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No04 次期君主も飼ってるからには山猫に愛されたい
051 姉妹の戦い
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その夜、珍しく領主ダオレンは婕妤の屋敷に渡る事は無く…、その屋敷の階段の上段にて、上着を羽織っただけの半裸の婕妤が煙管を吹かしながら座り…、仕事を終え、貴妃の屋敷に帰る為、通りすがるジエンとシャンマオを待っていた……。
ジエンはシャンマオで慣れたとは言え、婕妤への苦手意識は消えておらず、後退りシャンマオを盾にするかの如く、シャンマオを背中から抱き締める。
婕妤は一瞬、鬼の様な形相と成り「子供の頃は、毎日一緒に遊んで、私を抱き締めて大好きだって…嫁にしてくれるって言ってたのに…、今は酷い態度ね……。」と哀愁を背負い込んだ様な美しい微笑みを浮かべ…、ジエンの方は一瞬、大きく全身で震えて、シャンマオが呻き声を上げる程に強く抱き、小さな犬や猫の様にプルプル震え続けた……。
ジエンの事は置いておいて、妙に明るい月明かりの下、微笑む婕妤は妖艶で、普通の男なら、血迷った行動に出るモノなのだろう。婕妤の足下の階段の下を良く目を凝らして見て見ると、宦官であろう者の亡骸が転がっている。着崩れた衣服、喉を掻き毟る風な格好で血を吐き苦しんで死んでいる[ソレ]は、婕妤が比喩無く物理的に猛毒を体液に分泌している証拠に他ならない。
シャンマオは鳥肌を立て、時に毒キノコや食虫植物も思い浮かべたのだが、放置された武具や、明らか脱ぎ捨てられたのであろう鎧を見て、静かに婕妤に対して「淫魔かよ」と呟いた。ジエンはシャンマオの呟きに「た…退魔師を呼んだ方が良いのか?」と本気で言っているが、「アレは心霊現象的なモノじゃねぇ~だろ?」とシャンマオは返した。
婕妤は、そんな二人を見ながら眉間に皺を寄せ「ジエン、如何して?何で私じゃ駄目なの?」と言いながら、死んだ宦官の持ち物であったであろう後宮の警備の者が通常所持している槍を拾う。シャンマオは「やべぇ~なコレ」と呟き、胸の下で組まれたジエンの腕を解こうと藻掻き「ジエン、放せ馬鹿!逃げるぞ!!」と言い、舌打ちしてから、放してくれないジエンの足を思いっきり踏んで、シャンマオ自身を抱え込んだジエンの腕を放させ、数歩前へ出て、警備の者以外、帯剣をも許されない後宮にて、槍を振り翳し走って来る婕妤を素手で迎え撃つ。
幸い婕妤は、武芸の嗜みも武器を振り回す演武の嗜みも無く攻撃は単調…、但し、婕妤は何かしらの薬物を摂取している御様子で…、走り方も武器の扱いも下手クソなのだが…、無駄に動きが速く、驚く程に力強い……。御陰で、シャンマオが武器を取り上げる為に一度避け、地面に食い込んだ槍を踏み付ければ、シャンマオも一緒に持ち上げる勢いで槍を振り上げられ、続いてシャンマオが柄を掴むも力負けし、身を翻し避けねば危ない所であった。仕方なく、槍の刃を固定する袋部と木製の柄の間をへし折るには至り、危険性は少し下がったが、今の婕妤になら、木製の長い柄で殴られただけでも運が悪ければ死ぬ事になるだろう。
シャンマオはそれでも、ジエンだけでも逃がそうとしているのだが…箱入りの坊ちゃんには空気が読めず……。囓った程度の武技では、加勢に入られても邪魔なだけと成り、ジエンを護る為にシャンマオの腕や何かに打撲した箇所が増えて、困った事に既に、右腕が痺れ手に力が入らなくなっている。勿論、下手に大声を出して助けを呼んで、巻き添えになる者が増えても困る。
「さて、どうしよう…」
シャンマオは婕妤の様子を窺う。婕妤は支離滅裂な言葉を発し、もう、ジエンをジエンと認識していなさそうな雰囲気だった。
譫言の様に繰り返される「優しかったのに如何して」「幸せになれると思ったのに何故」「何で私がこんな目に」「嫌だって言ったのに何で」「アナタが好きだったのに」「拒まないでよ」「受け入れてよ」…、強い意思と怒りを持って、シャンマオに向けられる「盗らないで」「取り上げないで」…、そして、息を切らし呼吸を整え発せられる「ねぇ…、死んで、死んでよ!」は、誰に向けられたモノなのか?シャンマオは(きっと、私に言ってるんだろうな)と思い……。持久戦となった今、ジエンを護る為に婕妤を殺す事も視野に入れ始める。
月を背景に大形の鳥が大きな声で鳴いていた。大きな禿鷲と小さな、普通サイズ近くに育った禿鷲の子が…、婕妤の屋敷の上からコチラを見下ろしている……。きっと、今なら、シャンマオが声を掛ければ、その場にいる者を総て食べ尽くしてくれるだろう。
