上 下
83 / 108
本編

82話『康煕と千隼④』

しおりを挟む
大いに笑った康煕は、千隼に向かって手招きした。

まだ頬を膨らませている千隼は、手招きに気づきゆっくりと彼に近づいた。


「そんな特殊なスキルでもないだろ。 ゲームの世界じゃ変かもしれないが・・・、お前が好きだという俺とお前の間に肉体関係が存在しているのなら拡張は必須だろうからな」

「な! 何言ってるの!? そ、んなこと・・・っ」

「ん? その反応は、ありってことだな。 それなら尚のことお前のスキルは重宝するぞ。 スキルにLvがあるってことは、使えば使う程成長していくってことだから魔法の特訓と合わせて使用しようか」

「っ~~~!! 」


真っ赤になった千隼は、己のスキルの使用は何としても避けたい。
ましてや、目の前の康煕は少し・・・、いや、かなり手慣れていそうで抵抗がある。


「俺のは挿れねぇよ。 お前のスキルでローション作成し、お前の想ってる俺の形を模したモノを作成。 その両方を使いつつ魔法の訓練をする。 まぁ、お前が感度良すぎてぶっ倒れなきゃ大丈夫だと思うぞ」

「真剣な顔で、当然とばかりに言わないでくれる!? 普通に魔法を教えてくれてもいいじゃん! 康煕の、ぁ、アレを作成なんて~~っ~~、恥かしいょ」

護られてるだけじゃ嫌なんだろう? そう言われてしまえば何も言えないのだが、千隼にとって知らない単語でいっぱいいっぱいなところにかみ砕いて親切丁寧に説明されたのだから赤くなるしかない。

大好きな人の、それも、起きている時の康煕に言われたのではなく、夢の中で少し荒れている頃の康煕に明け透けなく言われて対応に困ってしまう。


「僕は見世物じゃないんだよ・・・」

「そんなこと当たり前だろう? 俺以外の奴に見せるなんてできねぇよ」

「僕にとっては君に見せるのだって抵抗があるの!! 」

「数年前の俺なんだから抵抗するだけ分が悪い」

「そんなこと言ったって・・・、は、恥かしいんだってば!」


それじゃ、選択肢をやろう。 そう言った彼の顔はじつに楽しそうだった。



しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

麗しのアルファと持たざる男の運命の恋

BL / 連載中 24h.ポイント:6,497pt お気に入り:462

君じゃない?!~繰り返し断罪される私はもう貴族位を捨てるから~

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:4,742pt お気に入り:1,934

氷の騎士団長様の悪妻とかイヤなので離婚しようと思います

BL / 連載中 24h.ポイント:46,918pt お気に入り:5,292

賞味期限が切れようが、サ終が発表されようが

BL / 連載中 24h.ポイント:398pt お気に入り:23

典型的な政略結婚をした俺のその後。

BL / 連載中 24h.ポイント:1,320pt お気に入り:2,112

獣人だらけの世界に若返り転移してしまった件

BL / 連載中 24h.ポイント:24,347pt お気に入り:2,041

処理中です...