引きこもりの僕がある日突然勇者になった理由。ファイナル

ジャンマル

文字の大きさ
244 / 271
LEVELZEROafterSTORY~Venus Tune~

契約

しおりを挟む
「出来た―?」
 私たちは、普通の生活に戻ることにした。当然、アニメ研究会だ。最も――人を殺すことについてはやってしまっているが。それがもう生きるためには仕方ないことだから、あえて何も言わないが。
「出来た!」
 私たちは、今回の一連の騒動をすべてまとめた日記のようなものを書こうとなった。当然、筆がすらすら進んだ。まんま、体験したことを書けばいいのだから。これは――コミケ行きかなあ。どうだろう。まあでも普段の部活がこんな感じだしいいか。仕方ないよね。
「ねえねえ、またビースト」
「また? ……仕方ないわね」
 最近、ビーストの数が増えた気がする。何かあるのだろうか? だとしても、それを阻止するだけなのだけれども。だが、しかし、三人目が見つからないのはおろか、御蔭の隠し持っていた各個体も見つからない。見つかったところでどうするんだろう……私たちは。気持ち悪いから、殺す? それとも――
「ビースト、最近すごい弱い気がする。なんか不吉だよ」
「た、確かに……」
 最近のビーストは、魔法を使ことなく倒せてしまうほど弱い。何か、何かがおかしい。
「そういえばさ、御蔭があの人って――」
 そう言いかけるときには、すでに千佳は部室を抜け出し、ビーストを倒しに向かっていた。私も、言葉を飲み込み、後を追いかける。その背中は、少し幼かった。私たちはクローンであるが故に、年を取らない。だからこそ、あの幼い背中が余計に好きで――

