引きこもりの僕がある日突然勇者になった理由。メモリーズ

ジャンマル

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引きこもりの僕がある日突然勇者になった理由。(アルファ)

プラネタリウム

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―――

「さて……本当によかったのかい? 美雨君?」
「いいんです……これが彼のためになるなら」
「私も……この時間に飽きていたところだ」
(この時間……? 何を言ってるんです……?)

――――

「さて、対策を練らなきゃな」
「私に任せてください!」
「うん、任せるよ」
 違和感があった。だが、それがどこから来るのかもわからない。それに、木山春斗と名乗る男。彼についても色々と疑問が多かった。
 彼と僕はどこかで会ったことがある……? いや、そんなはずはない……はずだ。しかし、どこか懐かしい気がする。なぜだろうか。わからない。しかし、これだけはわかる。彼は、勇者の中でも強い部類だ。精神的にも、実力も。
「なあ、あんたら」
「なんだよ」
「そこまでして助けたいのか?」
「もちろんだろ?」
 何故だ? 助けちゃいけない? 助けちゃいけないとしたら理由は何だ?
「……今のは忘れてくれ」
「あ、う、うん」
 何を言いたかったのだろうか? 彼女の性格はよくわからない。正確というか、行動原理がわからないが。わかりたくもないです。
「さーて……どうしようかね」
「とりあえず、気分転換でもしてきたらどうです?」
「今はそんな気分じゃ……」
「まあまあ、そんなんじゃ作戦に集中できないですよ?」
「それも……そうか」
 姉が死ぬかもってときにいったい何を転換するんだ。姉妹揃って行動パターンが読めない。読めないってか、マジで何考えてんだ……
「決まりですね! じゃあ、待っててください」
「え?」
「なんです? 私も行きますよ?」
「で、ですよねー……」
 気分転換……なんだこの展開? マジで策考えなきゃ。でも、もう遊ぶ気満々だよ、あの妹さん。
「あ、七瀬さんも行きます?」
「うーん、どうしようかな―」
 気分転換。それは彼女も含むのか……まあ、本人がいいなら文句はないのだけど……というか、なんで七瀬さんまでノリノリなんだ。それ遠回しに死ねって言ってるだろ。絶対。いや、決めつけはよくない。
「で、晴ちゃん、どこに行くんだい?」
「秘密です」
 一体どこに連れてかれるんだ……とりあえず、気分転換するとだけは言っていた――
「目を開けないでくださいよ」
「う、うん」
 なんだ、この状況。全く気分転換できてない。むしろ目隠しされて余計に美雨さんの事を考えてしまう。なんでこんなことに……
「もうちょっとです」
 後どれだけこの状況が……
「もう開けて大丈夫です」
「や、やっとか……」
 目を開けたら、日が暮れていることに気付いた。
「一体どれだけ歩かされたんだ……」
「ざっと、4時間ですね」
「う、うわぁ……」
 4時間も目を開けずに歩いてたのか……周りから見たらただの変人じゃないか……というか、この脱力感はそのせいか。多分、目隠しで歩いたってのもあるんだろうけど、すごく疲れた。
「で、ここは?」
「プラネタリウムです」
「プラネタリウム……?」
「はい!」
 正直、天体観測とか、星を見るのとか。嫌いだ。嫌いな具体的な理由は特にないが、家でじっとパソコンと向き合っている方がいい。家でスレを見てた方が楽しい。
「あ、始まるみたいです! ここのすごいんですよ?」
 無邪気な顔。可愛いです。おっと、ロリコンじゃございません。仮に変態だとすれば変態という名の紳士です。
 と、何を言ってるんだ。僕は。しかし、いくら気分転換と言っても、時間がないのに変わりはない。早く、策を考えて助け出さないと。
「……伊勢谷さん」
「ん?」

