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4 過酷な修行の始まり
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ということで、馬鹿な元婚約者をぶんなぐるプロジェクトが始まった。
このプロジェクトに必要なものは何か。
ミワは一言で告げた。
「筋肉ですね」
さわやかな笑顔で言われてイラっと来たユウナはミワの顔面に殴りかかった。
簡単にいなされてソファに座らされた。
とても腹が立ったので再度殴り掛かる。
「このように、パワーがなければ殴ることもできません。まあ、あの馬鹿ラルフ相手なら今でもがんばれば殴れそうですが」
「ふぎぎぎぎぎ」
「お嬢様の今の筋肉では、1000年経っても殴れませんよ」
くるり、と抱きしめられて踊るように一回転。
そうしてそのまままたソファにぽすん、と座らせられる。
まったくあいてになっていなかった。
「ミワのくせに生意気だ」
「お嬢と違って鍛えていますからね」
ユウナはいつかきっと殴ってやると、心に誓うのであった。
それはそうと、筋肉が必要ということでトレーニングである。
目標は次の伯母様の夜会である。そこで決闘してぼこぼこにすることを決めた。
伯母様に手紙を送ると、構わない旨返事が来た。おそらくあのアホ婚約者も呼んでくれるだろう。
いつも世話ばかりかけて申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
ということで、次の夜会まであと3週間しかない。
「特別トレーニングですね。大丈夫です、3週間は21日、21日は約500時間もありますから」
ミワは笑顔でそういう。時間の単位で言われると多いのか少ないのかわからなくなってくる。
というか睡眠時間がないのだが?
そう聞くとミワは笑顔でサムズアップした。どういうことだよ。
ミナは料理や私の世話で、ミワはトレーニングに付き合うことで手伝ってくれるらしい。
最初に行うトレーニングは……
「ひとまず散歩から始めましょう。歩いて庭を一周してください」
とのことだった。ただし、普通の散歩ではなかった。
私の周りだけ重力が2倍になったのだ。
重力魔法という魔法がある。重力を操るという地味な魔法であり、使い道も少ないのであまり習得する者はいない。
そんな魔法を目の前の筋肉馬鹿ミワは習得していた。筋肉のためらしい。
2倍になった体はとてもとても重たい。
膝がきしむ。
腰が曲がる。
首がまっすぐにならない。
とても歩くのは厳しい。骨が折れそうであるし、関節もいかれそうだ。
それでも気合を込めて、一歩一歩、庭の石畳を進んでいく。
庭一周といってもそう広いわけではない。しかし、あまりに負荷が強すぎた。私は道のり途中で力尽き、そのままミワに部屋まで運ばれた。
部屋に戻れば休める、なんてことはなく、柔軟体操が始まる。
ミナが私に治癒魔法をかけながら、容赦なく関節を伸ばしていく。
「いたいいたい!! 股関節外れちゃう!!!」
「大丈夫、外れても戻して差し上げますから」
「それだいじょうぶじゃない!! おへっ、おっ!!」
開脚前屈をさせられているのだが、後ろから押すミナが全く容赦しない。
股関節やひざ、裏モモがメキメキとやばい音がしているのだが、まったく止めてくれないのだ。
ごきっ! とやばい音がするたびに治癒魔法で直しているのだが、当然すさまじく痛い。
悲鳴を上げる余力も徐々になくなってきていた。
「み、ミナ、何に怒ってるのぉ」
「怒ってませんよ。ええ、毒薬を準備しろなんて言われて、私は死にたくなるぐらい悲しかっただけですよ。怒ってませんよ」
「怒ってるぅ!! んぎいいいい!!!! せぼね、せぼねごきって!!!」
「大丈夫です、ヒールで治してあげますから。お嬢様♡ 何があろうと死なせませんからね♡」
とてもうれしそうに体中に悲鳴を上げさせていくミナ。
1時間ほど、彼女になぶられ続けたユウナは、もう満身創痍だった。
幸い体中の関節は柔らかくなり、180度開脚までできるようになったが、それまでユウナの股関節が悲鳴を上げた回数は、それこそ数えられないほどであった。
「もうむりぃ……」
「お嬢。夜会の開始まであと494時間もあります。準備も考えれば、あと490時間頑張ればいいだけです」
「よく考えたら、寝る時間は?」
「寝る暇があるとでも?」
