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2章瓶 お酒の力を……
23杯目 陰キャと陽キャのエピローグ
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「は、陽華さん! その、好きでした……俺と付き合ってください!」
俺がそう言うと、彼女は急に告白をされたことに戸惑っているのか、口を開けたままフリーズしている。告白をした俺はと言うと……
──……妄想していた。
前日に告白に対して不安を抱いていたものの、酔っているのもあるだろうが、いざ告白してみれば割といい感触はあった。と言うのも、好きでもない異性の一人暮らしの家にご飯を食べにくるだろうか? 今までの彼女との関わり方等普通の異性に対するものではないと思う。
だから俺は、付き合えると確信して付き合った先のことを妄想している。デートでどこに行くか。初めてのクリスマスをどう過ごすか。やがてはお泊まりデートなんてして……
と、そんな妄想ばかりだった。
だから、彼女の次に紡いだ言葉は予想をし得ないものになるなんて思いもしなかった。
「…………か?」
そう。俺に最大級の一撃を喰らわせるようなものだとは思わないだろう。聞き間違いだと思った俺は、聞き返す。
「…………今なんて?」
「だから、あなたとは付き合えません…………! その、好きな人もいますし……それに……あなた誰ですか…………?」
「…………」
「……」
この最大級の一撃を受け、次第に酔いが覚めていく。僕は、オネェさんからメガネを受け取り、つける。メガネをつけた僕を見た彼女は、驚いたような顔をしている気がした。
「…………えっ?」
僕はそんなことにかまう余裕などなく、お金を払い店を出ようとする。
「ちょ、まっ……」
そんな僕に、彼女は何かを言っている。けど今の僕に、振り返る余裕など無く店を後にした。家までの帰り道、彼女に言われた言葉が頭の中をぐるぐる回っていた。
だけど僕は、彼女への想いを捨てることなどできなかった……
──こうして僕の恋は終わりを告げた……
◇◇◇
~陽華side~
私は今、人生最大の後悔をしている。何故かって? 笑っちゃうくらい最低なことをして、初恋が終わったのだ……
よく知りもしない(と思ってる)人に告白されたらどうだろう。
普通は好きではない人からの好意なんて、好きな人がいる私にとって迷惑でしかない。
だってそうでしょ? バーで告白してくる男なんて、振った所でしつこく来るだろう。その後ホテルに……なんて思う様な人もいると思う。こう言っては酷いが正直、気持ち悪い。
だから、私は振ってしまったのだ。彼にとっては、傷つくような言葉を添えて……
「だから、あなたとは付き合えません…………! その、好きな人もいますし……それに……あなた誰ですか…………?」
と。別に、本当に知らない人ならこれくらいで傷つくことはないだろう。だって本当に知らないんだから。だけど彼は違う。
ここまで言ったらわかるだろうが、簡単に説明しようと思う。
知り合いのバーに飲みにきた私は、隣に座っていたイケメンに告白された。それを、私は断った。あなた誰ですか? なんて言葉を添えて……
それがまさか、陰雄くんだとは知らずに……
気づいたのは割とすぐだった。気持ち悪いと思っていたはずだったのに、どこか胸の奥で嬉しいと思ってしまった自分がいた。それに、隣から香る柔軟剤の匂いがどこか心地よかった。
そんな風に思っていると、彼はオネェさんからメガネを受け取りつける。そのメガネをつけた彼は、どこからどう見ても陰雄くんだったのだ。
私はそれに気づき、誤解を解こうと声をかける。
「…………ちょっと待って」
だが、彼に私の声は届かなかったのか、はたまた聞こえたけど振り向かなかったのか。私には分からない。一つだけ分かるのは、私が自分のせいで初恋を終わらせてしまった。と言うことだけだった……
彼の出ていったお店のカウンター席で、一人泣く私。泣いても結果は変わらない。そんなことは分かってる。初恋を終わらせたことに対して泣いてる訳ではない。
初めてできた好きな人を、故意ではないにしろ傷つけてしまった。
私はそう思うと涙が止まらなかった。そんな私にオネェさんは言う。
「陽華ちゃん。陰雄ちゃんのあの姿を見たのは初めて?」
「…………うぅ……うん…………ぐすん」
「そっか。まさか二人が知り合いだったなんて思わなかった上に、お互いがお互いの事を好きだったなんてね」
「…………」
「まだ彼のこと好きなんでしょう? なら泣いてないで謝りに行きなさい。どれだけ時間がかかっても、決して諦めちゃダメよ。彼はきっと分かってくれるはずだから。って言っても、時間はかかるだろうけどね」
「…………うぅ。分かった……」
「陽華ちゃんなら出来るわよ」
その日私は、涙が止まらなかったのでオネェさんに送ってもらった。