―――同時刻―――

「もしもし?」
『あ、七瀬君?』
「そうですが……」
『今伊勢谷君たちは?』
「いないっすわ」
 七瀬さんの電話の相手……誰だ? ミスターKだろうか? だとすれば、何故犯人と連絡を……?
『え? い、いない?』
「なんかー気分転換って言って出ていきました」
『そ、そうか……』
「いやーあの子も度胸ありますよねー姉が危険だって言うのにデートなんて」
『ん、ん……?』
 ボス、ついて行けてないです。七瀬がなぜついてこなかったかは知らないが、少なくとも、僕たちとあまり仲良くする気はないようだ。

――――――

「……伊勢谷さん」
「ん?」
「お姉ちゃん……絶対に助けましょうね」
 彼女は、いい気分転換になったのか、いつになく熱くなっていた。なるほど、これが炎の魔人のご加護か。実に興味深いです。
「助けるよ。絶対に」
「なら、いいです」
 なんか、和む。いけない。そんなこと言ったらいけない。そう思いつつも、何かに目覚めかけている僕である。
 だが、ロリコンではない。(以下省略
 気分は晴れた。大分落ち着いた。
 そんなこんなで、期限の1日目は過ぎてしまった。
 というか、何もせずに終わった……明日から、真剣に考えなきゃな。期限はあと2日。実行日が2日後だとすれば、明日作戦を練らなきゃいけないことになる。だけれど、気分転換に誘ってくれた彼女にもお礼を言いたい。そして、今の彼女のやる気なら、何とかなるだろう。

 それより……夕飯はこの近くのラーメンだ。美味しいとこ知ってるじゃねえか。楽々停とか一番好きなとこだ。わかってんじゃねえか。
「伊勢谷さん、しょうゆとみそかソルト、どれにしますか!?」
 いや、なんで塩だけ英語なんだよ! ま、まあ、みそは英語でもみそだからな……って、そうじゃない。僕は断然みそ派だ。これは揺るがないっ!
「えー、そこはソルトでしょ?」
 うう、なんでそんな目で見るんだ。いや、変えないぞ? みそだ。変える気はない。絶対にみそだっ!
「み、みそに何かあるんですか」
 ちょっと怯えて彼女は聞いてきた。
 うぃーだろう。答えてやる。(あれ? アウトな口調になってね?)
 みそとはーー
「長くなりそうなので先に食べますね」
 おうふ。語らせろ。みそについて語らせろ。と、その時、電話だ。
『お前! どこほっつき歩いてんだ!』
 な、七瀬さん? どうしてそんなにご乱心……あっ。
『お前なあ……人の命かかってんのになんでそんなのんびりできんだよ!』
「ご、ごめんなさい……」
『いいから。早く戻って来い』
 はい。戻ります。ただし――もちろんラーメンを食ってからだっ!
『(あいつ、すする音聞こえたが……ラーメンか? 楽々停だな? ……あたしもついて行けばよかったっ!)』
 怒られたので、今の内容をまんま晴ちゃんに伝えた。
「あー、そういえばそうでした」
 ファ!? こ、この子、姉の命をなんだと思ってるの……!
「お姉ちゃんが死ぬわけないじゃないですか。あれを殺せるのは筋力極振りのゴリラだけです」
 お、おう。なんかたとえがわかりやすい。この子もゲーマーか。それも、格ゲーの。姉妹揃って世界チャンピオン……?
 でも、彼女にリアルの戦闘能力はないから安心だな。
「……帰ったら、格ゲー、しましょうね?」
 怖い。威圧かかってる。怖い。でも、負けないぞ。何年引きこもってやり込んだと思ってるんだ。僕はねっとりファイターズ2はかなりやり込んだからな。
「あ、ねっとりファイターズ2はお姉ちゃんといっつもやってるから甘く見ないほうがいいですよ」
 な、なんだと。つまり、世界チャンピオン並みの実力……! いいぜ、その方が燃えるからな。ふふ、楽しくなって……じゃない! 美雨さんを助けるんだよ!
「ですね。救出の作戦練りましょう。ねっとりファイターズはその後です」
 
 残り時間――45時間
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