ユウナは気づいた。地獄に足を踏み入れてしまったようだと。しかし引き返すにはもう遅いようだった。
このプロジェクトに必要なものは何か。
ミワは一言で告げた。
「筋肉ですね」
さわやかな笑顔で言われてイラっと来たユウナはミワの顔面に殴りかかった。
簡単にいなされてソファに座らされた。
とても腹が立ったので再度殴り掛かる。
「このように、パワーがなければ殴ることもできません。まあ、あの馬鹿ラルフ相手なら今でもがんばれば殴れそうですが」
「ふぎぎぎぎぎ」
「お嬢様の今の筋肉では、1000年経っても殴れませんよ」
くるり、と抱きしめられて踊るように一回転。
そうしてそのまままたソファにぽすん、と座らせられる。
まったくあいてになっていなかった。
「ミワのくせに生意気だ」
「お嬢と違って鍛えていますからね」
ユウナはいつかきっと殴ってやると、心に誓うのであった。
それはそうと、筋肉が必要ということでトレーニングである。
目標は次の伯母様の夜会である。そこで決闘してぼこぼこにすることを決めた。
伯母様に手紙を送ると、構わない旨返事が来た。おそらくあのアホ婚約者も呼んでくれるだろう。
いつも世話ばかりかけて申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
ということで、次の夜会まであと3週間しかない。
「特別トレーニングですね。大丈夫です、3週間は21日、21日は約500時間もありますから」
ミワは笑顔でそういう。時間の単位で言われると多いのか少ないのかわからなくなってくる。
というか睡眠時間がないのだが?
そう聞くとミワは笑顔でサムズアップした。どういうことだよ。
ミナは料理や私の世話で、ミワはトレーニングに付き合うことで手伝ってくれるらしい。
最初に行うトレーニングは……
「ひとまず散歩から始めましょう。歩いて庭を一周してください」
とのことだった。ただし、普通の散歩ではなかった。
私の周りだけ重力が2倍になったのだ。
重力魔法という魔法がある。重力を操るという地味な魔法であり、使い道も少ないのであまり習得する者はいない。
そんな魔法を目の前の筋肉馬鹿ミワは習得していた。筋肉のためらしい。
2倍になった体はとてもとても重たい。
膝がきしむ。
腰が曲がる。
首がまっすぐにならない。
とても歩くのは厳しい。骨が折れそうであるし、関節もいかれそうだ。
それでも気合を込めて、一歩一歩、庭の石畳を進んでいく。
庭一周といってもそう広いわけではない。しかし、あまりに負荷が強すぎた。私は道のり途中で力尽き、そのままミワに部屋まで運ばれた。
部屋に戻れば休める、なんてことはなく、柔軟体操が始まる。
ミナが私に治癒魔法をかけながら、容赦なく関節を伸ばしていく。
「いたいいたい!! 股関節外れちゃう!!!」
「大丈夫、外れても戻して差し上げますから」
「それだいじょうぶじゃない!! おへっ、おっ!!」
開脚前屈をさせられているのだが、後ろから押すミナが全く容赦しない。
股関節やひざ、裏モモがメキメキとやばい音がしているのだが、まったく止めてくれないのだ。
ごきっ! とやばい音がするたびに治癒魔法で直しているのだが、当然すさまじく痛い。
悲鳴を上げる余力も徐々になくなってきていた。
「み、ミナ、何に怒ってるのぉ」
「怒ってませんよ。ええ、毒薬を準備しろなんて言われて、私は死にたくなるぐらい悲しかっただけですよ。怒ってませんよ」
「怒ってるぅ!! んぎいいいい!!!! せぼね、せぼねごきって!!!」
「大丈夫です、ヒールで治してあげますから。お嬢様♡ 何があろうと死なせませんからね♡」
とてもうれしそうに体中に悲鳴を上げさせていくミナ。
1時間ほど、彼女になぶられ続けたユウナは、もう満身創痍だった。
幸い体中の関節は柔らかくなり、180度開脚までできるようになったが、それまでユウナの股関節が悲鳴を上げた回数は、それこそ数えられないほどであった。
「もうむりぃ……」
「お嬢。夜会の開始まであと494時間もあります。準備も考えれば、あと490時間頑張ればいいだけです」
「よく考えたら、寝る時間は?」
「寝る暇があるとでも?」
ユウナは気づいた。地獄に足を踏み入れてしまったようだと。しかし引き返すにはもう遅いようだった。
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