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45 企み
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「どうぞ。こちらです」
「ありがとうございます」
なにやらキョロキョロしながらお目当ての宿を見つけたらしい優男くんは、おずおずと僕を案内する。すごく挙動不審である。なにか企んでいるのかと問いただしたいくらいには挙動不審である。
だが初めてのナンパに緊張しているのだろうと、この道の先輩である僕は焦りを見せる優男くんを微笑ましく眺めていた。わかるよ、君の気持ち。僕みたいな美男子相手だと緊張するよね。
やがてそれなりに値の張る宿へと到着した彼は、緊張しきった面持ちで僕を先導する。ちょっと落ち着けよ。ガチガチじゃないか。
どうやらすでに部屋をとっているらしい。慣れない様子の割には、ここだけ随分と手際がいいな?
いや、彼がこの宿に泊まっていてたまたま見かけた僕に声をかけたというだけか? だとしたら別に不自然ではないよな。
よくわからないが、なんだかちぐはぐな男である。手慣れているようで慣れていない。まるで誰かが入れ知恵しているみたいだな。ついてきたのは早まったかな。だが、宿泊する部屋は目と鼻の先である。見た感じ危ない男ではなさそうなので、まぁいいかと彼の元に飛び込むことにする。なにかあればまぁ、走って逃げればいいや。
カチャリと開かれた扉。
どうぞ、と促されて、僕は足を踏み入れる。背後で音を立てて閉められた扉。ついで鍵をかける嫌な音がする。
「奥へどうぞ」
そう声をかけられて、遠慮なしに室内を奥へと進む。さすが高級宿。部屋が広いな。ルースの部屋とは大違いだ。
うきうきとした足取りで進んだ僕であったが、部屋の奥に据えられたソファーに人影を見つけて、ぴたりと足を止めた。
ん?
なんで他に人がいるんだ? ナンパじゃないの? え、まさかなんか嵌められた?
僕なにかしたっけ? どうしよう。心当たりがありすぎる。
がばりと背後からつけてくる優男くんを振り返る。申し訳なさそうな顔をした彼は、すっと手を伸ばしてソファーに座る人物を指し示す。だが僕はそれどころではない。たらたらと流れる冷や汗。外に飛び出したいが、優男くんが邪魔で通れない。走って逃げる計画が早くも頓挫した。なんてこった。
「リア様をお連れいたしました」
なんで僕の名前を知っているんだ。こいつに名乗った覚えはないぞ。というか今、様付けした? 僕をそんな大層に敬う奴らは、今のところあいつらしかいない。
さっと血の気が引いていく。まさかと思い、ソファーで偉そうに座る人物へと目を遣る。ここからだと後ろ姿しか見えないが、あの眩い金髪にはなんだかとても覚えがある。
「え」
驚きのあまり、それ以上の言葉が出てこない。はくはくと口を開閉していれば、金髪の男がゆっくりとこちらを振り向いた。
「追いかけっこは楽しかったか、リア」
「エ、エドワード」
なんでここに。
青い瞳が不機嫌そうに細められる。正真正銘の王子様は、鋭く僕を睨みつけていた。
「ありがとうございます」
なにやらキョロキョロしながらお目当ての宿を見つけたらしい優男くんは、おずおずと僕を案内する。すごく挙動不審である。なにか企んでいるのかと問いただしたいくらいには挙動不審である。
だが初めてのナンパに緊張しているのだろうと、この道の先輩である僕は焦りを見せる優男くんを微笑ましく眺めていた。わかるよ、君の気持ち。僕みたいな美男子相手だと緊張するよね。
やがてそれなりに値の張る宿へと到着した彼は、緊張しきった面持ちで僕を先導する。ちょっと落ち着けよ。ガチガチじゃないか。
どうやらすでに部屋をとっているらしい。慣れない様子の割には、ここだけ随分と手際がいいな?
いや、彼がこの宿に泊まっていてたまたま見かけた僕に声をかけたというだけか? だとしたら別に不自然ではないよな。
よくわからないが、なんだかちぐはぐな男である。手慣れているようで慣れていない。まるで誰かが入れ知恵しているみたいだな。ついてきたのは早まったかな。だが、宿泊する部屋は目と鼻の先である。見た感じ危ない男ではなさそうなので、まぁいいかと彼の元に飛び込むことにする。なにかあればまぁ、走って逃げればいいや。
カチャリと開かれた扉。
どうぞ、と促されて、僕は足を踏み入れる。背後で音を立てて閉められた扉。ついで鍵をかける嫌な音がする。
「奥へどうぞ」
そう声をかけられて、遠慮なしに室内を奥へと進む。さすが高級宿。部屋が広いな。ルースの部屋とは大違いだ。
うきうきとした足取りで進んだ僕であったが、部屋の奥に据えられたソファーに人影を見つけて、ぴたりと足を止めた。
ん?
なんで他に人がいるんだ? ナンパじゃないの? え、まさかなんか嵌められた?
僕なにかしたっけ? どうしよう。心当たりがありすぎる。
がばりと背後からつけてくる優男くんを振り返る。申し訳なさそうな顔をした彼は、すっと手を伸ばしてソファーに座る人物を指し示す。だが僕はそれどころではない。たらたらと流れる冷や汗。外に飛び出したいが、優男くんが邪魔で通れない。走って逃げる計画が早くも頓挫した。なんてこった。
「リア様をお連れいたしました」
なんで僕の名前を知っているんだ。こいつに名乗った覚えはないぞ。というか今、様付けした? 僕をそんな大層に敬う奴らは、今のところあいつらしかいない。
さっと血の気が引いていく。まさかと思い、ソファーで偉そうに座る人物へと目を遣る。ここからだと後ろ姿しか見えないが、あの眩い金髪にはなんだかとても覚えがある。
「え」
驚きのあまり、それ以上の言葉が出てこない。はくはくと口を開閉していれば、金髪の男がゆっくりとこちらを振り向いた。
「追いかけっこは楽しかったか、リア」
「エ、エドワード」
なんでここに。
青い瞳が不機嫌そうに細められる。正真正銘の王子様は、鋭く僕を睨みつけていた。
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