送ってもらっている間、涙が止まることは無かった。
──こうして、私の初恋は終わった……
そして物語は陰雄と陽華の長いすれ違いへと入っていく。
俺がそう言うと、彼女は急に告白をされたことに戸惑っているのか、口を開けたままフリーズしている。告白をした俺はと言うと……
──……妄想していた。
前日に告白に対して不安を抱いていたものの、酔っているのもあるだろうが、いざ告白してみれば割といい感触はあった。と言うのも、好きでもない異性の一人暮らしの家にご飯を食べにくるだろうか? 今までの彼女との関わり方等普通の異性に対するものではないと思う。
だから俺は、付き合えると確信して付き合った先のことを妄想している。デートでどこに行くか。初めてのクリスマスをどう過ごすか。やがてはお泊まりデートなんてして……
と、そんな妄想ばかりだった。
だから、彼女の次に紡いだ言葉は予想をし得ないものになるなんて思いもしなかった。
「…………か?」
そう。俺に最大級の一撃を喰らわせるようなものだとは思わないだろう。聞き間違いだと思った俺は、聞き返す。
「…………今なんて?」
「だから、あなたとは付き合えません…………! その、好きな人もいますし……それに……あなた誰ですか…………?」
「…………」
「……」
この最大級の一撃を受け、次第に酔いが覚めていく。僕は、オネェさんからメガネを受け取り、つける。メガネをつけた僕を見た彼女は、驚いたような顔をしている気がした。
「…………えっ?」
僕はそんなことにかまう余裕などなく、お金を払い店を出ようとする。
「ちょ、まっ……」
そんな僕に、彼女は何かを言っている。けど今の僕に、振り返る余裕など無く店を後にした。家までの帰り道、彼女に言われた言葉が頭の中をぐるぐる回っていた。
だけど僕は、彼女への想いを捨てることなどできなかった……
──こうして僕の恋は終わりを告げた……
◇◇◇
~陽華side~
私は今、人生最大の後悔をしている。何故かって? 笑っちゃうくらい最低なことをして、初恋が終わったのだ……
よく知りもしない(と思ってる)人に告白されたらどうだろう。
普通は好きではない人からの好意なんて、好きな人がいる私にとって迷惑でしかない。
だってそうでしょ? バーで告白してくる男なんて、振った所でしつこく来るだろう。その後ホテルに……なんて思う様な人もいると思う。こう言っては酷いが正直、気持ち悪い。
だから、私は振ってしまったのだ。彼にとっては、傷つくような言葉を添えて……
「だから、あなたとは付き合えません…………! その、好きな人もいますし……それに……あなた誰ですか…………?」
と。別に、本当に知らない人ならこれくらいで傷つくことはないだろう。だって本当に知らないんだから。だけど彼は違う。
ここまで言ったらわかるだろうが、簡単に説明しようと思う。
知り合いのバーに飲みにきた私は、隣に座っていたイケメンに告白された。それを、私は断った。あなた誰ですか? なんて言葉を添えて……
それがまさか、陰雄くんだとは知らずに……
気づいたのは割とすぐだった。気持ち悪いと思っていたはずだったのに、どこか胸の奥で嬉しいと思ってしまった自分がいた。それに、隣から香る柔軟剤の匂いがどこか心地よかった。
そんな風に思っていると、彼はオネェさんからメガネを受け取りつける。そのメガネをつけた彼は、どこからどう見ても陰雄くんだったのだ。
私はそれに気づき、誤解を解こうと声をかける。
「…………ちょっと待って」
だが、彼に私の声は届かなかったのか、はたまた聞こえたけど振り向かなかったのか。私には分からない。一つだけ分かるのは、私が自分のせいで初恋を終わらせてしまった。と言うことだけだった……
彼の出ていったお店のカウンター席で、一人泣く私。泣いても結果は変わらない。そんなことは分かってる。初恋を終わらせたことに対して泣いてる訳ではない。
初めてできた好きな人を、故意ではないにしろ傷つけてしまった。
私はそう思うと涙が止まらなかった。そんな私にオネェさんは言う。
「陽華ちゃん。陰雄ちゃんのあの姿を見たのは初めて?」
「…………うぅ……うん…………ぐすん」
「そっか。まさか二人が知り合いだったなんて思わなかった上に、お互いがお互いの事を好きだったなんてね」
「…………」
「まだ彼のこと好きなんでしょう? なら泣いてないで謝りに行きなさい。どれだけ時間がかかっても、決して諦めちゃダメよ。彼はきっと分かってくれるはずだから。って言っても、時間はかかるだろうけどね」
「…………うぅ。分かった……」
「陽華ちゃんなら出来るわよ」
その日私は、涙が止まらなかったのでオネェさんに送ってもらった。
送ってもらっている間、涙が止まることは無かった。
──こうして、私の初恋は終わった……
そして物語は陰雄と陽華の長いすれ違いへと入っていく。
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