暇つぶしに恋愛を〜 ありえない恋をするまで 君に会いたい

みー

文字の大きさ
25 / 34

絶壁 手紙

しおりを挟む
次の日は絶壁の海岸で海を眺めた。こういう場所は心が落ち着かない。切り立った岩岩が、人生の厳しさを投げかけてくる。

「20年の為に物語を書いていたんですが、辞めました。
 書いていた私が言うのも変ですが、メリハリがなくダラダラで、長いのが嫌いなヨウさんにはあげられないと思いましたので、手紙にしました。
 亡くなってから読んでなんて、野暮な事は言いません。」

 有は野暮だったのかと、僕は心の中で笑った。

 (20年、一緒いてくれて、ありがとうございます。あっという間に経ちました。

 いきなりですが、
 私の初恋は6歳です。23歳のヨウさんです。
 
 ヨウさんが、父、有と初めて会った講習会の会場で、花を渡した子どもが私です。あの花は会場入り口の花を、貰いました。

 子ども心に、こんなにカッコイイ人がいるんだとビックリして、一眼で好きになりました。 
 その時から、私の王子様です。

 帰りに会場横のカフェで、写真をお願いした子供も私です。偶然一緒になりました。

 父と出会い、私とも出会っていたのです。
 
 私は母の友達と一緒に行っていましたので、父、有とは知らなかった。
 ヨウさんの近くに男の人がいたのは覚えていますが、ヨウさんが素敵過ぎて、周りはよく見ていませんでした。

 その日から、王子様と結婚する事を夢見て、私も隣に立てるように、勉強を頑張りました。
 男同士で変だと打ち明けた友達に言われ、その後は誰にも言う事なく胸に秘めていました。
 複雑な環境で育っても、グレなかったのは、ヨウさんのおかげです。
 絶対、大人になったら会えると信じていました。隣に立つと決めてました。

 28歳の時、父に頼まれた封筒を渡す為、検索していたら王子様がいて、とても驚きました。
 8年前から近くにいた、私が先延ばししていた。
 嬉しいのと、複雑さと、戸惑いと、色んな感情が降ってきました。

 ラジオ局で手紙を渡した時、全く変わりない容姿にまた一眼惚れしました。
 その日から、連絡を取りたくて毎日悩んでいましたが、なかなか勇気が出ません。

 連絡出来ない理由は、2つありました。ひとつは英さんです、あの日2人で仲良く戯れ合いながら、ラジオ局から出てきたのを見た時、友人以上の関係に見え、加えて英さんのずば抜けた容姿に圧倒されました。 ヨウさんと英さん2人の世界に私は敗北感を感じました。

 もうひとつは私自身です。食べるくらいと株と投資をしてましたが、それでは誇れないと思い、真剣に勉強し直し本格的にやり始めました。ヨウさんに見合う男になりたかった。

 4年経って奇跡が起こりました、コンビニでバイトして良かった。
 ヨウさんに売れない小説家って言われた時はビックリしました。
 趣味の範囲から出していないのに、私の事を知ってっいたので、嬉しくて全て良しにしたのも束の間、1年会えなくなり、寂しさで、自分から行動を起こしました。

焼肉屋の最初のデートで、
(有と着物の講習会で初めて会って好きになった)とヨウさんから言われ、父とライバルだったんだ、、、その時決めました。絶対に隣に立つ、と。

その後は、ヨウさんと全部一緒です。

 これからも、一緒に。大好きです。 ナナ)


 そうだったのか、、運命、、わからないが、この感動を、この絶壁で読むのは何か違う。

 ナナは、なぜ今くれたのか、これから荒波が待っているのか、僕の考え過ぎだろうか。
 ナナは隣で、海を眺めている。

「ねぇ、ヨウさん、何でここでくれたのかって考えたでしょ、私は、、、王子様に小さい時に一眼惚れして以来、いずれは会えると思っている以上に、無理だろうなと絶望感の時間も長く過ごしました。
 
 凪いだ海岸ではなく、この岩のような感じだった。だからかな、、。
 本当は、自分でもよくわからないです、父と私は永遠にライバルなのはわかります。
 ヨウさんは私を通して有を見ているでしょう。
 
 それでも、私は幸せです、これからもずっと一緒です」


「なんか自分の事じゃない見たいだ。僕は全部大した事ないのになあ、、。この海を見ていると、ちっぽけな人間だけど、人の心の中はこの海より深いのかな」

「いろいろな、感情がありますからね」

「そうだね。 

 あの時の子供はよく覚えているよ、小さいのにとってもしっかりしていた。写真の時は、同じ子供だと直ぐにわからなかったけど、ナナが帰った後、有が、花をくれた子供だと教えてくれた、、おじさんさんと言われたのが、だいぶショックだった見たいだよ

 あの子が、、ナナか。」


「出会うように、なってい・ま・し・た」

「そうだね」
 

 僕は人生のどんな波に乗ってここまできたんだろう、自分の意志のつもりでも、誰かが動かしているみたいだ。これを運命と言うのか。
 僕はここまで来れた。有は、28歳で止まった。

