暇つぶしに恋愛を〜 ありえない恋をするまで 君に会いたい

船 3日目

　3日目は4時間コースの周遊船に乗った。100人くらいは乗れる中型船だ。
　僕達2人はデッキで海原を眺めていた。小さな無人島が幾つも見えた。3日間快晴で海日和だった。

　昨日のケーキアイスまた食べたいねと2人で、たわいもない話をしていた。
　思い切ったようにナナが、

「2カ月くらい前に、私実家に帰ったの覚えていますか」

「ああ、(僕も一緒に)って言ったのに、ナナ1人で行ったんだよ」

「あの時、実は病院に行ってきました」

「えっ、どうしたの」

「うぅん、ちょっと検査してもらいに、」

「どこの」

「うぅん、なんていうか、父、病気で亡くなったでしょう、あれ、遺伝性の病気なんです」

「あぁ、それで」

「私もかかっているのか、気になって」

「検査の結果でたの」

「はい、1カ月前に同じ病名でした」

「・・・」

「野暮な父と、同じ過ちは繰り返したくありませんので、報告しておきます」

「・・」

　最近ナナはやけに野暮って使うようなあ、あっ、そうか有の話題が増えたからかとか、頭の中に病気の事を入れないで、他の事を考えようと思った。

　2人は、遠い地平線を眺めていた、一言も喋らず、ただ眺めていた。

　他の事を考えようとしても直ぐに先程の衝撃的な病気の事が僕の頭を占める。
　今じゃない、衝撃的過ぎて考えてもわからない

今は地平線の向こうを想像しよう、現実から逃げたい、何度も願った。
　僕の瞳には地平線が上手く見えない。ぼやけていた。

　涙が止まらなかった。

4時間の海洋は、あっと言う間に終わった。

　僕の頭の中は、同じ病名の病気の事で一杯だった。何を聞いたらいいのか、何を聞いても、
ナナの好きな言葉の、、、野暮だよな。

　僕は、どう考えて精神を均等に保っていけば、
・・わからない。

　僕がナナの告白の後、何も言わなくなったのを見守ってくれた。