ダメな私と吸血鬼

日向 ずい

文字の大きさ
22 / 62
第5章 「二人のお仕事。」

ニーソンとラグルの話し合い

しおりを挟む
 夕飯を食べ終えたエピーヌは、ニーソンに自室に戻って魔石の加工の仕方とか覚え直してくると伝え、エピーヌが二階の自室に入ったことを確認すると、ニーソンは、まだご飯を食べているラグルに声をかけた。
「なぁ、ラグル??ちょっと...相談したいことがあるんだけど...いいかな??」
そう言ったニーソンをよそにラグルは、禁断症状が出ないようにするための携帯型の輸血ボトルを使い、身体の中に血を取り込んでいた。
「...ん??...今、血~いれてるからちょっと待ってくれ...。これ、口から飲むわけじゃないから結構痛いんだよな...(汗)はぁ、俺は、他の吸血鬼より自制が効くのに...何で、エピーヌに噛み付いちまったんだろうな...?(汗)」
と言って苦笑いしているラグルにニーソンは、
「...ははっ、お前は、あんまり吸血衝動に駆られることが無いのにな...。(笑)」
と言ってキッチンで料理の後片付けを終え、ラグルの正面の椅子に腰をかけた。
 輸血が終わり、はぁーと息をついたラグルはニーソンに
「よし...終わった。で、ニーソン...相談とはなんだ...??俺は、夜の仕事があるからもうじき外に出かけるんだけど...。」
と言って頭をかいたラグルにニーソンは
「...あっ、すぐ終わるし、それに今すぐに言っておく必要がある事だから。...一昨日、エピーヌと仕事のために製石場に行ったんだけど、その日は、エピーヌに俺が加工した石に魔力を吹き込むやり方を見せたんだ。作り方は、わかってもらいたいと思ったから、人間には、魔力が無いからそもそも魔石を作れないって事も説明した状態で、なるほど!程度に覚えておいてって言って、説明し終えたんだけど...。その日の仕事終わりに製石場を片付けようと思って製石場に向かったら...エピーヌが...呪文を唱えて...魔石をつくり出したんだ...。」
うんうん、とうなづきながら聞いていたラグルは、一瞬の間をおいて
「...うん...うん??......えっ、......はっ!?貴様、真面目にいっているのか!??だって、エピーヌは、人間の女の子だろ????なのに、何故魔石を生み出せるんだ!??」
と言って信じられないとばかりに目を見開いてニーソンを見つめている。
「それは...こっちが聞きたい...。だから、お前に相談しているんだろう...??で、何か無いのか???人間の女の子でも、魔力を使える環境みたいな...??(汗)」
ニーソンも困った顔でラグルを見つめた。
「そんなのな、俺だって方法が、分かっていたら......あっ、もしかしたら...方法ではないが、俺と契約してる...貴族のモーリア夫妻が...昔、娘が誘拐されてそれ以来会えていないと言っていたような...。いや、でも、まさかな...?(笑)」
と言って苦笑いしているラグルにニーソンは
「...えっ、それって、何年前??その女の子が何歳の時???」
と言い、ラグルに答えを急いだ。
「...えっと、確か12年前...女の子が3歳のときだって言っていた気が...。」
「...それだよ!!きっとエピーヌだ!!!エピーヌは、今15歳だって言ってた!!だとしたら12年前...つまりエピーヌが3歳の時って言うことで、つじつまが合うんだよ!!!(汗)」
 そう言って珍しく声を荒らげたニーソンにラグルは、びっくりした顔を向けていたが、やがて納得して
「...たしかに...。そう言えば、モーリア夫妻の奥さんの方が人間で夫の方が魔界の魔族ってちらっと聞いたことがあった...。それでかも知れないな...。」
と言っているラグルにニーソンは、ハッとした顔をして
「...えっ、でも、それじゃあ...エピーヌは、重罪人なんじゃ...。だって、魔族と人間は、恋愛は、してもいいけど子供は...作ったらいけないんだろ...。法律で両世界で固く禁止されている...。そんな...もしエピーヌの素性がバレれば...彼女は、両世界から命を狙われる存在となるって事だろ...??(汗)」
そういったニーソンにラグルは、何か思い悩んだ顔を向けていたが、すぐに普通の表情に戻り
「...まぁ、そういう事だな...。でも、この家に住まわせるって約束したんだから...つまり奴は、家族ってことだ...。命は、守らないと...ニーソン。」
と言ってニーソンを見つめるラグルにニーソンは
「...おまえ、魔界出身なのに...そういうところまるで人間みたいだな...。はぁ、わかったよ...。最後まで、責任とるよ。」
と言ってニーソンは、諦めた顔をしていた。
 そんなニーソンに内心
「...人間みたい...。そうかもな...だって俺も...エピーヌと同じような境遇にあったやつだしな...。(笑)まぁ、最後まで誰にも言わないつもりだけどな...。」
と言って苦笑いしていることは、知る由もないニーソンなのであった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ゲーム未登場の性格最悪な悪役令嬢に転生したら推しの妻だったので、人生の恩人である推しには離婚して私以外と結婚してもらいます!