 ナナと暮らし始めの頃ナナのおじいさんの告白を思い出した。有の選んだ道。
 有の亡くなった後、僕の中で有が占めていた。20年以上も、有は無念で寂しかった、忘れて欲しくなかったんだな。

 僕の苦しさなんて、有から言わせると(生きているよなあ、いいなぁ)だろうか。
 有、また君に会えるだろうか。
 君に、会いたい。

絶壁に波打つ海を眺めながら、心の中で叫んだ。

 暫くして、
「私は、ずっと初恋はヨウさんだったと教えたかった。
 ・・でもこの話には父、有が出できます。
有は、ヨウさんの中で生きている。
 ヨウさんが、有を思う日々になる事が怖かった。

 20年以上私と一緒でした。この記念日を逃したら、もう言えない気がして、伝えました。

 少しスッキリしました。王子様に伝える事が出来ました」


「そっか、ありがとう」
ナナは僕の心の中をわかって言っている。忘れる事が出来ない僕を、気づかないふりをしてくれている。
 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

〈完結〉【書籍化・取り下げ予定】「他に愛するひとがいる」と言った旦那様が溺愛してくるのですが、そういうのは不要です

ごろごろみかん。
恋愛
「私には、他に愛するひとがいます」 「では、契約結婚といたしましょう」 そうして今の夫と結婚したシドローネ。 夫は、シドローネより四つも年下の若き騎士だ。 彼には愛するひとがいる。 それを理解した上で政略結婚を結んだはずだったのだが、だんだん夫の様子が変わり始めて……?

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

25年の後悔の結末

専業プウタ
恋愛
結婚直前の婚約破棄。親の介護に友人と恋人の裏切り。過労で倒れていた私が見た夢は25年前に諦めた好きだった人の記憶。もう一度出会えたら私はきっと迷わない。

さようなら、お別れしましょう

椿蛍
恋愛
「紹介しよう。新しい妻だ」――夫が『新しい妻』を連れてきた。  妻に新しいも古いもありますか?  愛人を通り越して、突然、夫が連れてきたのは『妻』!?  私に興味のない夫は、邪魔な私を遠ざけた。  ――つまり、別居。 夫と父に命を握られた【契約】で縛られた政略結婚。  ――あなたにお礼を言いますわ。 【契約】を無効にする方法を探し出し、夫と父から自由になってみせる! ※他サイトにも掲載しております。 ※表紙はお借りしたものです。

俺と結婚してくれ〜若き御曹司の真実の愛

ラヴ KAZU
恋愛
村藤潤一郎 潤一郎は村藤コーポレーションの社長を就任したばかりの二十五歳。 大学卒業後、海外に留学した。 過去の恋愛にトラウマを抱えていた。 そんな時、気になる女性社員と巡り会う。 八神あやか 村藤コーポレーション社員の四十歳。 過去の恋愛にトラウマを抱えて、男性の言葉を信じられない。 恋人に騙されて借金を払う生活を送っていた。 そんな時、バッグを取られ、怪我をして潤一郎のマンションでお世話になる羽目に...... 八神あやかは元恋人に騙されて借金を払う生活を送っていた。そんな矢先あやかの勤める村藤コーポレーション社長村藤潤一郎と巡り会う。ある日あやかはバッグを取られ、怪我をする。あやかを放っておけない潤一郎は自分のマンションへ誘った。あやかは優しい潤一郎に惹かれて行くが、会社が倒産の危機にあり、合併先のお嬢さんと婚約すると知る。潤一郎はあやかへの愛を貫こうとするが、あやかは潤一郎の前から姿を消すのであった。

15年目のホンネ ~今も愛していると言えますか?~

深冬 芽以
恋愛
 交際2年、結婚15年の柚葉《ゆずは》と和輝《かずき》。  2人の子供に恵まれて、どこにでもある普通の家族の普通の毎日を過ごしていた。  愚痴は言い切れないほどあるけれど、それなりに幸せ……のはずだった。 「その時計、気に入ってるのね」 「ああ、初ボーナスで買ったから思い出深くて」 『お揃いで』ね?  夫は知らない。  私が知っていることを。  結婚指輪はしないのに、その時計はつけるのね?  私の名前は呼ばないのに、あの女の名前は呼ぶのね?  今も私を好きですか?  後悔していませんか?  私は今もあなたが好きです。  だから、ずっと、後悔しているの……。  妻になり、強くなった。  母になり、逞しくなった。  だけど、傷つかないわけじゃない。

届かぬ温もり

HARUKA
恋愛
夫には忘れられない人がいた。それを知りながら、私は彼のそばにいたかった。愛することで自分を捨て、夫の隣にいることを選んだ私。だけど、その恋に答えはなかった。すべてを失いかけた私が選んだのは、彼から離れ、自分自身の人生を取り戻す道だった····· ◆◇◆◇◆◇◆ 読んでくださり感謝いたします。 すべてフィクションです。不快に思われた方は読むのを止めて下さい。 ゆっくり更新していきます。 誤字脱字も見つけ次第直していきます。 よろしくお願いします。

処理中です...