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引き英
半蔵
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――数年前――
「よお、半蔵」
「むっ、ケビン殿」
あの時でござった。拙者の人生が変わったのは。いや――決まっていたのかもしれない。こうなることは。それに――そうだ。この時に、拙者は伊賀島流を自分の物にした。里を裏切る形で、日本の特殊機関、「Redfox」のメンバーになった。ケビンの野望――そんなものどうでもよかった。ただ、拙者は国のために忍びとなりたかった。ただ、国のために任務を遂行する本物の忍者になりたかった。
「分かったでござる」
「その反応を待ってたぜ」
この時、少なからず気付いていた。彼の野望に。同時に、拙者は木山殿から勇者育成協会の日本支部メンバーへも勧誘されていたし、ケビン殿も、同じくフランス支部のメンバーだった。故に――木山殿は怒っていた。裏切ったケビンを。唯一無二の親友を認めた男の野望を。
そして、勇者育成協会の最終任務として、木山殿はケビンを止める任務を仕向けた。来るべき時、叛逆の狼煙を上げるために。
「あ、半蔵さん」
「む? 佐助?」
猿高佐助。拙者と子供時代を共にした伊賀島流の忍者だ。それ故に――遥かさき、対峙することになるとは思ってもいなかった。彼は、ケビンを慕っていた。自分を拾ってくれた恩義を守るため、彼は木山殿の誘いを断った。そして――勇者へとならず、暗殺者となることを選んだ。
――
「なんで……なんであなたと戦わなきゃいけないっ!!!」
「それはお主がケビンの呪縛に捕らわれ続けているからでござる!!」
「違う!! 僕はただ、彼を尊敬していただけだ!!」
「それが間違っていたと何故気づかない!!」
本音をぶつけ合う。誰よりもお互いを理解しようとした。誰よりもお互いを罵倒しようとした。……その結末は、はかなく、もろかった。
「でやああああああああああああ!!!」
ざくり。
確かにそう聞こえたのは確かだ。意識が薄れていく。しかし――ただでは死ねない――そうだ。無意識に、術の印を結んでたなあ。最後まで――忍者として生きる道を選んだ人生だったなあ……
火遁の術。確かに無意識に結んでいた印は火遁の術のものだった。薄れゆく意識の中、炎が舞い上がる。おそらく――死体は残らないだろう。僕も、佐助も。相打ち。そう呼ぶのにも等しい結末は、確かに拙者の人生を振り返るようなものだった。しかし――それでも――
「さい……ごの……あがき、だ――」
火遁の術によりあたり一帯が燃え上がる。警報が鳴る。シャワーのように、雨のように水が飛び散る。しかし、それだけで消せるはずがない。忍術は、人類の一歩上。科学の一歩上を行く、解読不可能な「奇跡」に近いのだから。
それだけに、この魂の炎は消えない。いつまでも。いつまでも――
―――
「終わったね。みんな」
「ああ。しかし斬り足りないな……」
「は、半蔵は?」
「戻って……無いですね」
「もしかして……さっきの警報は……」
数分前、火事の警報が鳴った。もしかして――半蔵の術……?
「……見てくる」
「危険です!!」
「三国さん!」
「分かっている!」
万が一に備えての三国流は強力だ。それに――多分、死に際の忍術って消えないものだと思う。なんだか、そんな感じがする。
「無事でいてくれ、半蔵――!!」
「よお、半蔵」
「むっ、ケビン殿」
あの時でござった。拙者の人生が変わったのは。いや――決まっていたのかもしれない。こうなることは。それに――そうだ。この時に、拙者は伊賀島流を自分の物にした。里を裏切る形で、日本の特殊機関、「Redfox」のメンバーになった。ケビンの野望――そんなものどうでもよかった。ただ、拙者は国のために忍びとなりたかった。ただ、国のために任務を遂行する本物の忍者になりたかった。
「分かったでござる」
「その反応を待ってたぜ」
この時、少なからず気付いていた。彼の野望に。同時に、拙者は木山殿から勇者育成協会の日本支部メンバーへも勧誘されていたし、ケビン殿も、同じくフランス支部のメンバーだった。故に――木山殿は怒っていた。裏切ったケビンを。唯一無二の親友を認めた男の野望を。
そして、勇者育成協会の最終任務として、木山殿はケビンを止める任務を仕向けた。来るべき時、叛逆の狼煙を上げるために。
「あ、半蔵さん」
「む? 佐助?」
猿高佐助。拙者と子供時代を共にした伊賀島流の忍者だ。それ故に――遥かさき、対峙することになるとは思ってもいなかった。彼は、ケビンを慕っていた。自分を拾ってくれた恩義を守るため、彼は木山殿の誘いを断った。そして――勇者へとならず、暗殺者となることを選んだ。
――
「なんで……なんであなたと戦わなきゃいけないっ!!!」
「それはお主がケビンの呪縛に捕らわれ続けているからでござる!!」
「違う!! 僕はただ、彼を尊敬していただけだ!!」
「それが間違っていたと何故気づかない!!」
本音をぶつけ合う。誰よりもお互いを理解しようとした。誰よりもお互いを罵倒しようとした。……その結末は、はかなく、もろかった。
「でやああああああああああああ!!!」
ざくり。
確かにそう聞こえたのは確かだ。意識が薄れていく。しかし――ただでは死ねない――そうだ。無意識に、術の印を結んでたなあ。最後まで――忍者として生きる道を選んだ人生だったなあ……
火遁の術。確かに無意識に結んでいた印は火遁の術のものだった。薄れゆく意識の中、炎が舞い上がる。おそらく――死体は残らないだろう。僕も、佐助も。相打ち。そう呼ぶのにも等しい結末は、確かに拙者の人生を振り返るようなものだった。しかし――それでも――
「さい……ごの……あがき、だ――」
火遁の術によりあたり一帯が燃え上がる。警報が鳴る。シャワーのように、雨のように水が飛び散る。しかし、それだけで消せるはずがない。忍術は、人類の一歩上。科学の一歩上を行く、解読不可能な「奇跡」に近いのだから。
それだけに、この魂の炎は消えない。いつまでも。いつまでも――
―――
「終わったね。みんな」
「ああ。しかし斬り足りないな……」
「は、半蔵は?」
「戻って……無いですね」
「もしかして……さっきの警報は……」
数分前、火事の警報が鳴った。もしかして――半蔵の術……?
「……見てくる」
「危険です!!」
「三国さん!」
「分かっている!」
万が一に備えての三国流は強力だ。それに――多分、死に際の忍術って消えないものだと思う。なんだか、そんな感じがする。
「無事でいてくれ、半蔵――!!」
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