(ジエンに危険が及ぶ可能性が高いが、身を呈して護れば、ジエンだけでも護れるかもしれない。)シャンマオは、隙を見計らい、婕妤に向けて砂を巻き上げ視界を奪った。
ジエンはシャンマオで慣れたとは言え、婕妤への苦手意識は消えておらず、後退りシャンマオを盾にするかの如く、シャンマオを背中から抱き締める。
婕妤は一瞬、鬼の様な形相と成り「子供の頃は、毎日一緒に遊んで、私を抱き締めて大好きだって…嫁にしてくれるって言ってたのに…、今は酷い態度ね……。」と哀愁を背負い込んだ様な美しい微笑みを浮かべ…、ジエンの方は一瞬、大きく全身で震えて、シャンマオが呻き声を上げる程に強く抱き、小さな犬や猫の様にプルプル震え続けた……。
ジエンの事は置いておいて、妙に明るい月明かりの下、微笑む婕妤は妖艶で、普通の男なら、血迷った行動に出るモノなのだろう。婕妤の足下の階段の下を良く目を凝らして見て見ると、宦官であろう者の亡骸が転がっている。着崩れた衣服、喉を掻き毟る風な格好で血を吐き苦しんで死んでいる[ソレ]は、婕妤が比喩無く物理的に猛毒を体液に分泌している証拠に他ならない。
シャンマオは鳥肌を立て、時に毒キノコや食虫植物も思い浮かべたのだが、放置された武具や、明らか脱ぎ捨てられたのであろう鎧を見て、静かに婕妤に対して「淫魔かよ」と呟いた。ジエンはシャンマオの呟きに「た…退魔師を呼んだ方が良いのか?」と本気で言っているが、「アレは心霊現象的なモノじゃねぇ~だろ?」とシャンマオは返した。
婕妤は、そんな二人を見ながら眉間に皺を寄せ「ジエン、如何して?何で私じゃ駄目なの?」と言いながら、死んだ宦官の持ち物であったであろう後宮の警備の者が通常所持している槍を拾う。シャンマオは「やべぇ~なコレ」と呟き、胸の下で組まれたジエンの腕を解こうと藻掻き「ジエン、放せ馬鹿!逃げるぞ!!」と言い、舌打ちしてから、放してくれないジエンの足を思いっきり踏んで、シャンマオ自身を抱え込んだジエンの腕を放させ、数歩前へ出て、警備の者以外、帯剣をも許されない後宮にて、槍を振り翳し走って来る婕妤を素手で迎え撃つ。
幸い婕妤は、武芸の嗜みも武器を振り回す演武の嗜みも無く攻撃は単調…、但し、婕妤は何かしらの薬物を摂取している御様子で…、走り方も武器の扱いも下手クソなのだが…、無駄に動きが速く、驚く程に力強い……。御陰で、シャンマオが武器を取り上げる為に一度避け、地面に食い込んだ槍を踏み付ければ、シャンマオも一緒に持ち上げる勢いで槍を振り上げられ、続いてシャンマオが柄を掴むも力負けし、身を翻し避けねば危ない所であった。仕方なく、槍の刃を固定する袋部と木製の柄の間をへし折るには至り、危険性は少し下がったが、今の婕妤になら、木製の長い柄で殴られただけでも運が悪ければ死ぬ事になるだろう。
シャンマオはそれでも、ジエンだけでも逃がそうとしているのだが…箱入りの坊ちゃんには空気が読めず……。囓った程度の武技では、加勢に入られても邪魔なだけと成り、ジエンを護る為にシャンマオの腕や何かに打撲した箇所が増えて、困った事に既に、右腕が痺れ手に力が入らなくなっている。勿論、下手に大声を出して助けを呼んで、巻き添えになる者が増えても困る。
「さて、どうしよう…」
シャンマオは婕妤の様子を窺う。婕妤は支離滅裂な言葉を発し、もう、ジエンをジエンと認識していなさそうな雰囲気だった。
譫言の様に繰り返される「優しかったのに如何して」「幸せになれると思ったのに何故」「何で私がこんな目に」「嫌だって言ったのに何で」「アナタが好きだったのに」「拒まないでよ」「受け入れてよ」…、強い意思と怒りを持って、シャンマオに向けられる「盗らないで」「取り上げないで」…、そして、息を切らし呼吸を整え発せられる「ねぇ…、死んで、死んでよ!」は、誰に向けられたモノなのか?シャンマオは(きっと、私に言ってるんだろうな)と思い……。持久戦となった今、ジエンを護る為に婕妤を殺す事も視野に入れ始める。
月を背景に大形の鳥が大きな声で鳴いていた。大きな禿鷲と小さな、普通サイズ近くに育った禿鷲の子が…、婕妤の屋敷の上からコチラを見下ろしている……。きっと、今なら、シャンマオが声を掛ければ、その場にいる者を総て食べ尽くしてくれるだろう。
(ジエンに危険が及ぶ可能性が高いが、身を呈して護れば、ジエンだけでも護れるかもしれない。)シャンマオは、隙を見計らい、婕妤に向けて砂を巻き上げ視界を奪った。
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