47 / 62
47 信じてほしい
しおりを挟む
「んぁ、ちょ、っと」
流れるように僕を押し倒したエドワードは、そのまま覆い被さってくる。下着に手をかけられたあたりで、さっと顔色を悪くするが抜け出せそうにない。
好き勝手に急所を弄られれば、ろくに抵抗もできなかった。
「リア。よく聞け。私がおまえを捨てることなんて絶対にない」
「んっ」
こんな状況で言われましても。とりあえず離してくれないかな?
だが期待に反して僕を強く抱き締めたエドワードは、散々前を弄っていた手を後ろに伸ばす。いやいやいや、ちょっと待て。
「待った! ちょっと」
人に話に耳を貸さないエドワードは、僕の抗議なんてまるっと無視して事を進めてしまう。こいつマジで自分勝手過ぎないか?
なんとか逃れようとエドワードの逞しい胸を押してみるがびくともしない。それどころか鬱陶しそうに眉を寄せたエドワードが首に顔を埋めてきてくすぐったさに身をよじる。
「んっ、あっ」
「リア」
熱っぽい声で名前を呼ばれて、なんだか背中がむず痒い。僕を抱き起こしたエドワードと真正面から向き合う。首に手を回して縋り付けば、彼はそのまま僕を横抱きにしてベッドへと移動する。
「なぁ、リア。これはリップサービスでもなんでもなくて私の本心なのだが」
ベッドに上がってきたエドワードが、なにやら苦しそうな顔をしていた。
「好きだよ、リア。愛してる」
なんでそんなに泣きそうな顔してんだよ。僕が好きなら、愛してくれるっていうならもっと楽しそうな顔しろよ。
ふいっと視線を逸らせば、エドワードが再び覆い被さってくる。
「リア、愛してる。おまえを捨てたりなんか絶対にしない」
「そ、そんなこと、言われても」
わかんないよ。
今までだって僕を愛してるだの、好きだの、ずっと一緒に居ようだの言ってきた男は山ほど居る。でもその全員が今は僕と一緒じゃない。つまりはその場限りのお遊びってことだろ。僕だってそのつもりだったし。エドワードもそうじゃないの?
捨てないとか、そんな将来のこと言われたってわかんないだろ。急に冷めるかもしれないだろ。過去の男たちの言動が、エドワードと重なる。
でもいつになく真剣なエドワードの眼差しに、僕の心がゆらゆら揺れる。
もうなんだかよくわからなくなってきて、ちょっぴり目頭が熱くなった。
「泣くな、リア」
「泣いてないからぁ」
滲む視界の向こうで、エドワードがどんな顔をしているのかわからない。ただ困ったように彷徨う手が、やがて僕の頭を優しく撫で始める。
「私を信じてみてはくれないか?」
なんだそれ。
「そんなの、わかんないって」
おまえだって僕のこと信じてないだろ。それなのに自分のことは信じてくれとか無責任過ぎる。
「私はリアのことを信じている」
「うそだ」
ムスッとしたエドワードは、「たしかに」と迷うように言葉を紡ぐ。
「おまえは目を離すとすぐにふらふらとどこかへ行ってしまうが。それでもリアが私のことを忘れずにいてくれると信じている」
「それは」
「だからリアも、私のことを信じてくれないか? リアのことを忘れるなんて絶対にないから」
どうしよう。何かがつっかえたように黙り込んでいれば、エドワードが「私のことが嫌いか?」と静かに問いかけてくる。
「嫌いじゃない、けど」
「じゃあ好きか」
「う、うん。好きかも、しれない?」
「リア」
ぎゅっとエドワードに抱き締められて、胸が締め付けられるような思いがする。おずおずと彼の背中に手を回せば、一層強く抱き締められた。
「戻ってきてくれるか」
エドワードにしては弱々しい声。
なんというか、すごく疲れ切った僕はまわらない頭を必死に働かせようとする。でもなんだかもうどうでもいい気がする。普通にエドワードと一緒にいるのは楽しいし、それに先のことをあれこれ考えるのは僕らしくなかった。いつも行き当たりばったりの生き方をしてきたはずだ。
だったらいつも通り、今が楽しい生き方をすればそれでよくないか? その後、何か困ったことがあるかもしれない。でもそれはその時に考えればよくないか?