 千佳のところへ行くと、すでにビーストと誰かが戦っていた。一体、誰が?
「ああ、あなた、あの時の」
 あの時の? 私は覚えがなかったので、首をかしげる。どこかで、どこかであっただろうか? 向こうが覚えている――つまり、人間であるということだ。
「芽衣がいない……そっか。まあ、仕方ないか……」
 芽衣という名前を出されて、私は自然と口から、言葉を漏らす。
「知って、るんですか?」
「! お前、覚えてるのか!?」
 その食いつきようから見て、多分その子の知り合いだろう。ここまで行ってしまったんだ。知らないとは言いようがない。知っていますと、口にしてしまった。全く知らないというのに。何故そんな名前を知っているといったのかはわからない。千佳だって、たまたま名前を知っただけだし。……でも、芽衣は私たちが知っておかなければいけない。そんな気がした。だから、その話に食いついて行った。
「芽衣。西條芽衣。彼女は、私たちと同じ魔法少女だった」
「ま、待ってください! 魔法少女って言いました!?」
「え、ええ。そうだけど?」
 おかしい。おかしい、おかしい! 魔法少女は私たち三人のクローンしか存在しないはずだ。顔も、名前も。それなのに魔法少女!? ありえない!
「……私たちはとある人からこの力をもらった。もっとも、芽衣とは違う方法だけど」
「その話――詳しく聞かせてください」
 これが、もしかしたら御蔭の言っていたあの人とつながるのかもしれない。そう思って、そう思って私はその話を聞く。たとえ関係がなくても、私たちが死ななくていい方法があるのならその方法を、可能性を信じてみたい。だから、だから!
「Mr.レディオ……そう名乗っていたわ」
「壊れかけの……?」
「そう。それ以外には、とくには何も」
 情報は、たったそれだけだった。でも、もう少し情報が欲しかった。それだけじゃあ、駄目だ。もっと、もっと情報が……
 私が焦っているのを見かねてか、千佳が肩をポンと叩く。それで、少しは落ち着いたかな……
「綴。それ以上は知らないって言ってるんだから……」
「あなた達、私たちのリーダーにあってみる?」
 そう言われた。リーダー……多分、その人なら確実に何か知っているだろう。それに、芽衣についてももう少し聞きたい。だから、その人に会ってみる。それが私と千佳の答えだ。
「分かった。ついて来て」
 そう言われ、私たちは彼女についていく。そこは、私たちのいる学校の中にあるという。学校にそんな場所あったっけ?
 廊下を出て、私たちはずっと気になっていた通行禁止のコーンのおいてある場所へ向かわされる。ここって、意図的に止められていたの……?
 つ……! 頭に電撃が走ったような感覚が走る。そ、そうだ、だからいつもあんなに近くに――
「ここに私たちの基地があるの、内緒だよ」
「はい」
 奥に向かっていくたびに、光が消えていく。薄暗い場所で……本当に基地などあるのだろうか? だが、ちょうど半分、といったところで、光が差し込んでくる。……ドアが左右に。そして中央に分かれていた。
「奥がリーダーたち第一部隊、左が私たち第二部隊。そして右が――あなた達が来るはずだった『第三部隊』よ」
「私たちが?」
 そんな約束、しただろうか。覚えが――いや、消えているだけか? いや、にしてはおかしい。普通消えるだけなら芽衣って子の記憶だけのはずだ。ならば、この人たちとかかわった記憶がないのはおかしい。
「ああ、自己紹介まだだったね。私はメオ。サリア・フォード・メオ」
「メオさん……ですか」
 見る限り、外人系の人だ。だが、そんな人までもが魔法少女に?
「詳しい話は全てリーダー……御蔭美夏がしてくれるはずよ」
「御蔭!?」
 嘘だ。あいつは死んだ。死んだはずだ! なのに、なのになんで!
「えっ、し、知っているの?」
「知ってるも何も、私たちの生みの親――ですし」
 そう言うと、まゆをひそめていった。
「どういうこと? 彼女はまだ『10歳』よ?」
 え……? 何かが、何かがおかしい。御蔭? 10歳? なんの事なんだ? それに、そんな幼い子がリーダー? ふざけているの?
 無造作にバン。とドアが開かれる。そこに居たのは、確かに10歳の小さい女の子だった――だが、見覚えがあった。確かに、見覚えがあった。
 私たちは、三人、声をそろえていった。
「「「私がいる!?!?」」」
 千佳に似てもいる。私にも似てもいる。それは、そのはずだった――
「び、びっくりしたのじゃ……ああ、そうか。おぬしらが例のわしのクローンじゃな?」
 その喋り方は、とても10歳とは思えなかった。
「え、えっと、私たちが――あなたをモデルにって……ことですか?」
「そーいう事じゃ!! まあ、よろしく頼むのじゃ!」
 よろしくって――ええ!?
「おぬしら困っとるじゃろ? 色々と。わしらとしばらく一緒に行動せんか?」
「つまり、一緒にここで行動しろと?」
「そう言う事じゃ。いくらクローンの『疑似・魔法少女』でもわしらと何ら変わらんからの。魔力の違い以外は」
 やはり、私たちと彼女らとでは魔力が明らかに違うという事だろう。それについても聞きたかった。
「魔力は、どうしてるんですか?」
「わしらか? わしらはな、人間の感情を魔力にしとるんじゃよ」
 人間の……感情を……!?
「おぬしらは魂。わしらは感情。まあ、人間のどこかの部分を使わんとこの機能は使えんからの」
「感情って、どんな……ですか……?」
「んー、例えば、負の感情とか、ってったほうが分かりやすいかの?」
 感情を――奪い取る。そういうふうにも取れた。人間の感情を利用――確かに、ずっと使い続けるには問題ない。だが、使い続ければそのうち人類は感情を失う。殺しも躊躇わない、そんな殺人鬼にもなりかねない。
「感情がなくなる。多分開発者であるあやつはそれを利用したかったんじゃろうな」
 だが、疑問がある。彼女らがそうだとすれば、どうやって芽衣と一緒に活動できたか。だ。
「ああ。芽衣か。あいつならわしらが感情奪って廃人になった奴らを食ってたの」
 それは――共存の道かもしれない。だけど、感情を奪い取られた上に魂すらも食べられる。それじゃあ、その人は本当にかわいそうだ。かわいそうでは収まらないが――
「そうするしかないんじゃよ。わしらだって契約するときに『ためらう』って言う、人を殺す、恐怖心を取られたんじゃからの」
 契約させる――そのためだけに、恐怖心を取られる。いやだ、私は、人形であるうえに、恐怖心を覚えたら今度こそ殺人鬼になる!! それだけ嫌だ!!!
「私たちは――私たちは――殺人鬼にはなりたくない!!」
「はあ……母上も随分頑固なもんおいてったもんじゃのお……」
 やはり、御蔭の娘。だからこそ、非道である――非道でなければいけない。
 だが、この力を授けたのは御蔭ではない。御蔭の目的は――本当にしたかった目的は――
「母上はわしらに対抗するためにおぬしらを作った。死んでも死に切れん量産型の、戦闘マシーンをな」
 ……じゃあ、私たちは彼女らを殺すためだけに……
「じゃが、芽衣はすぐさまそれに気づきわしらに協力した。母上に、共存の道を見せたかったんじゃろうな」
 だから、だからこそあの時の千佳は……あの時――あの時って――
「もう無理しなくていい。おぬしらの自閉心が契約主であるクローンの記憶をオックしとる。自閉心をすてるんじゃ」
 ……そんなことを言われても、無理だ……思い出したら、駄目な気もする……でも、でも、思い出したい……
「……はあ、思い出したくないならそれでいい。じゃが、いずれは嫌でも思い出すじゃろうな」
 そういって彼女が取り出したのは、私たちの――取り扱い説明書だった。そんなものあったのか……
「まあ、おぬしら自分らで研究したんじゃろ?」
「え?」
「芽衣から全部聞いとるからの」
 芽衣と――もう一人……千佳……なの……?
「この際もう一つ教えてやる。お前ら、入って来い」
 そう言いって、入ってきたのは見覚えのある顔――
 そうだ、私たちがアニメ研究会を作った時に居た他のメンバーだ。
「あなた達捕食されたんじゃ!?」
「あれは芽衣の嘘よ……私たちは芽衣に助けられてここに連れてこられた。そして契約させられた。……本当は嫌なのに。こんなこと」
 そう言って、戻っていいぞ。と言って彼女たちは第二部隊の部屋に入っていった。
「いやいや行ってるがの、あいつらの実力は本物じゃ。だからああして第二部隊におる」
 ……屑は親譲り。そう言う事かな?
「契約させたのはわしじゃない。Mr.レディオ。そう言ったじゃろ」
「そいつは何処に!!」
「知ってたらとっとと問い詰め取る!!」
 ……じゃあ、私たちは何のために……

