶ。

 ノワールはきょるんっと首をかしげ、
「借りたのだが?」と悪びれもしない。

「あ~、もう! これだから悪魔は! 
今度から、こういうことは禁止! いいな?」

 ……え。

「おい、今、悪魔って……」

「ルール説明!」

 マナトに話しかけようとしたおれを、ノワールがさえぎった。
 なんだよ、超気になるじゃん!
 でも、今は勝負に集中か。ルールはしっかり聞かないとな。

「わしが借りてきたものを、持ち主のもとに返すこと。
その早さを競う。能力は何をつかってもよし。
リッキーはハンカチ、マナっちはシャーペンじゃな。
以上」

 なるほど、だから、借り物「返却」競争か……。

「では、はじめ!」

 って、もう⁉
 おれとマナトは急いでそれぞれの担当したものを手に取った。
 ハンカチを手に、目を閉じて集中する。

 物体にも、ものごとが記憶されている。
 おれはその情報を読み取って、持ち主を探せばいいワケだ。
 いわゆる、サイコメトリーって言われてるものだな。

 頭に浮かんだのは、中等部の制服を着た女子の顔。
 それから次々と記憶が浮かんでは消えていく。
 洗濯機に入れられた。
 たたまれた。
 制服のポケットに入れられた。
 トイレの洗い場で、ポケットから出されて手をふかれた……。

 くそ、こんな情報どうでもいいから、何か他に手がかりはないか?
 ふわっと、女子とその友人らしい人物の会話が脳裏に浮かぶ。

【ふーちゃん、今日の部活、最初は筋トレだって】

 ふむ、名前はふーちゃん、か。部活は何なんだ?

【え~、つらい~】

【バスケ部名物、地獄の階段上り下りが待ってるね……】

【きっついよ~。
でも、後輩になさけない姿は見せらんないか~】

 バスケ部!
 今は筋トレ中。
 ってことは、教室棟か部活棟の、どちらかの階段にいるなず!
 候補は三か所。
 教室棟の高等部側、もしくは中等部側にある階段の二か所。
 そして、部活棟の階段一か所だ。
 可能性が高いのは中等部側だな。
 この子の制服は中等部のものだったし。
 おれは教室をとびだして、階段へと向かった。
 ちょうど、
 おれたちがいたのは階段の近くにある空き教室だったのだ。
 階段を見ると、
 ジャージ姿の女子たちが、
 それぞれ階段を上ったり下りたりしている。
 えっと、ふーちゃんは……、どこだ……。
 ……いた!

「すみませ~ん、そこのポニーテールの人!」

 おれが声を張り上げると、ふーちゃんはすぐに気づいておれに寄ってきた。

「わたし、ですか?」

「はい、あの、ハンカチ落としましたよ!」

「……えっ? あ、ほんとだ。それ、わたしのだ」

 よっしゃ、ビンゴ!
 さ、受け取ってくれ! 
 とばかりにおれは笑顔でハンカチを差し出したのだが……。

「えっと、キミ、一年生だよね? 
これどこでひろったの? 
わたし、ハンカチは制服のポケットに入れてたはずなんだけど……」

 ふーちゃんは、気味悪げにおれを見た。
 ぶわ~っと背中に冷や汗が浮かぶ。
 やべえ! そういや、ノワールのやつ、
 「準備しといてよかった」的なこと言ってた!
 ふーちゃんは、もう制服からジャージに着替えている。
 ジャージの時に、このハンカチを落とすワケがないんだ。
 制服の時間帯にハンカチをわたさないと、不自然だ。

「なんで、これがわたしのだってわかったの?」

 うっ、もっともな疑問。
 ふーちゃんは、ますます不審人物を見るようかの目でおれを見てくる。
 えーっと、えーっと。

「おれ、ちょうど部活の先輩に用があって、
先輩のとこ行ってたんですよ。
で、その階のトイレの手洗い場で、
ちょうどこのハンカチを落としたおねーさんを見つけて……」

 よし、うまくしゃべれてる。
 ふーちゃんが一年生じゃないってことは、
 友人との会話でわかってるからな。
 「後輩になさけない姿は見せられない」ってね。
 ただ、二年生か三年生かはわからない。
 だから、おれはそこらへんをにごして、
 「部活の先輩」ってウソを言うだけにした。 
 あとは、長年つちかってきた演技とハッタリだ!
 こちとら十二年、超能力を隠し続けてきたんだからな!
 おれは声色を申し訳なさそうなものにして、話を続ける。

「すぐ声をかければよかったんですけど、
おれも先輩のところに行かなきゃって急いでたから、
声かけそびれちゃって。
ごめんなさい」

「……そうなの」

 ふーちゃんが、ちょっと警戒をとく。

「そうなんです。
で、職員室の落とし物置き場に持っていこうとしたら、
ちょうどここでおねーさんに会って。
あ、返さなきゃなーって思って」

「……ああ、そっか。それにしても、よくわたしの顔を覚えてたね」

 よし、ここでちょっと照れくさそうにして……っと。

「おねーさん、美人だったから」

「……えっ! もーっ、そんなことないって!」

 よっしゃ、効果はバツグンだ。
 ふーちゃんは照れ笑いをしながら、「お世辞、うまいね~」なんて言ってる。
 もうおれのことを疑いもしていない。

「ハンカチ、ありがとうね! じゃあ、わたし部活にもどるから!」 

「はい、がんばってください!」

 ふーちゃんはハンカチを受けとって、
 ジャージのポケットにねじこむと、階段へと去っていった。
 あ、危なかった……。思わず重いため息が出る。
 そこに、パチパチパチと、廊下に響く音。
 な、なんだ? 
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