クナリ
ファンタジー
江藤樹里は、かつて画家になることを夢見ていた二十七歳の女性。 ある日気がつくと、彼女は大好きな乙女ゲームであるハイグランド・シンフォニーの世界へ転生していた。 しかし彼女が転生したのは、ヘビーユーザーであるはずの自分さえ知らない、ユーフィニアという女性。 ユーフィニアがどこの誰なのかが分からないまま戸惑う樹里の前に、ユーフィニアに仕えているメイドや、樹里がゲーム内で最も推しているキャラであり、どん底にいたときの自分の心を救ってくれたリルベオラスらが現れる。 そして樹里は、絶世の美貌を持ちながらもハイグラの世界では稀代の悪女とされているユーフィニアの実情を知っていく。 国政にまで影響をもたらすほどの悪名を持つユーフィニアを、最愛の恩人であるリルベオラスの妻でいさせるわけにはいかない。 樹里は、ゲーム未登場ながら圧倒的なアクの強さを持つユーフィニアをリルベオラスから引き離すべく、離婚を目指して動き始めた。

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

ちゃんと忠告をしましたよ?

柚木ゆず
ファンタジー
 ある日の、放課後のことでした。王立リザエンドワール学院に籍を置く私フィーナは、生徒会長を務められているジュリアルス侯爵令嬢アゼット様に呼び出されました。 「生徒会の仲間である貴方様に、婚約祝いをお渡したくてこうしておりますの」  アゼット様はそのように仰られていますが、そちらは嘘ですよね? 私は最愛の方に護っていただいているので、貴方様に悪意があると気付けるのですよ。  アゼット様。まだ間に合います。  今なら、引き返せますよ? ※現在体調の影響により、感想欄を一時的に閉じさせていただいております。

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

残念な顔だとバカにされていた私が隣国の王子様に見初められました

月(ユエ)/久瀬まりか
恋愛
公爵令嬢アンジェリカは六歳の誕生日までは天使のように可愛らしい子供だった。ところが突然、ロバのような顔になってしまう。残念な姿に成長した『残念姫』と呼ばれるアンジェリカ。友達は男爵家のウォルターただ一人。そんなある日、隣国から素敵な王子様が留学してきて……

バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました

美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?

断罪まであと5秒、今すぐ逆転始めます

山河 枝
ファンタジー
聖女が魔物と戦う乙女ゲーム。その聖女につかみかかったせいで処刑される令嬢アナベルに、転生してしまった。 でも私は知っている。実は、アナベルこそが本物の聖女。 それを証明すれば断罪回避できるはず。 幸い、処刑人が味方になりそうだし。モフモフ精霊たちも慕ってくれる。 チート魔法で魔物たちを一掃して、本物アピールしないと。 処刑5秒前だから、今すぐに!

悪役令嬢エリザベート物語

kirara
ファンタジー
私の名前はエリザベート・ノイズ 公爵令嬢である。 前世の名前は横川禮子。大学を卒業して入った企業でOLをしていたが、ある日の帰宅時に赤信号を無視してスクランブル交差点に飛び込んできた大型トラックとぶつかりそうになって。それからどうなったのだろう。気が付いた時には私は別の世界に転生していた。 ここは乙女ゲームの世界だ。そして私は悪役令嬢に生まれかわった。そのことを5歳の誕生パーティーの夜に知るのだった。 父はアフレイド・ノイズ公爵。 ノイズ公爵家の家長であり王国の重鎮。 魔法騎士団の総団長でもある。 母はマーガレット。 隣国アミルダ王国の第2王女。隣国の聖女の娘でもある。 兄の名前はリアム。  前世の記憶にある「乙女ゲーム」の中のエリザベート・ノイズは、王都学園の卒業パーティで、ウィリアム王太子殿下に真実の愛を見つけたと婚約を破棄され、身に覚えのない罪をきせられて国外に追放される。 そして、国境の手前で何者かに事故にみせかけて殺害されてしまうのだ。 王太子と婚約なんてするものか。 国外追放になどなるものか。 乙女ゲームの中では一人ぼっちだったエリザベート。 私は人生をあきらめない。 エリザベート・ノイズの二回目の人生が始まった。 ⭐️第16回 ファンタジー小説大賞参加中です。応援してくれると嬉しいです

処理中です...