 私たちの新しい戦いは――今始まろうとしていた。
 魔法少女同士の争い――感情を掛けるか、魂を食らうか。はかりにかけられたと知っていながらも、共存できない。その一言で、私たち疑似・魔法少女と真・魔法少女は――対立する。

 共存できないと知って、どうするか。それは殺し合いだ。だが、今の私たちが死んだところで、御蔭の隠し持っていた個体が目覚めるだけ。それは、向こうはおそらく分かってはいないだろう。だが、やはり彼女らの方がデメリットが少ない……いや、そんな事考えちゃだめだ。もうすでに、嫌だといって抜け出してきた。向こうも、追ってはこなかったが、かなり頭に来てるだろう。だからこそ、共存できないとあんなに強くいったんだ。私だってあそこまで反発されるとは思わなかったし、むしろ協力してほしいと心から思っていた。最初は。あれじゃあ、やっぱり親子そろっての屑だ。……まあ、自分で実験された彼女の気持ちもわからなくないけど。でも、でも!
「ねえ、これからどうするの?」
 やはり、千佳も協力するべきだったというだろうか? でも、千佳がそう言ったところで今更私の意地は崩せない。彼女も頑固だったし、恐らく性格も正確に真似ているんだろう。……こんな時にこんな事言ってる場合じゃないよね。そうだ、探そう。そのMr.レディオとか言う人を。そして、芽衣も探し出そう。私たちの、仲間である彼女を。
「探そう。二人を」
「そうだね……それしか、無いもんね」
 彼女は笑ってそうしていた。でも、彼女も無理をしているんじゃないだろうか? と、私は不安になる。無理をして、私のよき理解者であろうとしてるんじゃないか。そうとさえ思えてきた。本当にそうだとしても、私にはそれを聞く勇気などない。頑固で、実は気が弱い。そんな繊細な心を、彼女も、美夏もそうだったのだろうか? ……ちがう。そうじゃない。彼女と、彼女と比べてどうする!! 私はあいつじゃない! ちゃんと、ちゃんとした「綾瀬綴」って名前がある!!
「ねえ、綴?」
「……?」
「彼女と引け目を感じるんだったら、あなただけの物を見せつければいいんじゃない?」
 個性を見せつける……か。確かに、それはいい提案だ。でも、クローンである私たちが個性を主張するということは、同時に、オリジナルを根本から否定する。という事にもなる。だが、それじゃ、それじゃ駄目なんだ……お互いが何事もないような共存社会を築かないと。じゃないと――未来はない。
「でもさ、綴は、Mr.レディオを見つけてどうするの?」
「人間に、人間にしてもらう……」
 たとえどんな汚れた仕事についても、汚れたことをしてもいい。人間に、人間になって自由に生きるんだ……!
「なれる保証はないんだよ?」
「それでも、やらずに後悔するより、やって後悔したい。今まで頑張ってきたけど駄目だった。そう言えるようにしたい」
「……そこまでの決意なんだね」
 千佳の表情から見るに、彼女は別に人間になることを望んでいないようだった。それはそうだ、彼女は、こないだ生まれたばかりの個体。最後の個体なんだ。それに、彼女は人間にしてもらえるといわれても、データを送る。という仕事を最後までこなすだろう。たとえ個体が他に無くなっても、彼女は最後まで疑似・魔法少女として生きていくだろう。……なのに、私はどうしてここまでわがままで、頑固で、強欲なんだろうか。クローンにはそれぞれに性格が設定されている。それはわかっている。でも、どうして私だけ……
「私、あなたが望むならそれでもいい。でも、やっぱり少し違和感があるかな」
「違和感……?」
「いきなり人間になりました~って言われても、人殺しだよ? 今までと変わらないけど、ちゃんとした感情がある。私はちょっと気持ち悪いかなって」
 ……彼女には、今はないようだけど、対魔法少女用の殺戮プログラムが入っている。それは、彼女は知らない。説明書にも書いてない。開発者である、御蔭本人が直接私に教えてきたから――だから、それを伝えちゃいけない。そう思っていた。でも、言うべきだ。そう思う。魔法少女同士の殺し合いをしちゃいけない。それを分かっている今の彼女なら、そんなプログラムは乗り越えられるはずだ。きっと。いや、絶対。
「でも、千佳。実はさ――」
 私が言いかけたとき、ビーストが現れる。突然だった。しかし、出現と同時に千佳がそれを倒す。最近のビーストは本当に手ごたえが薄い。槍で突くだけで消滅する。この弱体化にも、何か裏があるはずだ――
「そう言えば、あの方たちもビーストと戦っているんですよね?」
「え、ええ。そのはずだけど――」
「私たちの戦ってきたビーストと、このビースト。違うんじゃないですか?」
「え?」
 言われてみれば、確かにこの違和感からすればそんな感じがする。……じゃあ、別物のビースト? 今までの物と? ならばいったい誰が何のために?
「時たま今までのビーストも現れてますが、この弱いのは違うと思うんです」
 その辺、ろくに聞かずに来ちゃったな。ちゃんと聞けばよかった。って今更後悔してもね。
「でも、まずは今まで私たちが戦ってきたビーストを全滅させるのが先です。そのために、御蔭さんから地図を受け取ったんですから」
 そうだ。そこで、人知れず芽衣が戦っているかもしれない。急ごう。場所は、私たちの要る学校から少し置いた距離にある、「葉山研究所」というところだった。そこでは、いまだにビーストと、私たち疑似・魔法少女の研究がおこなわれているらしい。……私たちも、そこで作られたんだ。
「時間が空きすぎたし、クローンがまた生産されてるかもだし、急ごう」
「うん」
 テレポートの魔法で行けるはずだ。葉山研究所の場所をイメージする。体が浮く感覚、一度バラバラになる感覚。どちらでもない。体が一瞬で移動する。それは空間を崩壊させる魔法だ。空間を移動し、体を移すというものだ。と言っても、テレポートにも色々ある。私のはそんな感じのものだ。

