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奪還作戦
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王族派と引きこもりの覇権争いは今も続いている。その争いはかれこれ十数年。王族派に従わない引きこもりを何とかしようと王族派がなんやかんややっているんだ。王族派は正直僕も嫌いだ。とうぜん引きこもりはみんなそう言う。でしょうね。だって、色々ひどい仕打ちをしてきた奴らだ。嫌われて当然である。まあ、当の本人たちも承知でやってるんだから尚更タチが悪い。いや、たちが悪いだけじゃないか。
「はあ、この覇権争いはいつ終わるんだか……」
ブラック企業と呼ばれるものは主に王族側が引きこもり派の人間に対して行う仕打ちである。主に徹夜させて残業代が出ないとか、上司から過剰な仕事を押し付けられたりだとか。そう言うものだ。そう言う仕打ちを奴らはたくさんしてきた。だからこそ決して和解することはないのである。和解したところで……どうにかなる問題じゃないか……
何はともあれ、妹はそんなブラック企業を止めると言い始めた。これはよくよく考えたら止めなかった僕が悪い。僕のせいである。ああ、なんちゅうことしたんだ僕は……どんな危険なことをされるかわからないぞ、それに彼氏だってもしかしたら――王族派かも知れない。これはまずい、まずいぞ!
「どうする……どうするか……」
絶体絶命のピンチ……ではないか。妹の人生がかかってるかもしれない大事なことだ。どうする……助けに行かないとまずいよな、流石に。よし、行こう!!
しかしその時の僕は知らなかった。まさか、あんなことになるなんて――
妹を探しに外に出る。久しぶりの外である。……少しふらつくな、足元が。だけどやらなきゃいけないんだ。僕は。
ぷるる。電話がかかってくる。
「もしもし! 杏子か!」
『ざんねーん、引きこもりのおにいさーん?』
「やっぱりてめえが杏子の彼氏で王族派の人間か!!」
『ぴんぽんぴんぽーん。大正解』
「てめえ!!」
『あ? 口出しするなら勇者? にでもなってみろよ、雑魚が』
「つ……!!」
沸点低いな、僕。改めると。だけど許せない。妹をさらった上に僕の事を馬鹿にスルだぁ? 許せませんな。許せないな。これはやってやるしかないじゃないか。
「勇者になってやるからそこで正座して待ってろっ!!!!」
『はー?』
ぶつ。
つーつー。
電話を切る。胸糞悪いからだ。でも、これからどうする。あそこのサイトに書いてあった番号に電話するか? いや、それでもなれる保証はない……どうする、どうする僕!!
「あのー、もしかして勇者志望ですか?」
「え? あなたは?」
「勇者育成協会の者です」
「! なれるのか!? 今すぐ!!」
「もちろんです」
これ以上にない話だ! 乗らないわけないだろ! こんなことなら最初からやればよかったとは思うけど……それでも、今はやらなきゃいけないことが増えた。やらないとな。妹を助けて王族の糞野郎をぶっとばす。それが今の僕に残された試練だ。えっと、そういえばこの人の名前は――
「あの、お名前を――」
「花沢美雨です」
「僕は伊勢谷慎二です」
「伊勢谷さん。やることはわかってますね」
「もちろん」
「今はまだ仮契約です。この件が片付いてやる気になったらいつでも来てください」
「了解」
そうして開始する。妹奪還作戦を。行くぞ!!
「あ、これ持ってください」
「これは……?」
「デザートイーグルです」
「しれっと渡すもんじゃ無くね!?」
しれっととんでもないものを渡されたが今は惜しんでいる時間はない。電話にて限が言われてた。期限は明日の正午。それまでに奪還しにこなければ杏子の命はない、と。脅されるなら脅し返せ、だ。脅してやったさ、もちろんな。言ってやったさ、妹に手を出すようなら容赦なくお前の命ちょうだいするぞ! ってな。脅しになってなかったかも……しれないけど……
「さて、行きましょうか。私たちの戦いはこれからです!」
「おう。って、最終回みたいな言い回しはやめてくれよ!」
「あら、すみません。無意識で」
「無意識なら仕方ないですね、はい」
美人に弱い僕。この弱点は絶対勇者向けじゃない……それでもやるけどね、僕は。一度その気になった僕は止められない。実際杏子ですら止めたことはない。それほどまでに決意を固めた僕は強いということだ。
勇者。それは人の神理を超えていく存在。人としての在り方を捨て、魔王討伐にすべてをささげる人間だ。僕だって、妹奪還のためならこの命、神に返してもいい。それほどの決意で挑むんだ。僕は王族派に。
「任務は伊勢谷京子の奪還。王族派の確保の後拷問です」
「拷問!?」
「ええ。そこまでやらないと」
「まじかよ……」
「はい、まじです」
奪還後が怖いよそれ……拷問って何されるんだ。アイアンメイデンにでも入れられるか? それはさすがに無いか。せめて殴られ続けるくらいだろ。それにしても……
何故妹を狙ったんだ? 王族の人間は。それなりの考えがないと誘拐なんて考えられないはずだ。それに、妹が特殊な何かだとしたら既に本人は知っていたはずだ。なぜ相談してくれなかった? いや、相談するのが怖かった、とかか……
僕たちの奪還作戦は静かに幕を開けた。
「はあ、この覇権争いはいつ終わるんだか……」
ブラック企業と呼ばれるものは主に王族側が引きこもり派の人間に対して行う仕打ちである。主に徹夜させて残業代が出ないとか、上司から過剰な仕事を押し付けられたりだとか。そう言うものだ。そう言う仕打ちを奴らはたくさんしてきた。だからこそ決して和解することはないのである。和解したところで……どうにかなる問題じゃないか……
何はともあれ、妹はそんなブラック企業を止めると言い始めた。これはよくよく考えたら止めなかった僕が悪い。僕のせいである。ああ、なんちゅうことしたんだ僕は……どんな危険なことをされるかわからないぞ、それに彼氏だってもしかしたら――王族派かも知れない。これはまずい、まずいぞ!
