ダメな私と吸血鬼

第9章 「黒幕は...。」

モーリア夫妻の家に到着よ！

 しばらく歩き...エピーヌの体力が限界へのカウントダウンを始めた頃...
「...よし、着いたぞ。...って、エピーヌ...お前、今にも干からびてしまいそうな雑草みたいな顔してるぞ...。」
「...そんな訳ないで...って、うわー、あそこに生えている草...何処と無く悪意に満ち溢れた顔の植物が...しかも、私に似ている気がする...。（怒）」
と言って眉間に皺を寄せたエピーヌにラグルは
「当たり前だろ...だって、そいつらは、誰にでも化けれる囮草（おとりぐさ）なんだからな...。（笑）」
と言ってラグルは、エピーヌを見た。
 エピーヌは、軽く頷いて
「あー、なるほどね...わかったわ。」
といった。ラグルは、あんまり反応のないエピーヌに
「エピーヌ？？あんまり驚かないんだな...？？」
と聞くとエピーヌはため息混じりに
「...ええ、だって、いちいち驚いているとキリがないんだもの...。今日の朝のラボンみたいに...いいえ、なんでもないわ...。（笑）」
と言って朝のラボンのことを言いそうになったエピーヌは、慌てて口を噤（つぐ）んだ。そんなエピーヌにラグルは
「なぁ、エピーヌ？？怒らないから...今日の朝ラボンとどうしたのか教えてくれないか？？」
と言ってエピーヌに質問してきた。
 エピーヌは、仕方ないといった表情で
「実はね...。」と言って話し出した。
 話終えると、途端に目の色が変わったラグルに危険を察知したエピーヌは、ニーソンの方に向き直った。
「ねぇ...ニーソン...。ラグルに、バレちゃった...。」
「はぁ、エピーヌは、口が軽いからな...。（笑）まぁ、あいつがボコボコにされて終わりだろう...？？多分...。（笑）」
と言って頭をかいたニーソンにエピーヌは、苦笑いを向けていた。

 何とかラグルの機嫌も収まり、モーリア夫妻の屋敷の中にラグルが入る時間が来た。
「じゃあ、行ってくるから...。相手が油断したと思ったら、エピーヌには、首から下げている青い魔石のネックレスに...ニーソンは、気を使ってそれぞれ合図を送るから...それまでは、怪しいヤツが屋敷に入らないようにっていうのと...各自の身を守るようにしてくれ...。」
と言ってさっと身を隠していた屋敷を取り囲む塀の影から立ち上がると、屋敷の入り口へと入っていった。
「...さぁ、これからが本当の戦闘開始ね...！！頑張るわ！！ショコラのためにも！！！」
と言って独り決意するエピーヌなのであった。