 テレポートをした後、私たちは葉山研究所の所長の元へ行こうとなった。理由は、私たちの顔を覚えていれば何とかしてくれる。というものではない。所長を殺す。まずはそこからだ。
「本当に、やるの?」
「毒ガスより直接手を加えたほうが時間がかからないわ。それに、魔法も使わずに済むしね」
 そんな余裕をこいていた。でも、やはりここはビーストの本拠地である。下手な油断は死へつながる。わかっているのに、やはり私の性格では油断をするしかないようだ。……どうしてかなあ。私にこんな性格が与えられたのは。
「早く行こう! 時間がないよ!」
 急がないと、また次のビーストが生まれる。早くしよう。

 私たちは、研究所に入ってすぐに、虐殺を始めた。ざっと100人。いや、もっと居ただろうか。所長も含めて全員。確実に殺した。塵も残さぬように。魔力も手に入ったし……ビーストの根本も叩いたし、いいか。
 殺すことに関してはもう慣れた。私は。だけれど、千佳はいざ殺しとなると顔を変え、むしろ自分から殺すほどの殺人鬼へと変わった。おそらく、例のプログラムの効果でもあるんだろう。だが、あれが殺しの度にあるんだとすると――今回の件、早めに終わらせないと。契約すると一緒に、このプログラムも消えるだろう。最も――プログラムを上書きしただけで、殺しをためらわないのは同じだが。ついでに、私たちは自分たちのクローンを持ち帰ることにした。趣味とかではなく、研究のサンプル、および予備としてだ。激戦が予想される魔法少女同士の戦い、予備がなければきついだろう。記憶は受け継がれないが、新しい体はやはりほしかった。……クローンを大量に殺したのは、案外響いたかもしれない。だけども、連鎖的に殺されていくよりかはましだ。

