引きこもりの僕がある日突然勇者になった理由。ファイナル

ジャンマル

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引き英

虹彩

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 ーー虹だ。全く。こんな時だってのに、虹は構わずに出るんだな。今、僕達に必要なもの。それはーー覚悟だ。誰よりも強い覚悟。誰よりも硬い覚悟。それは、自分たちで決めることだ。

「みんな、聞いてくれ」
「お?」
「この作戦の概要を話す」
「来たか」

 議事堂に乗り込み、日本政府の腐った現状を露にする。それはーー恐らく僕達も無事じゃない。だからこそ、覚悟がいるんだ。誰よりもーー強い。誰よりもーー硬い。

「なるほどな……最初にたどり着いたやつがやれってか」
「うん。多分警備も厳重になる。重火器の使用もあるかもしれない」
「……最初についた奴の命は保証出来ねぇと?」
「そうは言ってない! そうは……言ってない……」
「伊勢谷さん、いっそのこと議事堂を切り刻むのは?」
「ダメだよ、三国さん」

 でも、それくらいの覚悟でいてくれた方がありがたい。
 だって、命の保証はーーできないのだから。
 恐らくこの国は失われたはずの箱を探し出すだろう。その前に打たなきゃいけない最善の手を。もっとも効果的な手を。

「半蔵」
「む?」
「多分お前が最初になるだろうけどーー」
「覚悟、できてるんじゃなかったのか」

 そのときの半蔵は忍びではなかった。一人の人間ーー一人前の先輩として僕に話しているようだった。

「覚悟を決めないとダメって言ったのはお前だろ? なら心配すんな。必ずやり遂げて、生きて帰る」

 その言葉にーー嘘はあるのだろうか? 僕にはーーわからなかった。

 日本支部の抱える問題。それは、日本政府という裏ですべてを統率する化け物だ。そんな化け物に、僕たちは挑まなければいけない。……そのゆがんだ世界を変えるために。
 ブラック企業――生まれるべくして生まれたものではない。日本政府が狂い始めた時、給料という概念も歪んでいった。そして、それを統一すべく生まれた特殊機関、Redfox。そう、ケビンたちの居た機関だ。ブラック企業を裏でひねり潰す。ねじ伏せる機関だ。元は、七瀬さんもそこの一員だった。しかし、父さんの計らいにより、こちらに移った。そう、全員移ってはいたんだ。……事実上は。
 裏でRedfoxを潰そうとする父さんの思想。本気で復讐を誓おうとしたケビン。親友だったはずの二人の意見がぶつかり合い、そして、晴ちゃんが死んだ――

「伊勢谷さん?」
「ご、ごめん。考え事」
「あまりそう言うのって体に良くないですよ?」
「あ、うん。ありがとう。美雨さん」
「その」
「?」
「いつになったら……呼び捨てしてくれるんですか?」

 ……。

「この仕事が終わったら。じゃダメかな?」
「了解です。今のあなたは――立派にお父さんの代わりが務まってます」

 にっこり。今までに見せたことのないその笑顔は、正直可愛かったし、元気をもらった。死ぬな。そう命令したのは僕だけど、生存率の低いものから死んでいくこの作戦に、生存率なんて言葉は要らない。むしろ――一番最初にたどり着くであろう半蔵が一番負担がかかってしまう。ケビンや三国さんたち無きあとのRedfoxだ。裏切り者として殺されてもおかしくない。
 それに――ケビンの残したものは、野望でも何でもない。純粋な――呪いだ。日本への復讐を誓った男の悲しき復讐劇。

 それは――もうじき終わりを迎えようとしていた。
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