迷いを断ち切るように、僕は一度強く目を瞑る。そうして開けた視界には、不安そうに瞳を揺らすエドワードがいた。
「……うん」
もういいよ。
逃げるのは諦めた。だからさっさと僕を捕まえるといい。
流れるように僕を押し倒したエドワードは、そのまま覆い被さってくる。下着に手をかけられたあたりで、さっと顔色を悪くするが抜け出せそうにない。
好き勝手に急所を弄られれば、ろくに抵抗もできなかった。
「リア。よく聞け。私がおまえを捨てることなんて絶対にない」
「んっ」
こんな状況で言われましても。とりあえず離してくれないかな?
だが期待に反して僕を強く抱き締めたエドワードは、散々前を弄っていた手を後ろに伸ばす。いやいやいや、ちょっと待て。
「待った! ちょっと」
人に話に耳を貸さないエドワードは、僕の抗議なんてまるっと無視して事を進めてしまう。こいつマジで自分勝手過ぎないか?
なんとか逃れようとエドワードの逞しい胸を押してみるがびくともしない。それどころか鬱陶しそうに眉を寄せたエドワードが首に顔を埋めてきてくすぐったさに身をよじる。
「んっ、あっ」
「リア」
熱っぽい声で名前を呼ばれて、なんだか背中がむず痒い。僕を抱き起こしたエドワードと真正面から向き合う。首に手を回して縋り付けば、彼はそのまま僕を横抱きにしてベッドへと移動する。
「なぁ、リア。これはリップサービスでもなんでもなくて私の本心なのだが」
ベッドに上がってきたエドワードが、なにやら苦しそうな顔をしていた。
「好きだよ、リア。愛してる」
なんでそんなに泣きそうな顔してんだよ。僕が好きなら、愛してくれるっていうならもっと楽しそうな顔しろよ。
ふいっと視線を逸らせば、エドワードが再び覆い被さってくる。
「リア、愛してる。おまえを捨てたりなんか絶対にしない」
「そ、そんなこと、言われても」
わかんないよ。
今までだって僕を愛してるだの、好きだの、ずっと一緒に居ようだの言ってきた男は山ほど居る。でもその全員が今は僕と一緒じゃない。つまりはその場限りのお遊びってことだろ。僕だってそのつもりだったし。エドワードもそうじゃないの?
捨てないとか、そんな将来のこと言われたってわかんないだろ。急に冷めるかもしれないだろ。過去の男たちの言動が、エドワードと重なる。
でもいつになく真剣なエドワードの眼差しに、僕の心がゆらゆら揺れる。
もうなんだかよくわからなくなってきて、ちょっぴり目頭が熱くなった。
「泣くな、リア」
「泣いてないからぁ」
滲む視界の向こうで、エドワードがどんな顔をしているのかわからない。ただ困ったように彷徨う手が、やがて僕の頭を優しく撫で始める。
「私を信じてみてはくれないか?」
なんだそれ。
「そんなの、わかんないって」
おまえだって僕のこと信じてないだろ。それなのに自分のことは信じてくれとか無責任過ぎる。
「私はリアのことを信じている」
「うそだ」
ムスッとしたエドワードは、「たしかに」と迷うように言葉を紡ぐ。
「おまえは目を離すとすぐにふらふらとどこかへ行ってしまうが。それでもリアが私のことを忘れずにいてくれると信じている」
「それは」
「だからリアも、私のことを信じてくれないか? リアのことを忘れるなんて絶対にないから」
どうしよう。何かがつっかえたように黙り込んでいれば、エドワードが「私のことが嫌いか?」と静かに問いかけてくる。
「嫌いじゃない、けど」
「じゃあ好きか」
「う、うん。好きかも、しれない?」
「リア」
ぎゅっとエドワードに抱き締められて、胸が締め付けられるような思いがする。おずおずと彼の背中に手を回せば、一層強く抱き締められた。
「戻ってきてくれるか」
エドワードにしては弱々しい声。
なんというか、すごく疲れ切った僕はまわらない頭を必死に働かせようとする。でもなんだかもうどうでもいい気がする。普通にエドワードと一緒にいるのは楽しいし、それに先のことをあれこれ考えるのは僕らしくなかった。いつも行き当たりばったりの生き方をしてきたはずだ。
だったらいつも通り、今が楽しい生き方をすればそれでよくないか? その後、何か困ったことがあるかもしれない。でもそれはその時に考えればよくないか?
迷いを断ち切るように、僕は一度強く目を瞑る。そうして開けた視界には、不安そうに瞳を揺らすエドワードがいた。
「……うん」
もういいよ。
逃げるのは諦めた。だからさっさと僕を捕まえるといい。
応援ありがとうございます!
40
お気に入りに追加
1,192
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる