お酒の力を借りまして~隠れイケメン陰キャの俺がお酒の力を借り、大学一の美人な酒豪彼女が出来ました~

小鳥遊

文字の大きさ
24 / 31
2章瓶 お酒の力を……

22杯目 お酒の力を借りまして……

しおりを挟む
「そろそろ覚悟決めないとなぁ……」

 僕は自室で一人呟く。何の覚悟? と思うだろう。
 それは…………
 『自分の気持ちを陽華さんに伝える覚悟』

 である。と言うのも、昨日陽華さんを家まで送った帰り道、僕は一人考えた。随分遅いんだが……

 何をって? それはもちろん、陽華さんとの関係がこのままでいいのかって事について。もし自分の気持ちを、伝える前に陽華さんに彼氏ができたら? 他にも、もし伝える前に交通事故や、病気で死んでしまったら? そんな事を考えていると、やらないで後悔するよりはやって後悔して生きたい。そう思ったからである。

 だが、僕に告白をするってことができる訳もなく。だから僕は考えた。いろいろな検索エンジンを使い調べる。

『告白 勇気出ない』

 するとヒットしたのが、あまり宜しくないがお酒に酔う。つまりお酒の力を借りての告白。ってのが出てきた。

 僕としては、お酒の力を借りることはアリだと思う。むしろそうでもしないと、告白なんてできない気がするし……

 バーのオネェさん曰く、僕は酔うと性格が180度変わるらしい。何でそんなことを知っているのかと言うと、飲みに行った日にメッセージアプリの連絡先を交換していたみたいで。次の日の朝にメッセージが来ていた。マジで迷惑かけてないかだけが心配……

 とまあ、今の僕にはお酒の力を借りる以外の告白方法は、思いつかなかった。まあ、いつにするかって問題もあるのだが……

 とりあえず僕は、その案を採用することとして、覚悟を決めて眠りについた。


 ──僕の恋が終わるまで残り1日……


◇◇◇


~陽華side~

 私から告白した方がいいのかなぁ……

 陰雄くんに家まで送ってもらった私は、そんなことを考えていた。
 陰雄くんの私への思いが分からないので、後悔するよりは……と思う。
 告白されたことは数え切れないほどあるのだが、した経験など無く、当然告白の仕方なども知らない。

 でも、もし振られたら……
 そう思うと、告白なんてできない。と怖気付いてしまう。こんな自分が私は嫌いだ……

 そんなことを考えていると、ふと思った。
 好きでも無い人を家に招くものなのかな? チャラそうな人ならともかく、陰雄くんはこう言ったらアレだけど、その陰キャって感じだし……

 ポジティブ思考な私は、こう結論づける。

 ────陰雄くんは、私のこと好きなのでは?

 そこからは、自然と勇気が湧いてくる。そして、私は明日告白すると決めた。告白する場所は……そうだなぁ。んー、バーでお酒飲みながらとかかな? 

 と、考えている内に私は眠りに着いていた。
 

 後悔する結末が待っているとも知らずに……


 目を覚ました私は、陰雄くんにメッセージを送る。

〔(陽華)陰雄くん! おはよう! 今日ちょっと話せる?〕

 メッセージを送ってから、大学に行く準備をして、大学に着くまで返信は来なかった。

 私が少しモヤッとした気持ちを感じていると、陰雄くんが講義室に欠伸をしながら入ってくる。いつもの場所に座るなり、机に突っ伏したので私は文句を言おうと、陰雄くんの所まで歩いていく。

 陰雄くんの前に着いた私は、腰に手を当てながら言う。

「ちょっと陰雄くん! なんで返信してくれないの!」
「陽華さん……返信? ……あっ。寝坊して見れてなかった……ごめん。その、怒ってる……?」

 陰雄くんは、私の方を向きそう言った。怒ってるかと思ったのか聞かれたので、私はかぶりを振って答える。

「怒ってるとかじゃなくて、返信こないから心配してただけ……」
「そう……だったんだ……」
「まあ、そんなんじゃなくて、私が言いたいのは、今日夜飲みに行かない?」
「……えっ? 今日……ですか……」
「そう! 今日! 私の知り合いがやってるバーがあるんだけどどう?」

 少しの間を置いて陰雄くんは口を開く。

「今日は……その……予定があるので……」
「そっか……まあ、また誘うから行こう!」
「はい……」

 私はそう言って、自分の元いた席まで戻っていく。

──私が後悔するまであと、8時間……


◇◇◇


 はぁ。断っちゃった……と僕は後悔しながら、バーへと向かっていた。だってしょうがないもん。周りの人たちがすごい顔してこちらを見てるんだもん。前回めんどくさかったイケメン君も。

 今日はたくさん飲んで気を紛らわせよう。そう思いながら、バーの扉を開く。

「あら~! 陰雄ちゃん! いらっしゃい!」
「オネェさん。今日は恋愛相談乗ってもらってもいいですか?」
「もちろんよ~! さっ! こっちへおいで」

 オネェさんに案内されながら、僕はカウンター席に座る。そして僕は、全てを話す。お酒の力で告白する覚悟を決めたこと。今日バーに誘われたけど断っちゃったこと等をお酒を飲みながら話した。

 それをオネェさんは、頷きながら聞いてくれた。話し終えると口を開く。

「なるほどね~! 頑張ろうって思えたのはいいじゃない! まあ、話を聞いた感じ、誘えるかが問題よねぇ~」
「そうなんだよー……」
「ってもう出来上がってるじゃない!」

