次期君主は山猫を飼い慣らしたいらしい

mitokami

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No03 次期君主は山猫を飼い慣らしたい

013 埋まり行く外堀

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 頭首継承順位1位のジエンの御手付き…、つまり[ジエンと肉体関係を持った]と言うデマは…、そう思い込んだジエン本人と、事実を知らないジエンの乳母だったと言う夢華モンファ以下、領主ダオレンの正妻の立場にある正一品[貴妃]の侍女達に寄って…、一瞬で後宮内での周知の事実となっていた……。モンファの話では、今日の昼には[ジエンの童貞卒業記念]の赤飯が配られるらしい。
(あ、もうコレ…、どんなに足掻いても、訂正しようが無いヤツだ……。)
シャンマオは生理痛等で悪くなった顔色と虚ろな瞳でソレを受け入れ…、「飲むのは食後にしなさい」と言う医局長のジルイに「何時もそうしているから」と言って反抗し…、貰った薬を飲んで少し顔色を回復させて…、医局から貴妃の部屋へ…、散歩を急かすワンコの様なジエンに手を引かれ連行される事と成った……。

 そして、徒歩で無駄に長い距離を進み、貴妃の屋敷の中庭を挟んだ隣の建物が、領主ダオレンの唯一の寵妃、正三品[婕妤]の部屋だとシャンマオは気付く。一度、訪れた事のある部屋の窓から、婕妤とシャンマオの双子の兄が肩を寄せ合い、こちらを見ていたからだ。シャンマオは、双子の兄から拒絶された事を思い出し、泣きたくなり、如何して良いか分からず。目を逸らし俯いて、突然のひんやりと広がる胃からの不快感、寒気と手足に感じる冷えと震え、冷や汗に襲われ無意識の内にジエンと繋ぐ手に力を入れた。
シャンマオが手に力を入れる事で、ジエンは振り返り…、シャンマオの顔色を見て、叫ぶ様に名を呼び「今直ぐジルイを連れて来い!」と言う……。ジエンに抱き寄せられ「大丈夫か?」と訊かれたが、シャンマオは吐き気も感じていて答えられない。複合要因で起きたソレに抗う事は出来ず、シャンマオは、しっかりとした意識の中、ジエンに抱き上げられ、脱力していく体を預け、視界の片隅に[眉間に皺を寄せてまで睨む兄、シーツーの姿]を見て誤解し、双子の片割れに『裏切り者』と言われた気がして、身を案じてくれるジエンに縋り付く事しか出来なかった。

 シャンマオは、そのまま、ジエンに貴妃の屋敷の中に運ばれ、何処の部屋か分からないが、本棚や2体セットの人形的な物が飾られる豪華な部屋のベットへと寝かされる。
ジエンに医局から呼び出された医局長のジルイは、今回の事を事前に予測し、準備していたのだろう。早い段階で[だから言ったのにw]と言わんばかりにニヤニヤしながら「人生経験豊富な本職の言う事は、聞くに越した事は無いだろ?」と、加熱してアルコールを飛ばした子供用の甘酒と生姜湯を裏漉しし、ミルクで薄めた物を一つの土鍋に入れ、熱を脱がさぬ様に布で包んで持って来て「病み上がりのジエン坊ちゃんも一緒に飲んでくださいねw」と、土鍋と一緒に持ってきた2つの器に注ぎ、シャンマオには陶器製の匙を付けて「鳩尾周辺に違和感を感じるんだろ?少しで良いから飲んでおきなさい。胃を刺激し過ぎない程度にね…」と言って珍しく優しげに笑い。
「モンファ♪一日に何度も会えるだなんて思わなかったよw」と、ジエンの元乳母と仲睦まじく微笑み合っている。

 シャンマオが何か言いた気に甘い汁を少しづつ口にしていると、ジエンも同じ物を飲みながら気を利かせて一つの情報を教えてくれた。
「ジルイとモンファ…、夫婦なんだよ……。」
「うん?」
「俺が、医局の世話になる度に会話する様になって、結ばれたらしい」
「えぇ?!あ、でも、宦官も男か…ジルイが話してくれるネタは男食ネタが多いから、そっち系なのかと思ってたよ……。」
「ダンショクネタ?そっち系?何なんだ?ソレは?」
「男同士の閨での物語かな?」
「あぁ~下ネタかwって…、意味が分からないのだが……。」
「…、そっかw私は、ジエンが思ってた以上に純粋なんだって理解したよww」
「何だか分からんが、まぁ~良いかw今回、順番を間違ってしまってるから、今からでもシャンマオが俺を理解してくれるのは嬉しい♪こうやって少しづつ分かり合って、良い夫婦になっていこうな♪」
「…はい?」
ジエンはシャンマオが了承したと勘違いして大きな声で「じゃあ、婚約成立だなw新居、楽しみにしておいてくれよw母上!シャンマオの了承を貰ったから、父上に報告してくる!」と言って、颯爽と走り去ってしまった。
「え?」
その場に取り残されてしまったシャンマオは、周囲を見回し…、ジエンに似た美女を見付けビクッと体を震わせる。
ジエンに似た美女は、壁にもたれ掛かり腕を組んだまま、本当に大きな溜息を吐いて、一瞬、額に片手をやり、何かを切り替えた御様子で、シャンマオに向かって虚ろな微笑みを向けた。
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