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「実は……」
わたしが学園にいた頃、ピンク髪の少女がいたこと。その少女から爵位のこともあって、結婚できないと思っていたこと。
でも、その少女のことはわたししか覚えていないこと。わたしの記憶とマクルトの記憶が違っていること。
とりあえずさっき話したことを伝えた。
「結婚の件は今夜ゆっくり話そうか」
ニヤリと笑う彼に背筋が凍る。え、今日もくるの……?
怖いという感情とちょっと嬉しいという感情がぐるぐるする。
「そのピンクの女は俺も知ってるし断片的だが記憶はある」
その言葉にハッと顔をあげる。
よかった……わたしの勘違いじゃなかった。
「ただ……今改めて思い返すと顔が思い出せない」
三人で考え込んでいたけど、全く答えは出なかった。
「学園にいた人に、聞いてみる……?」
「ああ、俺の予想が正しければおそらくその女の近くにいた人間しか覚えていないだろうからな」
「誰に聞いたらいいんだろう」
「それに関しては伝手があるから俺から探ってみるよ」
ひとまずここは彼に任せることにして一旦解散となった。
夜になり、鬱々とした気持ちで馬車を迎える。
ため息しか出ない。
お店について部屋に入り着替えをしにいく。
「あれ……」
昨日はワンピースだったのに今日は白のネグリジェだ。この世界ではこの姿は恥ずかしがる令嬢が殆どだが、日本での記憶があるからか特に抵抗はなかった。
むしろ動きやすくて好きだ。
着替え終わると仮面を持ってソファへ座る。しばらくして鈴が鳴った。急いで仮面をつけ、挨拶する。
「さっきぶりだね」
また彼だった。ここって高級娼館なんだよね……?そんなにお金持ってるのかしら。
彼は当たり前のように横に座る。
「さて、何から話そうか」
思ったよりも声色が優しくて思わず安心していたのに、いつの間にか彼に腕を引っ張られて向かい合って座らされる。
背中に支えがなくて、彼の腕もお尻のところに回っていて。
バランスが取れない。
「はい、俺の肩に腕回して」
わざとだ、絶対わざと!
背中に腕を回してくれたらわたしだってバランスが取れるのに。
でもいい加減後ろにひっくり返りそうだったから諦めて腕を回した。
「まずは爵位と結婚についてかな。問題です。俺と君の爵位はなんでしょう」
え? って思っているうちに後頭部に手を回され、なんだかどんどん彼に近づいてる気がする。
「っ、ウィルは辺境伯でわたしは子爵!」
慌てて答えた。ぴたりと手の動きが止まる。
「もうちょっと時間かけてくれてもよかったのに」
彼の声が近い。だいぶ近くまできた?
仮面は相手が見えないし、視界も狭い。全く状況が掴めない。
「じゃあ、第二問。王族と結婚できる爵位は?」
王族? 王族は……
考えているうちに唇が触れる。間に合わなかった……
「はい時間切れー。正解は、伯爵、侯爵、公爵、辺境伯だよ。爵位が低くても養子になれば結婚は可能だ」
ああ、そうなんだ。それは初めて知った。
「はい、第三問。貴族同士の結婚に爵位による縛りはあるか」
縛り……え、どうだったかな。でも公爵家とかはあまり下級貴族と結婚していなかったような……
「ある!」
「ハズレ。基本的に貴族であれば結婚できるんだよ。ただ、周りの目を気にして独自ルールを敷いている奴も多いが」
あ、そうなんだ。それは知らなかったな。
「はい、お仕置きだよ」
え? って思う暇もなく唇を奪われて、口内まで犯される。
「んんっ、ふぁ、んっ」
蠢く舌から逃げようとするけど逃げられない。捕まえられて吸い上げられる。
うまく呼吸できなくて、吐息が漏れる。
しばらく貪られ、なんだか唇が腫れた気がする。それにものすごい恥ずかしい。
「本当可愛い。食べちゃいたい」
なんだか怖い言葉が聞こえて、距離を取ろうとするも後頭部を抑えられてて動けなかった。
「さて、ここからが今日の本題かな」
今までのはなんだったのよ!思わず睨みつけたけど仮面をつけているから彼には効かなかった。
「ローズ?法律で俺と結婚できないって思ってたのか?」
こくりと頷く。だって現実的に考えて彼が爵位を放棄するしか結婚できる道はないって思ってたもの。結局嘘の知識だったけど。
「俺と結婚したかったのか?」
それに頷いたら好きだって認めてるようなものじゃない。頷きたくない。だってまだ借金だって残ってる。
結局は二日間彼にお金をもらってるけど……
「言わないと……」
「きゃっ、や、め」
耳朶をぺろりと舐められる。そのまま耳を嬲られる。舐められている音がダイレクトに聞こえてきて、むずむずする。
もうやだっ
「いう、いうから、やぁっ」
それでも彼の舌は止まらなくて。なんだかあそこが切なくなって足を閉じたくなってしまう。
けれど腰をぎゅっと引き寄せられてしまってそれもできない。
「け、結婚したかったのっ、あっ」
最後に耳たぶを食んで彼の攻撃は止んだ。
「じゃあ、結婚しようか」
わたしが学園にいた頃、ピンク髪の少女がいたこと。その少女から爵位のこともあって、結婚できないと思っていたこと。
でも、その少女のことはわたししか覚えていないこと。わたしの記憶とマクルトの記憶が違っていること。
とりあえずさっき話したことを伝えた。
「結婚の件は今夜ゆっくり話そうか」
ニヤリと笑う彼に背筋が凍る。え、今日もくるの……?
