引きこもりの僕がある日突然勇者になった理由

ジャンマル

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勇者覚醒

小さな疑念

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「来たか!」

「春斗さん.....! なぜ!」



彼は何も言わず、腰のホルダーから銃を抜いた。言葉など無くとも、戦いで分かるさ。そう言わんばかりだった。

だからこそ、それに応じようとはしなかった。



「それには乗らない.....だから今、ここでみんなであなたを止める。そして謝ってもらう」

「出来るなら.....な。だが君たちはやるだろうな」

「わかってるならなぜ.....」



美雨さんは、僕達の視線の先で何かを訴えるようにこちらを見ている。だが、今気にする余裕はない。

美雨さんを助けるのは半蔵さんの仕事となっている。僕とエルザさんの二人がかりで春斗さんを抑える。

その隙に美雨さんを助けてもらい、最悪撤退をする予定だ。.....どこに撤退するかも考えずに。



「ふん、少し見通しが甘い!!」



彼がそう言って視線を向けたのは、美雨さんの方だった。



「.....ごめんな、半蔵」

「なっ.....!」



彼女は目がいい。それ故に、半蔵の動きは全て目視できていた。

だが、殺そうとする動きではなかった。春斗さんは殺すほどの勢いだったが.....



「舐めプ.....とか言ったら怒りそうだけどな。でも、舐めプするしかないんだよ、今は!!」

「舐めプとか宣言するあたり、まだまだでござる!!」



忍者のようにしなやかに七瀬の攻撃を避ける半蔵。それをわかっているかのように、彼の動きを先読みし、攻撃を加える七瀬。

既に一般的な動きから掛け離れているが、忍者である半蔵自身の力と、七瀬さんの春斗さん直々の修行なのかそれに着いていく体力。



目の前の化け物じみた2人を横目に、動きを止めていた僕に、エルザさんが叫びで訴えかける。



「今のうちだ!! 撤退するぞ!!」

「りょ、了解しました!!」

「露払いはさせてもらうでござる。早く!」



3人がかりで、なんとか逃げることに成功する。逃げ切ったからか、追ってはこない。



「.....助けましたよ、美雨さん」

「はい.....」



助けられたその顔は、どこか浮かない顔をしていた。だけど、その顔の意味はわからない。



「.....伊勢谷さん」

「ん、なんです?」

「きっと、これからあなたの身にはあなたの許容を超える事が起こるかもしれません。だけど、だけれどーーあなたは、父親を絶対に恨んだらダメなんです」

「父親.....知ってるの? 僕の」



その質問に、美雨さんは言葉では答えなかったが、顔を縦に振る。どこかできっと会っていたりしているんだろう。

だけど、何故彼女が父親を恨むのか。そう発言したのか真意はわからない。



だけど、きっと今はまだ些細なことなのだろう。小さなわだかまり。小さな疑問。あまりにもピースが少なすぎるそのパズルは、今は断念して、後に繋げた方がいいのだろう。



「何はともかく.....おかえりなさい、美雨さん!!」

「はい、ただいま、伊勢谷さん!!」



しかしまだ、残る謎は多い上に、これで終わると誰も思ってはいなかった。
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