引きこもりの僕がある日突然勇者になった理由

ジャンマル

文字の大きさ
12 / 47
勇者覚醒

しおりを挟む
 目が覚めた。今までのは……夢か。全く。変な夢だった。でも、少し安心していた。これから始まる事を何も知らないのだから。
「あ、伊勢谷さん……」
「あ、あれ……? どうしたの?」
「今日で……勇者育成協会は解散みたいです」
「え……?」
 はっきりとわかった。そして声に出す。あれ、正夢になった……!?
「デジャヴ」
「ど、どうしたんですか……?」
 いきなりそんなことを叫ぶんだ。驚かないわけがない。というか、叫びたくもなるわ。だって、正夢だぜ?
「解散って……もう他のみんなは知っているのか?」
「一応……」
「居ないって事は……七瀬は真っ先に出てったんだな?」
「はい……」
 元気がない。のは、寂しいからだろう。夢じゃなかった。
 が、恐らく夢と同じなのは解散するくらいだろう。
「七瀬さん、解散したんだから、次にあったからには何をするかわからないよって……」
「あいつがそんなことを……」
 だが、解散した後の目的は何だ? ブラック企業は何だったんだ?
 大事な人間が居なくなってから、今まで疑問に感じて居たものが一気に溢れ出す。
「ブラック企業って一体なんだったんだ……」
「それについては今、こっちで必死に調べてます」
「こっちで……?」
 解散したんだろ? こっちで……一体どうなってるんだ。まあ、解散したくないというのはわかるが……
「お姉ちゃん……解散したくないって」
「それで、お前たちだけ残ったと……?」
「はい……」
 ブラック企業。わかりやすいようにそう例えてるだけで、本当はもっと別の何かだと思い始めていた。もっと、裏で何かが動いているんじゃないか?
「伊勢谷さんは……どうするんです……?」
「俺は……」
 決断の時。
 ここに残りますか? ここから出ますか?
 その二択だった。
「僕は、残ったほうがいいのか?」
「そ、それは……」
 どうする。ここに残っていても何もない……でも……解散もしたくない。
「……考えておくよ」
 あれ……? どうしてこうなったんだっけ……

―――その頃―――

「ふむ、戻ってきたか」
「戻ってきたんじゃねえよ、戻ってきてやったんだ」
「まあ、そうかっかするな。七瀬よ」
「……」
「いや、コードネームCよ」
 動き始めた謎の集団。その目的はわからない。だが、これが戦うべき相手かもしれない。それだけはわかる。
「C、いいのか? 仲間だった奴のはずだが」
「あ? 元々仲間じゃねえ」
「そうか……」
 何かが動き始める。何かだ。何かはわからない。ただ、中二的な何かだ。

―――

「さーて、久しぶりにわが家へ帰るかぁ~」
「あ、じゃあ、荷物まとめるの手伝います」
「うん、ありがとう」
 荷物をまとめる。まるで、旅に出るみたいだ。
 まとめる荷物。だが、まとめるほどの量でもない。手に持てるレベルで微量なものである。ふふ。荷物とは少なくまとめるものなのだよ……
「じゃあ、行くよ」
「さようなら……」
 僕は帰る。家に。家にだ―――

 ついた。わが家へ。
「たっだいまあああああああ」
 ドアを開ける。そこにあったのは……
「な、なんでだ……」
 母さんの倒れているところだ。何故だ? 一体なぜなんだ?
「一体誰が……」
「ああ、お前の母親だったか」
 聞き覚えのある声。少し荒い言葉使い。まさか……
「あたしはあたしの仕事をしたまでだよ。恨むなら、うちのボスを恨みな」
「……それが、お前の仕事だって?」
「そうだよ」
「……なら、僕はお前を倒す」
「出来るかな?」
 この瞬間から、彼女は完全に僕たちの敵になった。
 というか、母さん、死んだふりはよくないぞ。うん。よくない。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります> 政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・? ※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています

俺が死んでから始まる物語

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。 だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。 余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。 そこからこの話は始まる。 セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕

英雄一家は国を去る【一話完結】

青緑 ネトロア
ファンタジー
婚約者との舞踏会中、火急の知らせにより領地へ帰り、3年かけて魔物大発生を収めたテレジア。3年振りに王都へ戻ったが、国の一大事から護った一家へ言い渡されたのは、テレジアの婚約破棄だった。 - - - - - - - - - - - - - ただいま後日談の加筆を計画中です。 2025/06/22

【完結】侍女が王女に転生?!英雄と結婚して破滅の国を救います!

カナタカエデ
ファンタジー
八十歳で生涯を終えた、元王宮侍女カリナ。 その最期の瞬間――枕元に、かつて仕えた王女アメリアが現れた。 「お願い…私の人生をやり直して。国を、私を、救って――」 次に目を開くと、カリナは十八歳の“王女アメリア”として転生していた。 彼女は知っている。 このままでは王国は滅び、愛する主君が破滅する未来を。 未来を変えるため、アメリアは 冷徹と噂される英雄ヴァルクとの政略結婚を選ぶ。 これは、かつて守れなかった主人のための転生。 そのはずなのに――彼への想いは、気づけば変わり始めていた。 王女と英雄が紡ぐ、破滅回避ラブファンタジー開幕。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜 挿絵はA I画像を使用 10/20 第一章完結 12/20 第二章完結 2/16 第三章完結 他サイト掲載 (小説家になろう、Caita)

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

処理中です...