 準備を済ませ、ビーストを殲滅し、私たちの行動は次へ移行する。Mr.レディオを探し出す、そして芽衣も見つけ出すというものだ。ここに芽衣はいなかったが、芽衣と思われるクローンは存在していた。クローンが目覚めていないということは、まだ生きている証拠だ。それに、クロ―ンを回収したから、案外合流なんて早いかもしれない。
「さーって、これからどうしようかねー」
「手がかりがすくな過ぎるよ……」
「だよねー……」
 名前だけしかわからないやつを探し出すなど不可能に近い。だけど、それしか手がかりがつかめなかったのだからしょうがないと言い聞かせる。もう少し欲しいのは本当だけど。それでも、何とか。何とか見つかれば――

 そんな私たちの前に、「あいつ」が現れた。

 どうして? 私たちの前に現れたのは、芽衣だ。さっきクローンで顔を確認しているから間違いない。でも、どうして? 私たちの場所はわからないはずだった。だが、彼女は無表情でたまたま。と、答える。たまたまなのだろうか? いや、そんな都合のいい話があるわけがない。サーチ魔法……でも、使ったんだろうか。分からないアが、とりあえず向こうから来てくれた。これはありがたい。ありがたいというより、なんというべきだろうか。何とも言えない、この。
「ねえ、あなた達と戦うべきなの?」
 その質問は、偽物と戦うか本物と戦うか。そう言う事だろう。偽者である私たち疑似・魔法少女は当然殺し合う必要がない。かといって、真・魔法少女とも戦う意味がない。仕方なく戦うしかない。というのが正しい。私たちが戦ったたところで何も変わらない。変わるとすれば、どちらが本物で、どちらが優れているか。というのがはっきりするくらいだろう。だが、それも違う。殺し合う必要がない。それを証明するためには、やはり私たちが向こうと同じ立場に……
「ねえ、あなた達は何のために戦うの?」
「え……?」
「私は、ちゃんと魂を成仏させたい。だから戦ってる」
 そう言う受け入れ方も、ありだったかもしれない……でも、今となってはそれは遅い。もう少し、もう少し早くあなたと出会えてれば……
「でも、私死んでない。私の個体番号は3005のまま」
 え……? いやいや、記憶がリセットされてるし、それに……私たちが持ってきたのは個体番号3007だ。ならば、3006は? 破壊した? いや、そんなはずはない……
「体と性格は変わった。でも、あなた達の事は覚えてる」
 ……そう言う事か。個体自体は3006。中身は完全に3005。そう言う事か。まあ、でも、記憶が消えているって事は――
「御蔭さんの手によって再起不能な私が復活できたんです。感謝しないと……」
 ……感謝、か。あいつにねぇ。到底しがたいが。だけど、それでもやがては感謝することになるんだろうな。私たちを作った張本人として。だが、そんなことはないだろう。……今は、あの美夏とか言うのに一発入れないと気が済まない。というか入れることが最大の目的だ。
「あなた達、人間になりたいの?」
「え?」
「だって、そのためにMr.レディオを探しているんでしょう?」
 お見通し……か。でも、協力してくれるだろうか? いや、協力してくれるはずだ。絶対とは言い切れないが……
「私も、なりたい」
 ……予想外だった。てっきり断るのかと思ったが、全然そんなこともなかった。むしろ、大歓迎。そんな感じだった。……それならば話は早い。協力してもらうまでだ。だが、彼女は明らかにただで協力するという雰囲気ではなかった。
 条件付き。そんな感じだろう。まあ、条件付きなんて分かってはいたが……
「条件、聞く?」
「え、ええ」
「ずっと一緒に居てくれること。私も仲間として受け入れてくれること」
 そんな緩い感じの条件だった。それならば、簡単だ。むしろ、これからそうするつもりだったのだから。これから、よろしく。なんて言える雰囲気でもなくなったようだ――
「ビースト!?」
「違う! 美夏たちの方のビーストだ!」
 そう言って、真っ先に二人は戦闘をする準備を始めていた。が――
「悪いなー! その獲物はわしらの物じゃからなあ!」
 美夏……! ビーストの反応を見てここまで来たって事か……!
「いや、さきに見つけたのはこっちよ!」
「先に見つけたとか関係ねえ……わしらの仕事に手出しも口出しもするな。それだけじゃ」
 その目は、むしろ仕事を始める。という顔つきだった。彼女の戦闘スタイルは、ナイフを投げる。というものだった。もっとも、そのナイフ自体に属性や特性を付与する。というものだったが。いや、だからこそ変則的な戦いが出来るといってもいい。彼女のその、荒すぎず雑すぎず。と言わんばかりの戦い方に、私たちは見てることしかできなかった。電撃系のナイフ。それは足を止めるために放たれ、氷系のナイフは、じわじわとダメージを蓄積させるのに――と、それぞれに役割がしっかりとあった。それに加え私たちの戦い方と言えば、とにかく強いので対抗。と、まったく後先を考えていない。……その辺でかなり差がついたのだろうが。考えられた戦い方をするからこそ、私たちのような戦い方が嫌いなのだろう。
「はー、あんたら見てるだけなわけ?」
 それは、見てるしか出来ない私たちに皮肉を言っているんだろう。どういわれようと、私たちが手出しする必要はない。
「まあいいけどさ。でも、どいとくれ。邪魔じゃ」
 そう言われ、私達はいったん拠点に戻ることにした――
 拠点と言っても、私の家なのだが。
「ねえ、やっぱりあいつらと協力なんてしたくない」
 私がそう言うと、芽衣もそうだね。と、返す。千佳は、少し悩んでいるようだったが。未だに、共存なんて言い出すんじゃないだろうか。あんな態度を見せられても。
「共存、どうしてもできないの?」
「出来ない。それはさっきはっきりしたでしょ?」
「で、でも……」
「あんまり、余計なことは考えないほうがいい」
 そう言ってどうしても私と芽衣。そして千佳の間に溝が生まれてしまっていた――

