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オーベルジュ
しおりを挟む2日目はオーベルジュに泊まった。
「ここ1組限定だよな」
「はい、どうにか取れました」
「なんか記念日ぽいな」
「はい」
ゆっくり、食事と貰った手紙の続きの話をした。
「よく20年黙っていられたな」
「ヨウさん、有に会いたくなるでしょう」
「うん、そうかもな、
有から貰った手紙に、僕への批判ひとつも書いてないんだ。
僕の自慢で亡くなったって20年近くも思ってたんだよ。
病気だったのかもしれないけど、本当は僕の事嫌いになっていたかもなあ、って今でも思うよ。
結婚、子供、仕事全て秘密だよ、どんだけプライドが高いか想像つくよ。
僕だけが成功して面白くないって、逆だったら僕だって面白くないもんなぁ。文に残すと僕が気にすると思って、いい事しか書いていないんだ。文面通り受け入れる程、若くはないよ。
生きていればこそ、、、だからなあ、全て詮索になる。ずるいよな、先にいなくなるなんて」
「ヨウさんも、有の後を追いたいと思ったんですか、」
「昔の事だよ、いのちの電話ってあるだろう、かけた事あるんだ。
全て、後からわかった話だけど、電話を受け取ってたの英の親父さんで、その数ヶ月前には、有もかけていたらしいよ。
世の中、狭いなあ」
「これだけ、人口が多いのに、内輪完結していますね。
出会うべきして出会っているんでしょう、
怖いくらい、すごい話です、初めて聞きました。」
「僕も、不思議に思うよ。
ナナ、君と20年以上も一緒に暮らしたんだなあ、ありえないよな、・・出会ってしまったよな・・不思議だ。」
僕は、ナナとの出会いも不思議だと心の中で何度も思っていた。
それに加え、有とナナ同じ日が初対面なんて、・・小説見たいだった。
昔、先生が、(出会うべき人には絶対会うから)って言っていたのを思い出した。
お有もナナも秘密があるなあ、僕は相手にされていないのか、少し考えたが、どうでも良いかって思い直した。
最後のデザートのブランデーアイスケーキは、最高に美味しい。お土産に出来るか聞いたら、冷凍保存は味が落ち、日持ちもしないので無理だと、是非また来て欲しいと言われた。
有の事を思い出し、もっとたくさん有の事を話たかったが、20年も出会いを黙っているくらい、ナナは有に違う思いがあるのだろう。
そこも秘密だなぁ、やっぱり秘密が多いなあと思った。
寝る前に部屋で、
「私の口から父の事言ったことないです。ヨウさんから見た有と、私から感じた有は別人です」
「そうかもな、友人と親、、違うよな」
「祖父と祖母が、父と母でした。母は年の離れた姉です。
家の中では、これでいいのかもしれませんが、学校、特に小学校はお父さんお母さんの話題が出ます。その中に入っていけません。
特にいじめられた訳ではないですが、僕の中では、苦しい日々でした。
誰にも打ち明ける事がなく、憎悪となってしまいました。毎年の誕生日のノートも捨てていました。僕が10歳の時亡くなっていたのは、知っています。
誰かが私に説明したとかじゃなく、祖父と祖母を見てわかりました。お葬式は祖父が出したと思います。全てがいつも通りです。
20歳で、姉のような母から手紙、亡くなった父からの手紙と封筒。
ふざけるなって、思いました。自分勝手な事ばかり言って。母の我儘さは、いまだにです。
父は勝手な事を書いてきて、大好きな人への手紙を私に託す。
どこにも大好きなんて書いていませんが、わざわざ会った事もない、捨てた息子に託すんですよ、大好きだってわかります。
直ぐヨウさんに渡すべきだったのかも、今だにわかりません。
20歳の私には、父の思いを届けるなんて無理でした。28歳で、、、父が書いた年齢なら渡せる事ができそうだと思いました。
20代の私は8年間、渡さなければならない手紙に縛られいました。
(なぜ母へ手紙を託さず私なんだ)と、8年間毎日思っていました。
もしかしたら私の憎悪が届いて、父が私の王子様に会わせたのかもしれませね。」
「苦しいね、僕達は今だに有に縛られいる。
有、君の言い分を聞きたい。
ナナ、ありがとう、言ってくれて」
「最初にヨウさんが言ってくれたからです」
「えっ」
「プライド高いし秘密が多いし、文面通り受け取れないって」
「ああ、その通りだ」
「私の気持ちをわかってもらえると思いました、真っ黒過ぎる気持ちですが」
「真っ黒じゃないよ、普通だ、当然の気持ちだよ」
「そう言ってもらえて、楽になります」
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