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引きこもりの僕がある日突然勇者になった理由。(アルファ)
チームのボス
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翌日、伊東はつかまり、任務は無事に終わった。
だが、今回の任務、最後の最後で任務を完遂させた彼女。いったい何者なのだろうか。晴ちゃんも、「分からない」と、言っていた。
だが、彼女はどうやら美雨さんを知っているような口ぶりだった。まさか、知り合い……? それは、彼女が目覚めてからじゃないとわからない。
「……伊勢谷さん。提案があります」
「……? 何のだい?」
彼女の提案とはどんなものだろうか。
「彼女について、ボスが何か知っているかもしれません」
「ボス……?」
ボスなんているのか? 初耳だ。というか、居るなら教えてくれてもよかったじゃない。なんで教えてくれなかったのだ。
「……ついて来てください」
何故だ? ボスに合わせてくれるらしい。
だが、彼女の顔はどこか合わせたくない。そんな雰囲気を出していた。
「いいですか? ボスは普段は優しいですが、今はお姉ちゃんの件でかなり苛立ってます。だから、余計に怒らせるようなことはしないでくださいよ?」
「了解」
ボス……そんなキレやすい人……? いや、普段キレないなら優しい人か……? まあいい。とりあえずあってみればいい。――――
コンコン。ドアをノックする音だ。ドアをノックしたのは晴ちゃんだ。
そして、部屋の方から、「入っていいぞ」と、優しくダンディな声が聞こえてくる。
「入ります!」
晴ちゃんの足は、少しだけ。震えていた。
怒らせるとそこまでやばいのか……? 僕は、覚悟を決め、つばを飲み込む。
ガチャ。ドアを開けた音だ。そこに見えるのは――――
「やあ。初めましてだね? ……伊勢谷慎二君……?」
「は、初めまして!」
圧倒的な威圧感。僕は、その威圧に負けて、緊張してしまった。
「まあ、そうガチガチしなくてもいいじゃないか。それで、用というのは?」
「は、はい……用というのは、美雨さんの件で……」
「む……」
ボス(らしい)男が、怒りを抑えているのが、僕にもわかった。それほどに、今回の件は複雑なのだと僕は察した。
「……君たちの用というのは、恐らく。美雨君を襲った彼女の事だね?」
「はい……」
やはり、何か知っている……?
「彼女は七瀬夢実……『元』勇者だ」
元……? 一体どういう意味だ……?
「彼女はなぜ、今更になって……」
「……彼女は、ECO社と何か関係が……?」
「……無い。だが、あるとすれば、恐らく……」
何か心当たりが?
「彼女は2年前、伊東を逃がしているんだ」
「伊東を……?」
伊東を2年前に……? どういうことだ?
「当時、伊東はECO社とは別の会社の人間だった。その時に、君たちと同じように彼女を捕まえ、ブラック企業から手を引かせようとした……」
まさか、その時の逆恨み? そんなの、あり得るのだろうか? しかし、そんな私情で行動しているのなら、彼女を止めるのも任務になるのでは?
「だが、逃がした後、彼女は理由を明かさずここを去った、恐らく、伊東を捕まえるためだろう」
「それだけのために……」
「まあ、僕たちからしたらそれだけの理由になるだろうが、それが。彼女にとっては大事な任務だったんだ」
「大事な任務……?」
彼女にとっての大事な任務って、なんだろうか。例えば、命を奪われかけたとか?
「その時の被害者が、彼女の家族だったんだよ」
家族が被害者になった。だが、自分は逃がした……だから彼女を捕まえるために色々して、今回みたいになった……そこまではわかる。だが、彼女はなんで美雨さんを恨んでいるんだ?
「家族を救えなかった。それが、彼女自身には、当初のパートナーだった美雨君の責任だと勝手に思い込んでしまった」
「それだけで……」
あまりにも理不尽だった。自分の失敗した任務をパートナーのせいにする……それが彼女の当時の正しい判断だったとしても、人を殺していい理由にはならない。美雨さんは死んでいないが。
「理不尽だと思うだろう? だが、そうしないと彼女にはつらかったんだろう」
それはわかった。だが、何故今更美雨さんを?
「今回の動機はおそらく、過去との決別だろう」
「……彼女の件は把握できました。ですが、もう一つお願いがあります」
「……なんだね?」
「僕を……鍛えてください……!!」
僕は強くならなければいけない。これからは、彼女に守られるのではなく、彼女を守る立場に居なきゃいけない。そう考えたからだ。
「……君の意気込みはわかった。だが、駄目だ」
「ど、どうして……」
何故だ? 理由が分からない……ダメな理由は何だ?