 人間の味方? それとも、出来そこないの味方? そんな質問の答えはすぐに出た。人間の味方はしませんが、人間にはなりたい。そんな答えが、すぐに出た。ああ、そうか。人間の味方にならないと。はっきり決断してしまった後はもう、貫き通すだけだ。
「Mr.レディオなら知っています」
 そんな一言で、私たちは凍り付く。今までの努力は――しかし、一番の情報を手に入れる。それはものすごいことで、それでいて、かなり有力情報だった。いま私たちが最も必要で、最も受け入れたかった情報。それはすぐさま手に入った。それは、記憶だけが残っている彼女だったからだ。死んでいれば、もうだめだった。これを見越して御蔭はあえてデータを抜かなかったのか……? いや、そんなわけないか。それじゃあ都合がよすぎるしね。
「私は彼を見ました。だから、知っているんです」
「見た……?」
「はい。でも、どこに居るかも知っています」
 彼女は、一体何者なんだ……? 誰も知らないはずのMr.レディオの居場所を? 知っている?
「理解できている――というより、本人に教えられたんですけどね」
「えっ……?」
 それは、すでに彼女が一度会っている。そう言う認識でいい。というものだった。彼女がどこであったのか――それは、簡単な話だろう。私たちは彼女を忘れている。それだけの話だ。
「彼は今――」
 彼女の言う住所に行けば会えるかもという。まあ、会えるのだろうが……
「でも、あまりにも簡単すぎないかな……?」
「気にしない! 私たちが人間になれる! それだけでいいじゃない!」
「そ、そうだけど……」
 千佳は未だに何かにおびえていた。一体何におびえているのか。わからない。だけど、言えることは一つだけあった。彼女は、少し私たちと距離を置いている。ということだ。何がそんなにあいつらとの共存をさせたがっているんだろうか? 私にはわからない。だが、芽衣はそんな彼女に言って見せた。
「無理強いはしません。来たくなきゃ来なくていいです」
 そんな事言われた彼女は、行かない……とは言えなかったようだ。そのまま、私たちについて行くという。
 ……明らかに無理をしている。だけども、そのことについては何も触れられなかった。いや、触れてはいけない気がした。あえて触れない。そうすることによって、彼女を気遣う。そう自分では思ってしまった。
「人間になりたい。それを私たちが思っちゃいけないなんて決まりはないです」
 そう言った。だが、感情はこもっていない。おそらく、御蔭が体を移す際に、契約できないようにあえて感情を抜いたのだろう。そのことを、彼女に伝えるべきか。
「ね、ねえ」
 だが、彼女はすでに歩き始めていた。おかしいな、いつもいつも、私が会話をしようとすると、どうしてもすれ違う。おかしいよ……
「行こう? 綴」
 そんな顔で言われても……それでも、私たちは彼女についていくことにした。早く、この戦いを終わらせる意味も込めて。