怖いという感情とちょっと嬉しいという感情がぐるぐるする。
「そのピンクの女は俺も知ってるし断片的だが記憶はある」
その言葉にハッと顔をあげる。
よかった……わたしの勘違いじゃなかった。
「ただ……今改めて思い返すと顔が思い出せない」
三人で考え込んでいたけど、全く答えは出なかった。
「学園にいた人に、聞いてみる……?」
「ああ、俺の予想が正しければおそらくその女の近くにいた人間しか覚えていないだろうからな」
「誰に聞いたらいいんだろう」
「それに関しては伝手があるから俺から探ってみるよ」
ひとまずここは彼に任せることにして一旦解散となった。
夜になり、鬱々とした気持ちで馬車を迎える。
ため息しか出ない。
お店について部屋に入り着替えをしにいく。
「あれ……」
昨日はワンピースだったのに今日は白のネグリジェだ。この世界ではこの姿は恥ずかしがる令嬢が殆どだが、日本での記憶があるからか特に抵抗はなかった。
むしろ動きやすくて好きだ。
着替え終わると仮面を持ってソファへ座る。しばらくして鈴が鳴った。急いで仮面をつけ、挨拶する。
「さっきぶりだね」
また彼だった。ここって高級娼館なんだよね……?そんなにお金持ってるのかしら。
彼は当たり前のように横に座る。
「さて、何から話そうか」
思ったよりも声色が優しくて思わず安心していたのに、いつの間にか彼に腕を引っ張られて向かい合って座らされる。
背中に支えがなくて、彼の腕もお尻のところに回っていて。
バランスが取れない。
「はい、俺の肩に腕回して」
わざとだ、絶対わざと!
背中に腕を回してくれたらわたしだってバランスが取れるのに。
でもいい加減後ろにひっくり返りそうだったから諦めて腕を回した。
「まずは爵位と結婚についてかな。問題です。俺と君の爵位はなんでしょう」
え? って思っているうちに後頭部に手を回され、なんだかどんどん彼に近づいてる気がする。
「っ、ウィルは辺境伯でわたしは子爵!」
慌てて答えた。ぴたりと手の動きが止まる。
「もうちょっと時間かけてくれてもよかったのに」
彼の声が近い。だいぶ近くまできた?
仮面は相手が見えないし、視界も狭い。全く状況が掴めない。
「じゃあ、第二問。王族と結婚できる爵位は?」
王族? 王族は……
考えているうちに唇が触れる。間に合わなかった……
「はい時間切れー。正解は、伯爵、侯爵、公爵、辺境伯だよ。爵位が低くても養子になれば結婚は可能だ」
ああ、そうなんだ。それは初めて知った。
「はい、第三問。貴族同士の結婚に爵位による縛りはあるか」
縛り……え、どうだったかな。でも公爵家とかはあまり下級貴族と結婚していなかったような……
「ある!」
「ハズレ。基本的に貴族であれば結婚できるんだよ。ただ、周りの目を気にして独自ルールを敷いている奴も多いが」
あ、そうなんだ。それは知らなかったな。
「はい、お仕置きだよ」
え? って思う暇もなく唇を奪われて、口内まで犯される。
「んんっ、ふぁ、んっ」
蠢く舌から逃げようとするけど逃げられない。捕まえられて吸い上げられる。
うまく呼吸できなくて、吐息が漏れる。
しばらく貪られ、なんだか唇が腫れた気がする。それにものすごい恥ずかしい。
「本当可愛い。食べちゃいたい」
なんだか怖い言葉が聞こえて、距離を取ろうとするも後頭部を抑えられてて動けなかった。
「さて、ここからが今日の本題かな」
今までのはなんだったのよ!思わず睨みつけたけど仮面をつけているから彼には効かなかった。
「ローズ?法律で俺と結婚できないって思ってたのか?」
こくりと頷く。だって現実的に考えて彼が爵位を放棄するしか結婚できる道はないって思ってたもの。結局嘘の知識だったけど。
「俺と結婚したかったのか?」
それに頷いたら好きだって認めてるようなものじゃない。頷きたくない。だってまだ借金だって残ってる。
結局は二日間彼にお金をもらってるけど……
「言わないと……」
「きゃっ、や、め」
耳朶をぺろりと舐められる。そのまま耳を嬲られる。舐められている音がダイレクトに聞こえてきて、むずむずする。
もうやだっ
「いう、いうから、やぁっ」
それでも彼の舌は止まらなくて。なんだかあそこが切なくなって足を閉じたくなってしまう。
けれど腰をぎゅっと引き寄せられてしまってそれもできない。
「け、結婚したかったのっ、あっ」
最後に耳たぶを食んで彼の攻撃は止んだ。
「じゃあ、結婚しようか」
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