 オネェさんは、俺を見てそう言った。俺は何のことかわからなかったが、何だか今なら何でも出来る気がしている。そんなどこから来るかわからない自信を抱きながら言う。

「もう決めた! 次会ったら告白する!」
「おお! 言ったわね~! 男に二言はないわよね?」
「もちろん! 俺は男だからな!」

 そう言いながら、メガネをオネェさんに手渡す。引き換えにワックスを貰い、髪をかき上げた。それを見てオネェさんは。

「いや~! 本当に陰雄ちゃん酔うと変わるわねぇ~!」
「そうかな?」
「そうよ! ずっとそっちのがいいんじゃない?」

 と話している時だった。突然入り口の扉が開く音が聞こえてきた。
 オネェさんは、入口の方を向くなりテンション高く言う。

「あら~! 陽華ちゃんじゃない! 大きくなったわねぇ~!」
「久しぶり! 相変わらずオネェさんしてるねぇー!」
「一人なの~? ま、とりあえずこっち来て座りな」

 僕は、入ってきた女性の声を聞き驚く。だが、そんなことある訳ないと言い聞かせ、お酒を飲んだ。

 その女性は、僕の隣に案内されオネェさんと話している。
 僕は、声が似過ぎていると思い、恐る恐るその女性の方を向く。瞬間、僕はグラスを倒してしまう。そこに座っているのが、さっきまで話していた陽華さん好きな人だったから……

 僕はおかわりするフリをして、オネェさんに手招きをした。こちらにきたオネェさんに僕は小声で言う。

「その、俺の好きな人隣の女性なんだけど……」
「……えっ!? 陽華ちゃんなの?」
「……うん」
「あら~! 世間は狭いわね~! とりあえず、さっき言ったんだし告白しちゃったら?」
「そう……だよね……」
「頑張って!」

 オネェさんに応援され僕は、覚悟を決めた。難しい言葉等出てこない。僕は、素直な気持ちを伝える。


「は、陽華さん! その、好きでした……俺と付き合ってください!」


──俺の恋が終わるまであと1分…………
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。

true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。 それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。 これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。 日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。 彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。 ※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。 ※内部進行完結済みです。毎日連載です。

まずはお嫁さんからお願いします。

桜庭かなめ
恋愛
 高校3年生の長瀬和真のクラスには、有栖川優奈という女子生徒がいる。優奈は成績優秀で容姿端麗、温厚な性格と誰にでも敬語で話すことから、学年や性別を問わず人気を集めている。和真は優奈とはこの2年間で挨拶や、バイト先のドーナッツ屋で接客する程度の関わりだった。  4月の終わり頃。バイト中に店舗の入口前の掃除をしているとき、和真は老齢の男性のスマホを見つける。その男性は優奈の祖父であり、日本有数の企業グループである有栖川グループの会長・有栖川総一郎だった。  総一郎は自分のスマホを見つけてくれた和真をとても気に入り、孫娘の優奈とクラスメイトであること、優奈も和真も18歳であることから優奈との結婚を申し出る。  いきなりの結婚打診に和真は困惑する。ただ、有栖川家の説得や、優奈が和真の印象が良く「結婚していい」「いつかは両親や祖父母のような好き合える夫婦になりたい」と思っていることを知り、和真は結婚を受け入れる。  デート、学校生活、新居での2人での新婚生活などを経て、和真と優奈の距離が近づいていく。交際なしで結婚した高校生の男女が、好き合える夫婦になるまでの温かくて甘いラブコメディ!  ※特別編6が完結しました!(2025.11.25)  ※小説家になろうとカクヨムでも公開しています。  ※お気に入り登録、感想をお待ちしております。

バイト先の先輩ギャルが実はクラスメイトで、しかも推しが一緒だった件

沢田美
恋愛
「きょ、今日からお世話になります。有馬蓮です……!」 高校二年の有馬蓮は、人生初のアルバイトで緊張しっぱなし。 そんな彼の前に現れたのは、銀髪ピアスのギャル系先輩――白瀬紗良だった。 見た目は派手だけど、話してみるとアニメもゲームも好きな“同類”。 意外な共通点から意気投合する二人。 だけどその日の帰り際、店長から知らされたのは―― > 「白瀬さん、今日で最後のシフトなんだよね」 一期一会の出会い。もう会えないと思っていた。 ……翌日、学校で再会するまでは。 実は同じクラスの“白瀬さん”だった――!? オタクな少年とギャルな少女の、距離ゼロから始まる青春ラブコメ。

クラスのマドンナがなぜか俺のメイドになっていた件について

沢田美
恋愛
名家の御曹司として何不自由ない生活を送りながらも、内気で陰気な性格のせいで孤独に生きてきた裕貴真一郎(ゆうき しんいちろう)。 かつてのいじめが原因で、彼は1年間も学校から遠ざかっていた。 しかし、久しぶりに登校したその日――彼は運命の出会いを果たす。 現れたのは、まるで絵から飛び出してきたかのような美少女。 その瞳にはどこかミステリアスな輝きが宿り、真一郎の心をかき乱していく。 「今日から私、あなたのメイドになります!」 なんと彼女は、突然メイドとして彼の家で働くことに!? 謎めいた美少女と陰キャ御曹司の、予測不能な主従ラブコメが幕を開ける! カクヨム、小説家になろうの方でも連載しています!

隣人の幼馴染にご飯を作るのは今日で終わり

鳥花風星
恋愛
高校二年生のひよりは、隣の家に住む幼馴染の高校三年生の蒼に片思いをしていた。蒼の両親が海外出張でいないため、ひよりは蒼のために毎日ご飯を作りに来ている。 でも、蒼とひよりにはもう一人、みさ姉という大学生の幼馴染がいた。蒼が好きなのはみさ姉だと思い、身を引くためにひよりはもうご飯を作りにこないと伝えるが……。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

処理中です...