 ――――
 ――

「ここ」
 案内された場所には、小屋が立っているだけだった。周りに家はない。何しろ、山奥だった。こんなところに、いるのだろうか?
 こんこん。
 芽衣が、小屋のドアをノックする。
 数分経っても返事がない。私たちは、ドアが開いているのを確認すると、すぐさま入った。
「あ、ああ――」
 倒れている若い男が一人。白衣を着ている。おそらく、実験中か何かに謝って何かを浴びたんだろう。……かわいそうに。
「助けないと」
 そう言って、すぐさま芽衣は治療を始めた。妙に手慣れている。ああ、彼女はあそこに居たんだった……仲間と戦うんだもん、治療魔法くらい使えるよね……
「もう、大丈夫。でも、安静にして」
 そう言うと、ベッドに男を寝かしつける。まるで猫のように、男は眠りについて行った。
 男が眠った後、芽衣はあれがそう。と言って、彼を指さす。
「あ、あのなよなよした人が?」
「そう。あの人がMr.レディオ」
 あの人が……想像とはるかに違っていたから、驚いた。驚いたけど……
 それでも、少し不安になった。あの人に、魔法少女にしてもらうの? と。
「あの人、腕は一流だから」
「腕は……? 腕って?」
 そう言うと、彼女はベッドの横に飾ってあった盾を指さした。
「ノーベル賞……ノーベル賞……!?」
 驚いた。見た感じ、20代後半、30代前半といった感じだった。そんな若さでノーベル賞……確かに、腕は確かなようだった。
 でも、だからと言って自身には……何の賞を取ったの……?
「何の賞だっけ……」
 その言葉に反応するように、寝ていた体を起こし、興奮気味で、
「生理学だよ」
 と、少し震えた声でしゃべる。な、なんと……ノーベル賞よりも私が興味があるのは手塚賞だけど……それでも十分凄いことに変わりはない。
「たまたま見つけた細胞が、魔法少女システムの元になっているよ……いてて」
 痛いなら動かなければ……まあ、でも、その説明で大体理解した。おそらく、それをどこかで入手し、御蔭作ったのが私たちと、疑似・魔法少女だろう。
 ……それでノーベル賞狙ってたなんて、案外頭回らないんじゃないかな……
「君たちは……?」
 もうすぐ、私たちの願いはかなうんだ――

 私たちは、彼に事情を説明した。彼は、クローンと言われ、さらに自分の技術で作られたと聞いて、少し驚いていたが、それでも、私たちに魔法少女になる資格を与えてくれた。魔法少女細胞の移植……それが、契約の正体だった。だが、当然デメリットもある。
「この移植手術の成功率は40%。それでもやるかい……?」
「40%……!?」
 ノーベル賞を取ったとはいえ、あくまで見つけた細胞を評価されたのであって、移植の技術はまだ未完成だという。……通りで、御蔭はノーベル賞狙えるとか言ってたわけだ。というか移植以前にクローン作ったのも……
「移植手術って言っても……細胞は何処に……?」
「ん? それは僕の体だよ」
「えっ……!? えええええええええええ!?」
 ……それは要するに、自分を実験してたってそう言う……でも、魔法少女細胞が入っているって事は、要は回復速度も速いということだ。……本当に……
「で、するのかい?」
 するのか……しないのか。どうするか。単純だ。
「します――!」
 当然、私と芽衣はするとすぐに答えた。でも、千佳はまだ迷ってた。
「君は、どうするんだい?」
「わ、私は……」
「迷うくらいなら行動しちゃえ! なんてね」
 どうやら、決断できたようだ。
「それじゃあ……やろうか」
 移植手術は、当然メスなどの医療器具での移植だった。本来ならば、注射で移植らしいが、現状彼の体にしかないため、こうするしかないという。一回出してから保存、ということもできないようだ。彼のここの設備的にも。
 
