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家族3
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「……じゃあ、楽しんでるところ邪魔はできないからね。俺はこれで……」
李煌さんの言う邪魔とは、特に深い意味はないのだろうが、少し様子が気になる。
(李煌さん、なんか笑顔が……不自然じゃないか?)
もちろんそのことに唐木は気付かない。
本当に些細なことで、気付く人間は極僅かだろう。
パタンと閉まる扉の音に、俺は咄嗟に反応した。
それをもう一度開く。
「唐木、悪いけどちょっと待っててくれ」
「え……。うん、分かった」
不思議そうに了承する唐木の声を、背後で閉まる扉の向こうで聞きながら、俺は李煌さんを追いかけた。
「ちょっと待って……!」
「!? ……大河くん、どうしたの?」
李煌さんが向かっている先には、兄貴の部屋がある。
嫌な予感がした。
「とにかく、こっち」
俺は李煌さんの腕を掴んで、来た廊下を引き返した。
「え、何? ここ俺の部屋だけど……。大河くん?」
答えないまま李煌さんの部屋に入って扉を閉めた。
白に統一された部屋は、明るく清潔感がある。
部屋の主にぴったりだ。
「本当に、どうしちゃったの?」
(それはこっちのセリフなんだけどな……)
腕を離して李煌さんを振り向く。
「先に言っておくけど、唐木とは何でもないから」
「うん……。ふざけ合ってただけなんだよね。誤解はしてないよ」
「本当に?」
「……どうして、そう疑うの?」
(気付いてないのか、この人は……)
少し、イライラする。
俺は拳を握ってジッと李煌さんを見据えた。――今度は逃がさない。
俺の強い視線に李煌さんが顔色を変えた。
「大河……くん?」
「俺が前言った事は、冗談とかじゃないから」
「え……?」
「このまま何もなかったことにされたくないから、一応言っておくけど……。俺は李煌さんのことが好きだから、兄として見ることはできないし、したくない」
息を飲む李煌さんの顔が真っ赤で、少しニヤケたくなった。
俺の言葉で照れてくれているなら、やっぱり嬉しい。
「それと、さっきの質問だけど。俺の部屋を出て行く時の李煌さん、全然笑えてなかったよ。俺には複雑そうな顔に見えたから、誤解してなかったとしても嫌な気持ちになったんじゃないかって、俺は少し期待した」
「……」
「違う?」
グッと固唾をのむ李煌さんに、俺は確信を得た。
しかし、ここで強引に攻めることはしない。
出来るだけ時間をかけて、李煌さんの気持ちを引き出したい。
(ここでしくじったら、前と同じだからな)
俺はジッと李煌さんが喋ってくれるのを待った。
「……一つ、訊いてもいいかな」
李煌さんの震えた声が届いた。
「うん。いいよ」
「え、っと……。て、手紙……」
「手紙?」
「……うんっ。テスト前に、ラブレター、貰ったって言ってたじゃない……?」
尻すぼみになる言葉を俺は零さず拾って行く。
李煌さんの言う邪魔とは、特に深い意味はないのだろうが、少し様子が気になる。
(李煌さん、なんか笑顔が……不自然じゃないか?)
もちろんそのことに唐木は気付かない。
本当に些細なことで、気付く人間は極僅かだろう。
パタンと閉まる扉の音に、俺は咄嗟に反応した。
それをもう一度開く。
「唐木、悪いけどちょっと待っててくれ」
「え……。うん、分かった」
不思議そうに了承する唐木の声を、背後で閉まる扉の向こうで聞きながら、俺は李煌さんを追いかけた。
「ちょっと待って……!」
「!? ……大河くん、どうしたの?」
李煌さんが向かっている先には、兄貴の部屋がある。
嫌な予感がした。
「とにかく、こっち」
俺は李煌さんの腕を掴んで、来た廊下を引き返した。
「え、何? ここ俺の部屋だけど……。大河くん?」
答えないまま李煌さんの部屋に入って扉を閉めた。
白に統一された部屋は、明るく清潔感がある。
部屋の主にぴったりだ。
「本当に、どうしちゃったの?」
(それはこっちのセリフなんだけどな……)
腕を離して李煌さんを振り向く。
「先に言っておくけど、唐木とは何でもないから」
「うん……。ふざけ合ってただけなんだよね。誤解はしてないよ」
「本当に?」
「……どうして、そう疑うの?」
(気付いてないのか、この人は……)
少し、イライラする。
俺は拳を握ってジッと李煌さんを見据えた。――今度は逃がさない。
俺の強い視線に李煌さんが顔色を変えた。
「大河……くん?」
「俺が前言った事は、冗談とかじゃないから」
「え……?」
「このまま何もなかったことにされたくないから、一応言っておくけど……。俺は李煌さんのことが好きだから、兄として見ることはできないし、したくない」
息を飲む李煌さんの顔が真っ赤で、少しニヤケたくなった。
俺の言葉で照れてくれているなら、やっぱり嬉しい。
「それと、さっきの質問だけど。俺の部屋を出て行く時の李煌さん、全然笑えてなかったよ。俺には複雑そうな顔に見えたから、誤解してなかったとしても嫌な気持ちになったんじゃないかって、俺は少し期待した」
「……」
「違う?」
グッと固唾をのむ李煌さんに、俺は確信を得た。
しかし、ここで強引に攻めることはしない。
出来るだけ時間をかけて、李煌さんの気持ちを引き出したい。
(ここでしくじったら、前と同じだからな)
俺はジッと李煌さんが喋ってくれるのを待った。
「……一つ、訊いてもいいかな」
李煌さんの震えた声が届いた。
「うん。いいよ」
「え、っと……。て、手紙……」
「手紙?」
「……うんっ。テスト前に、ラブレター、貰ったって言ってたじゃない……?」
尻すぼみになる言葉を俺は零さず拾って行く。
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