「彼女たちが今強いのは、確かに私が指導したからだ。だが、それ以前に彼女たちには元からそれだけの力があった。だが、君にはそれが出来ない」
「僕に……勇者としての才能がないからですか?」
「そうだ」
返事は即答だった。なぜだ? なら、何故僕を勧誘したんだ? 勧誘する意味は何だったんだ?
「君を勧誘したのは私の命令ではない。美雨君の独断だ」
「独断って……」
「私も反対したんだがね。何故か、彼女は言っても聞かなかった」
言っても聞かない。彼女はそういう性格だ。多分。だけど、どうして独断でも僕を選んだんだ? 彼女は。それこそ、理由がわからない。
「おっと……話が随分長くなったね。私には仕事があるので、これで話は終わりだ。後の事は後で晴君にデータでも何でも、資料を渡しておこう」
「分かり……ました……」
「悔しいかね? 自分には才能がなく、彼女には才能があるのが」
「悔しいですよ……悔しくないわけないじゃないですか。男が女に守られて悔しくない理由なんてないでしょ……!」
悔しい。その感情だけが今の僕に行動させた。何故僕なんだ? ほかの人じゃ駄目だったのか? なんでだ……なんで僕なんだ……
「……じゃあ、私は行くよ」
「ボス、一体どういうおつもりで……?」
「今はなしたのは、全部本当の話だ。なんだね? 君も悔しかったのかい?」
「い、いえ……」
「では。今後の活躍に期待してるよ」
そう言い放ち、男はこの場から去った。
「くそっ……くそっ……」
今は、悔しい気持ちだけでいっぱいだった。後悔と、悔しい気持ちで、僕はどうにでもなる気がした。――
「なあ、晴ちゃん」
「なんです?」
「あのボスって人、どういう人なんだ?」
「ああ、ボスですか。彼は、木山春斗。本人はかつて日本を救ったって言ってます」
「木山……春斗……?」
何故だろう。どこかで、どこかで聞いたことがある気がした。
彼の過去についてはよくわからなかった。いや、今は知らないほうがいい気がした。知ってしまったら、何かが変わってしまう気がした。――――
次の日、ECO社の社長さんから、お礼の手紙が届いたと晴ちゃんが報告してきた。その手紙には、今はお礼が出来ないが、いつか必ず礼をすると書かれていたらしい。
任務を達成できなかった。今回僕が経験したのは、敗北だった。
その敗北が何かに役に立つとしたら、それは何処なのだろうか。それにこたえることのできない僕には、今のままじゃ役不足。お荷物なんだろう。
だけど、ボスに会って分かったことがある。それは、この仕事が時には一生を分ける判断をしなければいけないこと。そして――ボスは最低の人間だ。
だが、今回の任務、最後の最後で任務を完遂させた彼女。いったい何者なのだろうか。晴ちゃんも、「分からない」と、言っていた。
だが、彼女はどうやら美雨さんを知っているような口ぶりだった。まさか、知り合い……? それは、彼女が目覚めてからじゃないとわからない。
「……伊勢谷さん。提案があります」
「……? 何のだい?」
彼女の提案とはどんなものだろうか。
「彼女について、ボスが何か知っているかもしれません」
「ボス……?」
ボスなんているのか? 初耳だ。というか、居るなら教えてくれてもよかったじゃない。なんで教えてくれなかったのだ。
「……ついて来てください」
何故だ? ボスに合わせてくれるらしい。
だが、彼女の顔はどこか合わせたくない。そんな雰囲気を出していた。
「いいですか? ボスは普段は優しいですが、今はお姉ちゃんの件でかなり苛立ってます。だから、余計に怒らせるようなことはしないでくださいよ?」
「了解」
ボス……そんなキレやすい人……? いや、普段キレないなら優しい人か……? まあいい。とりあえずあってみればいい。――――
コンコン。ドアをノックする音だ。ドアをノックしたのは晴ちゃんだ。
そして、部屋の方から、「入っていいぞ」と、優しくダンディな声が聞こえてくる。
「入ります!」
晴ちゃんの足は、少しだけ。震えていた。
怒らせるとそこまでやばいのか……? 僕は、覚悟を決め、つばを飲み込む。
ガチャ。ドアを開けた音だ。そこに見えるのは――――
「やあ。初めましてだね? ……伊勢谷慎二君……?」
「は、初めまして!」
圧倒的な威圧感。僕は、その威圧に負けて、緊張してしまった。
「まあ、そうガチガチしなくてもいいじゃないか。それで、用というのは?」
「は、はい……用というのは、美雨さんの件で……」
「む……」
ボス(らしい)男が、怒りを抑えているのが、僕にもわかった。それほどに、今回の件は複雑なのだと僕は察した。
「……君たちの用というのは、恐らく。美雨君を襲った彼女の事だね?」
「はい……」
やはり、何か知っている……?
「彼女は七瀬夢実……『元』勇者だ」
元……? 一体どういう意味だ……?
「彼女はなぜ、今更になって……」
「……彼女は、ECO社と何か関係が……?」
「……無い。だが、あるとすれば、恐らく……」
何か心当たりが?
「彼女は2年前、伊東を逃がしているんだ」
「伊東を……?」
伊東を2年前に……? どういうことだ?
「当時、伊東はECO社とは別の会社の人間だった。その時に、君たちと同じように彼女を捕まえ、ブラック企業から手を引かせようとした……」
まさか、その時の逆恨み? そんなの、あり得るのだろうか? しかし、そんな私情で行動しているのなら、彼女を止めるのも任務になるのでは?
「だが、逃がした後、彼女は理由を明かさずここを去った、恐らく、伊東を捕まえるためだろう」
「それだけのために……」
「まあ、僕たちからしたらそれだけの理由になるだろうが、それが。彼女にとっては大事な任務だったんだ」
「大事な任務……?」
彼女にとっての大事な任務って、なんだろうか。例えば、命を奪われかけたとか?
「その時の被害者が、彼女の家族だったんだよ」
家族が被害者になった。だが、自分は逃がした……だから彼女を捕まえるために色々して、今回みたいになった……そこまではわかる。だが、彼女はなんで美雨さんを恨んでいるんだ?
「家族を救えなかった。それが、彼女自身には、当初のパートナーだった美雨君の責任だと勝手に思い込んでしまった」
「それだけで……」
あまりにも理不尽だった。自分の失敗した任務をパートナーのせいにする……それが彼女の当時の正しい判断だったとしても、人を殺していい理由にはならない。美雨さんは死んでいないが。
「理不尽だと思うだろう? だが、そうしないと彼女にはつらかったんだろう」
それはわかった。だが、何故今更美雨さんを?
「今回の動機はおそらく、過去との決別だろう」
「……彼女の件は把握できました。ですが、もう一つお願いがあります」
「……なんだね?」
「僕を……鍛えてください……!!」
僕は強くならなければいけない。これからは、彼女に守られるのではなく、彼女を守る立場に居なきゃいけない。そう考えたからだ。
「……君の意気込みはわかった。だが、駄目だ」
「ど、どうして……」
何故だ? 理由が分からない……ダメな理由は何だ?
「彼女たちが今強いのは、確かに私が指導したからだ。だが、それ以前に彼女たちには元からそれだけの力があった。だが、君にはそれが出来ない」
「僕に……勇者としての才能がないからですか?」
「そうだ」
返事は即答だった。なぜだ? なら、何故僕を勧誘したんだ? 勧誘する意味は何だったんだ?
「君を勧誘したのは私の命令ではない。美雨君の独断だ」
「独断って……」
「私も反対したんだがね。何故か、彼女は言っても聞かなかった」
言っても聞かない。彼女はそういう性格だ。多分。だけど、どうして独断でも僕を選んだんだ? 彼女は。それこそ、理由がわからない。
「おっと……話が随分長くなったね。私には仕事があるので、これで話は終わりだ。後の事は後で晴君にデータでも何でも、資料を渡しておこう」
「分かり……ました……」
「悔しいかね? 自分には才能がなく、彼女には才能があるのが」
「悔しいですよ……悔しくないわけないじゃないですか。男が女に守られて悔しくない理由なんてないでしょ……!」
悔しい。その感情だけが今の僕に行動させた。何故僕なんだ? ほかの人じゃ駄目だったのか? なんでだ……なんで僕なんだ……
「……じゃあ、私は行くよ」
「ボス、一体どういうおつもりで……?」
「今はなしたのは、全部本当の話だ。なんだね? 君も悔しかったのかい?」
「い、いえ……」
「では。今後の活躍に期待してるよ」
そう言い放ち、男はこの場から去った。
「くそっ……くそっ……」
今は、悔しい気持ちだけでいっぱいだった。後悔と、悔しい気持ちで、僕はどうにでもなる気がした。――
「なあ、晴ちゃん」
「なんです?」
「あのボスって人、どういう人なんだ?」
「ああ、ボスですか。彼は、木山春斗。本人はかつて日本を救ったって言ってます」
「木山……春斗……?」
何故だろう。どこかで、どこかで聞いたことがある気がした。
彼の過去についてはよくわからなかった。いや、今は知らないほうがいい気がした。知ってしまったら、何かが変わってしまう気がした。――――
次の日、ECO社の社長さんから、お礼の手紙が届いたと晴ちゃんが報告してきた。その手紙には、今はお礼が出来ないが、いつか必ず礼をすると書かれていたらしい。
任務を達成できなかった。今回僕が経験したのは、敗北だった。
その敗北が何かに役に立つとしたら、それは何処なのだろうか。それにこたえることのできない僕には、今のままじゃ役不足。お荷物なんだろう。
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