引きこもりの僕がある日突然勇者になった理由

ジャンマル

文字の大きさ
13 / 47
勇者覚醒

終電 とは

しおりを挟む
 じゃあね。あたしは行くよ。
 そう言って、彼女は僕のお母さんを殺し、消えた。お巡りさん、こいつです。
「……母さん、いつまでそうしてるつもりだい?」
 ……
「お、おい」
 ……
 返事がない。ただの屍のようだ。ゥ、嘘だろ? 本当に死んでる……ふふ……ハハハ! ざまあねえな、ババア!
 と、一人歓喜していると、寒気がした。『歓喜』だけに『寒気』ですか……いや、上手くねえよ! 怖いわ!
 と、その時、電話が鳴った。
『伊勢谷さん、そっちに七瀬さん居ませんでした?』
「え? 今、僕のかあさん殺してったけど……」
 ええ!? と、驚いているが、実際僕はあまり気にしてはいない。だって、気にするもんじゃないだろ。親の死なんて。いや、感性がおかしいだけかもしれないな。
『ああ……まあ、お母さんなんていてもいなくても関係ないですけどね』
 いやいや、君がそれを言うか。ちょっと驚いた。いや、ちょっとどころじゃないけど。
『って、そうじゃないです! 七瀬さんを止めないと』
 そうだ。止めないと。
「あ、そうだ。晴ちゃん。今からそっち行くよ」
『え……?』
 そりゃあ、さっき帰ってきたばっかで、今向こうに返るんだもんな。通行料無駄過ぎるし、無駄足過ぎる。でも、自分の親の死が見れました(錯乱
 いや、そこじゃなくて。
『って事は……残ってくれるんですか!?』
 うん。というと、電話越しでもわかるくらい馬鹿でかい声で叫んでいる。やばい、耳に来る。
 まあ、残るとはいっても、居場所がないだけだけどな。ボッチは寂しいんだ。
『ですよね……一人ぼっちは寂しいですもんね』
 あかん。今なんか変なフラグ立った。これ、死亡フラグじゃないよね? ね?
『と、って事は、部屋の準備しなきゃですね』
 あっ、そこなのか。いや、どこに驚いているんだ? 僕は。
『あの……不謹慎かもしれませんが、ボスの部屋でいいですか……?』
 いいよ。と、言う声は、少し暗かった。まだ、気にしてくれているんだろう。でも、もう大丈夫だ。何しろ……親が居ない! これで、財産とか使い放題だぜええええええええ!! って、違う。僕でもそこまで最低ではない。むしろ、逆に困るのはこれからだ。親がいない=自由じゃない。という事でもある。だって、僕まだ年齢的には大学生ですしお寿司。まあ、金は父さんがくれてたから何とかなったけど、これからは管理しないとな……まあ、次期社長は晴ちゃんだけどな。能力的に。それで満場一致になった。話し合って決めたのであって、可愛いから、という僕の独断と偏見ではない。いや、少しそれもあるけど。さすがにそれを突き通すと、引かれるからやめた。
 まあ、残る気はなかったから、晴ちゃんで異論はなかったんだけど、今更戻るっていちゃったんだけどな……まあ、あっちもそうしたほうが嬉しかっただろうし、それでいいんだけど。
『あ、それと。伊勢谷さん』
 はい。と、いきなり言われるもんだから少しビビって裏声が出た。
『ボスの伝言で、使ってた銃はあげるって』
 いや、くれるんかい。というか、持ってたんかい。……ちょっと複雑な気持ちだ。形見とか、かたっ苦しいものは持ち合くなかったんだけどなぁ……まあでも、買う手間省けたからいっか。いや、形見の扱いひでえな。つくづく、自分でもそう思う。
『あ、あの……』
 おっと、忘れてた。ごめん。
『と、とりあえず! 準備して待ってますから!』
 な、なんでそんなに突き放すような言い方なんだ……まあ、照れてるんだろうな。そうに違いない。いや、絶対そうだ。……これじゃまるでロリコンじゃないか。
 いや、そうだろ。と、どこかで突っ込まれた気がするけど、気にしない。いちいちそんなこと気にしない。気にしたら負けです。はい。
「……とは言ったものの、終電間に合わねえ……」
 帰 れ な い 。
 終電逃したあああああああああああ!! やべえよ。帰れない。これがどれだけやばい事かって表すと、地球が2滅ぶレベルのやばいことだ。大げさすぎるけど。
 とりま、どうするか。……いや、家の前でなんで悩んでるんだよ! 家で寝ればいい話だろうに。なんでこんなバカなんだ、僕は。これでも、いい大学に入れるくらいの偏差値はあるんだぜ……? むしろこれしか自慢できないぼっちは……
 っと、電話が鳴る。いきなりすぎるぞ、電話よ。少しは自重してくれたまえ。
 優雅に携帯をとり、出る言葉はこうだ。
「もしもし、こちら世界一頭のいい勇者です」
 これを言うんだ……絶対。
「もしもし――」
 割り込まれる。最後まで言わせてください。
『あー、伊勢谷か?』
 むむ、むむむ? その声、七瀬さんではないか。というか……
「なんで番号知ってるんですか!?」
『こないだ電話してる時に見た』
 犯罪臭する発言です。本当にありがとうございました。
 電話の内容は――次回にしておこう。次回って何の話か知らないけど。きっと大事なことだと思うぞ。僕は。次回とか知らないけど。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります> 政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・? ※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています

俺が死んでから始まる物語

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。 だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。 余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。 そこからこの話は始まる。 セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕

英雄一家は国を去る【一話完結】

青緑 ネトロア
ファンタジー
婚約者との舞踏会中、火急の知らせにより領地へ帰り、3年かけて魔物大発生を収めたテレジア。3年振りに王都へ戻ったが、国の一大事から護った一家へ言い渡されたのは、テレジアの婚約破棄だった。 - - - - - - - - - - - - - ただいま後日談の加筆を計画中です。 2025/06/22

【完結】侍女が王女に転生?!英雄と結婚して破滅の国を救います!

カナタカエデ
ファンタジー
八十歳で生涯を終えた、元王宮侍女カリナ。 その最期の瞬間――枕元に、かつて仕えた王女アメリアが現れた。 「お願い…私の人生をやり直して。国を、私を、救って――」 次に目を開くと、カリナは十八歳の“王女アメリア”として転生していた。 彼女は知っている。 このままでは王国は滅び、愛する主君が破滅する未来を。 未来を変えるため、アメリアは 冷徹と噂される英雄ヴァルクとの政略結婚を選ぶ。 これは、かつて守れなかった主人のための転生。 そのはずなのに――彼への想いは、気づけば変わり始めていた。 王女と英雄が紡ぐ、破滅回避ラブファンタジー開幕。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜 挿絵はA I画像を使用 10/20 第一章完結 12/20 第二章完結 2/16 第三章完結 他サイト掲載 (小説家になろう、Caita)

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

処理中です...