「どうする……どうするか……」
絶体絶命のピンチ……ではないか。妹の人生がかかってるかもしれない大事なことだ。どうする……助けに行かないとまずいよな、流石に。よし、行こう!!
しかしその時の僕は知らなかった。まさか、あんなことになるなんて――
妹を探しに外に出る。久しぶりの外である。……少しふらつくな、足元が。だけどやらなきゃいけないんだ。僕は。
ぷるる。電話がかかってくる。
「もしもし! 杏子か!」
『ざんねーん、引きこもりのおにいさーん?』
「やっぱりてめえが杏子の彼氏で王族派の人間か!!」
『ぴんぽんぴんぽーん。大正解』
「てめえ!!」
『あ? 口出しするなら勇者? にでもなってみろよ、雑魚が』
「つ……!!」
沸点低いな、僕。改めると。だけど許せない。妹をさらった上に僕の事を馬鹿にスルだぁ? 許せませんな。許せないな。これはやってやるしかないじゃないか。
「勇者になってやるからそこで正座して待ってろっ!!!!」
『はー?』
ぶつ。
つーつー。
電話を切る。胸糞悪いからだ。でも、これからどうする。あそこのサイトに書いてあった番号に電話するか? いや、それでもなれる保証はない……どうする、どうする僕!!
「あのー、もしかして勇者志望ですか?」
「え? あなたは?」
「勇者育成協会の者です」
「! なれるのか!? 今すぐ!!」
「もちろんです」
これ以上にない話だ! 乗らないわけないだろ! こんなことなら最初からやればよかったとは思うけど……それでも、今はやらなきゃいけないことが増えた。やらないとな。妹を助けて王族の糞野郎をぶっとばす。それが今の僕に残された試練だ。えっと、そういえばこの人の名前は――
「あの、お名前を――」
「花沢美雨です」
「僕は伊勢谷慎二です」
「伊勢谷さん。やることはわかってますね」
「もちろん」
「今はまだ仮契約です。この件が片付いてやる気になったらいつでも来てください」
「了解」
そうして開始する。妹奪還作戦を。行くぞ!!
「あ、これ持ってください」
「これは……?」
「デザートイーグルです」
「しれっと渡すもんじゃ無くね!?」
しれっととんでもないものを渡されたが今は惜しんでいる時間はない。電話にて限が言われてた。期限は明日の正午。それまでに奪還しにこなければ杏子の命はない、と。脅されるなら脅し返せ、だ。脅してやったさ、もちろんな。言ってやったさ、妹に手を出すようなら容赦なくお前の命ちょうだいするぞ! ってな。脅しになってなかったかも……しれないけど……
「さて、行きましょうか。私たちの戦いはこれからです!」
「おう。って、最終回みたいな言い回しはやめてくれよ!」
「あら、すみません。無意識で」
「無意識なら仕方ないですね、はい」
美人に弱い僕。この弱点は絶対勇者向けじゃない……それでもやるけどね、僕は。一度その気になった僕は止められない。実際杏子ですら止めたことはない。それほどまでに決意を固めた僕は強いということだ。
勇者。それは人の神理を超えていく存在。人としての在り方を捨て、魔王討伐にすべてをささげる人間だ。僕だって、妹奪還のためならこの命、神に返してもいい。それほどの決意で挑むんだ。僕は王族派に。
「任務は伊勢谷京子の奪還。王族派の確保の後拷問です」
「拷問!?」
「ええ。そこまでやらないと」
「まじかよ……」
「はい、まじです」
奪還後が怖いよそれ……拷問って何されるんだ。アイアンメイデンにでも入れられるか? それはさすがに無いか。せめて殴られ続けるくらいだろ。それにしても……
何故妹を狙ったんだ? 王族の人間は。それなりの考えがないと誘拐なんて考えられないはずだ。それに、妹が特殊な何かだとしたら既に本人は知っていたはずだ。なぜ相談してくれなかった? いや、相談するのが怖かった、とかか……
僕たちの奪還作戦は静かに幕を開けた。
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