27歳、処女 〜みられて濡れて〜【完結】R18

月村 未来(つきむら みらい)

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第二章 目覚め 〜名前を知らない熱〜

12話 ふいの再会

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朝。
あの後なかなか寝付けなかったのに、あやは自分でも驚くほど早く目が覚めていた。
まだ外の空はぼんやりと淡い青で、窓を開けると少し冷たい風が頬を撫でた。


(……はぁ、夢のせいだ……また)


唇に残る感覚が、ほんのりとくすぐったい。
昨夜の夢の中のキスは、朝になっても、まるで本当にあったことのように体に残っていた。


(もう……わたし、どうしちゃったんだろ)


頬が勝手に熱くなるのを、両手で抑える。
服にアイロンをかけ、髪をいつもより丁寧に巻いた。
理由なんてない。
――けど、今日は少しだけ、きちんとしていたかった。






会社に着いて、受付のカウンターに座る。
まいが顔をのぞき込んでくる。

「おはよ~、あや。……てかさ、聞いた?」

「え?」

「さっき連絡あったんだけど……急遽、また風間さん来るって。午前中、資料の件でだって」

「……え、うそ……」

その瞬間、心臓が「ドクン」と跳ねた。

夢の記憶が、一気に熱を帯びて蘇る。

(うそ……今日、また来るの……?)

「すれ違うだけかもだけど、見れるね、ねぇ~~~?」

まいが肩を寄せてきてニヤニヤ笑う。

「ちょ、ちょっと……」

声が裏返りそうになりながら、あやは視線を逸らす。
でも、心の奥では、完全に落ち着かなくなっていた。




10時を少し過ぎたころ――

「お世話になっております」

エレベーターの廊下から、低く落ち着いた声が聞こえた。

あやは反射的に背筋を正す。その時――

「風間さんっ!」

乾いた靴音と共に、スーツ姿の社員、間宮が受付を遮って足早に近づいてきた。
背中には緊張感がにじんでいて、手には資料を数枚抱えている。

「間宮さん、お世話になります」

「あ、すみません。
昨日の今日でお呼びたてしてしまって。
昨日の件で、こちらの資料、至急確認が……」

間宮の声はやや焦っていて、周囲の空気が少しだけぴんと張りつめた。


見えたのは、横顔だけ。
スーツの肩越しに一瞬だけ、視線が、確かにこちらを――

(……目が……)

数秒だった。
けれど、その目はすぐに鋭いビジネスモードに切り替わった。

でも、あやの胸は、その短い時間に全部持っていかれたようにドキドキしている。

彼の背中が間宮と共に会議室の奥に消えるまで、あやは動けなかった。

まいがすぐ後ろから囁く。

「……見てたよね、絶対あれ、こっち……」

「……知らない……」

小さくうつむいて、答えるあやの耳は、真っ赤になっていた。




まだ何も始まっていないはずなのに。
ただ、夢を見ただけなのに。

(……どうしてこんなに、気になっちゃうの……)

ポケットの中で、指が無意識に、ないはずのハンカチを探していた。




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