幼少期に相思相愛だった相手に婚約を申し込んだら袖にされた。 十二年疎遠だったから無理もない? 私たちは毎夜語らっていたのになぜ……。

川嶋マサヒロ

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49「復活する貴公子」

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 学院でのゴタゴタとは関係なく、冒険サークル【サンクチュアリ】は普通に活動していた。再びダンジョンイベントを開催するので、シルヴェリオは三人娘に招集をかけた。自身のメンタルはさておき、令嬢たちの安全が第一だ。それに確かめておきたいこともあった。
 四人は先行してダンジョンイベントに侵入する。
「だけど、いっつも小物が湧き出してくる展開だよなあ」
「今日も気を付けるニャン」
「……あれは私の責任だな。たぶん」
「えーっ。なんだよそれ」
「なんだ、ニャン」
「そうなのですか?」
「おそらくストーク追跡のスキルに魔獣が反応して寄って来るのだろう」
「なんだよー。犯人はこっち側かよー」
「犯人はないぞ。今日はそれを確かめる。そちらの力は使わん」
「学生さんたちは平和が一番ニャン」
(問題のスキルを確実に手に入れればならん)

 第二階層の安全を確認していると、【サンクチュアリ】たちも降りてきた。適度な小物と対決しつつ盛り上がっている。男子たちは自信をみなぎらせ、女子たちはそれを讃えた。フランチェスカも積極的に戦っている。以前より強くなっていた。
 シルヴェリオはその活躍を、さりげなく横目でガン見する。そして自らも戦う。
 第三階層降りてデメトリアは気配を探った。
「おかしな魔力の動きはないですね」
「これがいつものダンジョンニャンね」
「退屈だけどな。シルヴの力は厄介なんじゃねーの?」
 カールラとチェレステは少々不満顔だ。支道の奥では冒険者たちが戦っているようだが、ホールまで魔獣が溢れるような気配はない。
「森やダンジョンの中では迂闊に仕えんな。注意する」

 特殊イベントもなく、ダンジョン交流会はつつがなく終わった。少し間をおいてシルヴェリオたちも第一階層へと上がる。
「あの……」
「!」
 そこにフランチェスカが嬢いた。遠くに友人二人の姿が見える。シルヴェリオの頭の中はこれから描く絵で一杯になっており、接近に気が付かなかったのだ。デメトリアたち三人娘は気を利かせて先へと進む。
 突然発生したビックイベントにシルヴェリオは戸惑う。このまま抱きしめてしまいたい衝動を必死に押さえ、かすれ声を絞り出す。
「なっ、何――かな?」
「あの――。このあいだはありがとうございましたっ!」
 と言ってフランチェスカは頭を三度下げた。
「い、いや。こちらこそ――」
 何か気の利いたことを言わねばと思うが、まったく思いつかない。
「友人たちに怒られました。お礼も言わなかったなんて。びっくりしちゃって、ごめんなさい」
 と言いニカっと笑ってまた頭を下げる。
「それだけです」
 本当にそれだけ言って友人たちの元へ駆けて行く。
(あっ……)

 帰り道、シルヴェリオは第一の遭遇に遡り事情を説明した。
「それはショックだニャーン」
「ひっでー話しだあー。ガン見かあ?」
 シルヴェリオが復活したので、カールラとチェレステは容赦なく突っ込んだ。
「お前たちとてビキニアーマーだろうが」
「これは普通だしなあ」
「私たち冒険者ニャン」
「いや、令嬢とて大勢いる」
 とオリヴィエラの姿を思い出す。あれが問題無しなら、当然フランチェスカの姿も問題なしだ。
「あなたたち。もうお止めなさい」
「教会騎士はどうなんだあ?」
「騎士もマドンナ《聖母》やレディセイント《聖女》の衣装に準じますから。あなたたちのような格好はしません」
「敵が強いときは?」
「その時は脱ぎますよ。悪魔を倒すのが、第一の目的ですから」
 カールラの突っ込みにデメトリアは真面目に返す。
シスター修道女にも、元冒険者っているんだろ?」
「たくさんいますよ。でも魔導士か魔法使い系がほとんどかしら?」
「令嬢様は剣士系ニャン?」
「いざとなったらって心意気だな。やるじんかー」
「心の準備もなくて、ビックしたのですね。慣れの問題ですか」
 娘たちの分析を聞きつつ、シルヴェリオ思った。
(それらはすでに、突き抜けてしまったな……)

 シルヴェリオ糾弾問題について、フランチェスカがなんとも思っていなかったのはなによりだ。
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