 移植手術は長引いた。そりゃあ、彼一人でやってるから時間はかかるだろうけど……それでも、ちょっとかかりすぎじゃ。
「さて……終わったよ」
 そう言うと、終わったと。成功率は低いが、私たちはすでに魔法が使える故に、成功率も実質100%まで引き上げられる。つまり――
「無事、成功だ……さて、疲れたよ。僕は。寝るね」
 そう言って、眠ってしまった。麻酔無しで手術してたし、そりゃあ疲れるでしょうに……。
「芽衣、まだしばらくは眠ったままじゃないかな?」
「麻酔……撃ってますからね」
 さて、どうなるか。というか、こんな手術なだけなのに、どうして感情を失うんだろうか?
「感情を失うって、あの子たち言ってたけど……」
 再び、彼が起き上がる。
「ああ、それか……それなんだけどね、どうやらこの細胞を埋め込むと自然とそうなってしまうらしいんだ」
「そ、それ不安定すぎるんじゃ!?」
「でもそうしないと生きていけない。君たちもそれはわかっているだろう?」
 それに、人間になれたわけではない……ただ、殺戮マシンとして変わってしまうだけだ。……と。
 私たちにのぞんでいたこと……それは、とても残酷でもあった。
「君たちは、魂を奪うか、感情を奪うか。そのどちらかを選ばないといけないみたいだ」
「それって……」
「本当の魔法少女になるか、クローンとしての魔法少女のままか。って事だね」
 ……どちらにするか。
「私は、私は――」
 どちらも嫌だとは言えない……。
「私は――このまま魔法少女になる」
 麻酔が切れた芽衣が起き上がってそう言う。
「どうやら、千佳ちゃんよりも君のが迷っているみたいだよ」
「え……?」
 手術室には、既に千佳の姿があった。
「じゃあ、僕は行ってくるよ」
 終わるまでに決めろ――そう言うことだ。
 芽衣に新しくなった力を聞いてみる。
「魂を狩っても、使えるみたい」
 え……?
「魂を刈って、感情も狩れる。そう言う事みたい」
「じゃあ――」
「どうにでもなれる。そう言う事みたい」
 じゃあ、別にならなくても――
「でも、この力の方が扱いやすい……って感じる」
 扱いやすさは、まあ、あるだろう。でも、そうじゃない。そうじゃないんだ……
 取りあえず――眠ろう。眠って、考えよう――

「まだ、迷ってるの?」
 ここは――?
「迷う必要はないんじゃねえの?」
 芽衣と――千佳?
「迷ってるんなら、いっそなっちまえって。化けもんでも何でもいいからよ」
「え……?」
「お前にはもう私らの記憶とか思い出は要らない――そう言うこった」
 夢――だよね?
「化け物って――?」
「お前なあ、両方の力使えるならそりゃあもう化けもんだろうが」
「ええ……」
 夢でも――なんだか懐かしい。気がする。
「でも、それだと――」
「なら、悪人だけ消してく。とかならどうだ?」
「え?」
「それなら文句ないだろ?」
 そうだけど――


 夢が、覚めた。目が、覚めた。
「おはよう。綴君」
「お、おはよう……ございます……」
「で、どうするんだい?」
 あの夢の通りにするなら、迷いはないけど――
「あ、あれ? 芽衣は?」
「ああ、彼女ならビーストが来たとかって言って出ていったよ」
 新しい力を、試したいからだろう……考えがまとまらない。どうすれば――
「もう、始めるまで時間がないけど――」
「う、受けます!」
 勢いで、そう言ってしまった。
「よし、じゃあ準備して」
 そう言って、準備するときに、千佳の姿もあった。
「あ、あれ? どうして千佳が――」
「彼女が自分から手伝いたいって。だからだね」
 手伝いたい――か。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

俺が死んでから始まる物語

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。 だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。 余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。 そこからこの話は始まる。 セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

クラス最底辺の俺、ステータス成長で資産も身長も筋力も伸びて逆転無双

四郎
ファンタジー
クラスで最底辺――。 「笑いもの」として過ごしてきた佐久間陽斗の人生は、ただの屈辱の連続だった。 教室では見下され、存在するだけで嘲笑の対象。 友達もなく、未来への希望もない。 そんな彼が、ある日を境にすべてを変えていく。 突如として芽生えた“成長システム”。 努力を積み重ねるたびに、陽斗のステータスは確実に伸びていく。 筋力、耐久、知力、魅力――そして、普通ならあり得ない「資産」までも。 昨日まで最底辺だったはずの少年が、今日には同級生を超え、やがて街でさえ無視できない存在へと変貌していく。 「なんであいつが……?」 「昨日まで笑いものだったはずだろ!」 周囲の態度は一変し、軽蔑から驚愕へ、やがて羨望と畏怖へ。 陽斗は努力と成長で、己の居場所を切り拓き、誰も予想できなかった逆転劇を現実にしていく。 だが、これはただのサクセスストーリーではない。 嫉妬、裏切り、友情、そして恋愛――。 陽斗の成長は、同級生や教師たちの思惑をも巻き込み、やがて学校という小さな舞台を飛び越え、社会そのものに波紋を広げていく。 「笑われ続けた俺が、全てを変える番だ。」 かつて底辺だった少年が掴むのは、力か、富か、それとも――。 最底辺から始まる、資産も未来も手にする逆転無双ストーリー。 物語は、まだ始まったばかりだ。

魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。

カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。 だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、 ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。 国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。 そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。

僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた

黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。 その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。 曖昧なのには理由があった。 『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。 どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。 ※小説家になろうにも随時転載中。 レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。 それでも皆はレンが勇者だと思っていた。 突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。 はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。 ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。 ※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。

処理中です...