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第三章【パシフィス王国編】

血液

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ライトが目を覚ますと、見知らぬ閉ざされた空間に自身が置かれていることを徐々に理解した。
周囲を見渡すと、部屋は素っ気なく冷たい印象を与え、狭い空間には必要最低限の家具しかなかった。
彼の心は不安と疑問でいっぱいになる。

「ん....ここは?」
ライトの声は弱々しく、彼自身の状況を飲み込もうとする中で出たものだ。
その時、彼は手足が鎖で拘束され、自由を奪われていることに気づいた。

突然、ケイラが部屋に入ってきた。
彼女の笑顔は優しさを装っていたが、その目には異常な光が宿っている。
「あら、ようやく目覚めたのね」
と彼女は言った。

「君は、あの時の..そうだ、シュンは!シュンは無事なの!?」
ライトの声は急速に焦りに変わり、シュンの安否を確認しようとした。

「シュン..?あぁ、あの男の事?知らないわ、けど確実に動脈は切ったから、生きてたら奇跡ね」
とケイラは言い放つ。
その冷酷な言葉はライトの心を冷たく刺す。

彼女はライトの反応を楽しんでいるかのように、自分の腕に塗った血液を見せつけた。
「ねぇほら、綺麗でしょ?」
と言いながら、その異常な行為に満足しているようだった。

「なに..それ....」
ライトの声は震えており、目の前の光景に対する恐怖と混乱が言葉に込められていた。

「何って、あなたの血液よ、何かおかしい?ねっ綺麗でしょ?」
イラの声は愉悦に満ち、その瞳は異常なほどに輝いていた。

「なんで..そんなことしてるの?」
ライトの質問は、彼の内なる恐怖と疑問を露わにする。

「こうしないと私の欲は満たされない、私はそういう性なの」
ケイラは冷静に、しかし確信に満ちた声で告げ、ライトに迫る。
その瞬間、彼女の腕から血が滴り、その光景はライトの心に深い絶望を刻んだ。

「あ、わかった!新鮮な血液じゃないと駄目よね、やっぱり」
ケイラは言い、ライトに採血をしようとした。
ライトは恐怖で目を閉じたが、不思議なことに針は彼の肌をすり抜ける。

「..えっ?」
ケイラの困惑は彼女の期待とは裏腹の出来事に対するものだった。

「まぁ..いいわ、ご飯持ってくるから待ってて」
ケイラは一旦その場を離れると言い、部屋を出て行った。

「..僕は、シュンが生きてるって、きっと助けに来るって信じてるから」
とライトは強く言った。
その言葉には、友人への信頼と希望が込められていた。

「そう....そうなるといいわね」
とケイラが答えるが、その声には不敵な響きがあった。
ライトは彼女が去った後も、シュンの救出を信じ続ける決意を新たにした。
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