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竜王達の話4
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部屋の中ばかりでは退屈だろうと赫焉は人間を外に連れ出して色々なものを見せた。最初は城の中にある立派な庭。天竜国を一望できる絶景の場所。世界中から集められた本が収納されている図書館など。彼を連れ出しては分かりやすく説明するも、やはり反応は薄かった。赫焉に縋るような目を向けたり、表情を明るくさせたりすることから喜んでいるのは確かなのに、やはり声を聞かせてくれない。緋炎や水陰が協力してもダメだった。
「外に出ても大丈夫なようですし、城下町に行ってみてはどうですか?」
今はまだ城の中か周辺のみしか案内していない。天竜国は安全だと赫焉は言ったが、それは人間界に比べたらという話で、全く危険がない訳ではない。常に赫焉が傍に居るとはいえ、城下町に連れて行くのはまだ抵抗があった。もし、城下町で攫われたら。知らぬ間に誰かに傷付けられたら。自分の意思で逃げてしまったら……
考えるだけで赫焉は気が狂いそうになった。今更彼を手放すなんて考えられない。彼の居ない生活など耐えられない。その為、赫焉は城下町へ連れて行くことには反対していたのだが、城の中はほとんど案内が終わっている。「妾がとびきり美しく着飾ってやろう」と緋炎に言われ、赫焉は渋々城下町へ行くことを許した。
天竜国の民達は突然現れた赫焉に最初は驚きはしたものの、隣に居る黒髪の少年を見て嬉しそうに微笑んだ。彼らは赫焉が人間を伴侶にする気だと分かると自分のことのように喜んで深々と頭を下げ、二人を心から祝福した。民達は初代竜王を尊敬しているのは勿論、彼が伴侶として選んだ人間に対しても心から尊敬し感謝していた。王妃となった人間は、民達を大切にし、生活を豊かにし、この世界にはない異世界の知識や教養、技術を教え、子どもたちも飢えることなく幸せに暮らせるようになった。王妃となっても伴侶となった人は欲にも権力にも溺れず、初代竜王を生涯愛し続け、国や民の為に全力を尽くしてくれたという。
その為、民達は新しい竜王が誕生する度に伴侶が誰になるのか、異世界の人間が王妃に選ばれないかと期待していた。しかし、初代竜王以外の竜王達は二番目に強い雌のドラゴンを伴侶にしていた為、民達は祝福しつつも内心何時も落胆していた。世代が新しい者に変わっても、二人の功績は永遠に語り継がれてきた。祖父母から孫へ、両親から子へ、教師から生徒へ。そうして語り継がれた歴史があるからこそ、赫焉が人間を伴侶に迎え入れると聞いて民達は歓声を上げたのだ。
城下町は初代竜王の伴侶となった人間の故郷に似せて作られたとされており、文化や礼儀作法もこの時に導入された為、日本の温泉街のような街並みで、国民性も少しだけ日本人に近しいものとなっている。初めて城下町を訪れた人間は一瞬驚きはしたものの、何かを懐かしむような、どこか安堵したような顔をして城下町を眺めていた。
「もしや、この方も異世界から無理矢理連れて来られたのですか?」
「かつての王妃様も美しい黒い髪に黒い瞳をした小柄な方だったそうです」
「王妃様と同郷の方が再び竜王様の伴侶に選ばれるとは……実にめでたいですな」
まだ準備段階であるにも関わらず、民達は既に彼が王妃になること前提で話を続けていた。今迄色々とバタバタと忙しくて何も聞けず、情報も得られなかった赫焉は彼らの話を聞いて今迄どうして気付かなかったのかと今更後悔した。
この世界に黒い髪に黒い瞳をした者は存在しない。魔獣や魔物でも濃い灰色程度。これ程までに見事な漆黒の髪と瞳を持つ者は異世界人しか考えられない。そのことに気付いた赫焉は「異世界から来たのか?」とそっと聞くが、彼は曖昧に笑うだけで答えてくれなかった。
「異世界から来られたのでしたら、言語が違っていて通じていないのでは?」
困惑する彼を見て、民達は我が子のように心配してくれた。彼も城下町を見ると安心するようで、危険性はないと判断した赫焉は、時間ができる度に人間を城下町へと連れて行き、美味しいものを食べさせたり、新しい衣服や装飾品を買い与えるようになった。
「これはこれは竜王様。最近よく来られますね。王妃様と意思疎通はできましたか?」
「いや。まだできていない。嫌われている訳ではないのだが、やはり声は出してくれなくてな」
「人間界で深く傷付けられたのでしょうな。かつての王妃様のように……心に付けられた傷は中々治らないと聞きますし、癒えるまでにはかなりの時間が必要となります。気長に待ちましょう」
「分かっている」
「無茶をさせてはなりませんよ? 王妃様は人の子なのですから」
民達の話はとても参考になり、赫焉は城に帰ると緋炎と水陰に彼が異世界人ではないかと報告し、今後どう対応するのか考えた。言語が通じていない可能性がある。人間界で深く傷付けられた可能性が高い為、今はみんなで愛情を注いで心の傷を癒していくしかない。焦りは禁物。それは分かっているのだが、夜になると赫焉はどうしても我慢できず彼を抱いてしまった。緋炎と水陰から怒られても全く気にしていない。
城の内部事情が何処からか漏れたのか、竜王様が人間を溺愛しているという噂は天竜国内にあっと言う間に広まり、竜王様が愛しさのあまり人間を無理矢理襲っているという噂まで流れてしまった。実際、半分は本当なのだが、従者だけでなく民達にまで忠告を受けてしまうと赫焉も反省しなければという気持ちになる。しかし、頭では分かっているのだが、本能的に彼を求めてしまうのだ。体を繋げている時に見せる余裕のない表情や、快楽に溺れて素直に可愛らしく反応する身体が、いじらしくて愛おしくて仕方ない。全てを自分のものにしなければ気が済まない。膨れ上がる独占欲や執着心を自分自身で抑えられない。
今日だって、城下町では我慢するつもりだったのに赫焉の理性は彼の可愛らしい行動によって見るも無残に打ち砕かれた。何時ものように何か欲しいものはないか、何が食べたいのか質問するが、やはり彼は答えてくれず、代わりに指で示したり、首を上下に振って意思表示したりするだけだった。
赫焉は竜王なのだから別に屋台に並ぶ必要はないし、民達も「竜王様と王妃様を待たせるなんて!」と顔面蒼白になっていた。しかし、赫焉は律儀に順番を守り先に並んでいた民達を優先した。予約していた訳ではないし、並んだとしても数分から十数分程度。民達は困惑しつつも「まるで初代様のようですね」と苦笑した。天竜国の国民性は日本人に似ている。それは初代竜王が伴侶に聞いて素晴らしいと思ったものを次から次へと取り入れ、自国で発展させたからだ。彼はその中にある「順番は守りなさい」というルールを守っているだけだ。当たり前の事をしているだけなのに、隣から小さく笑う声が聞こえた。気になって横を見ると、人間が片手を口元に持って行きクスクス笑っていた。困ったような笑い方ではなく、気遣うような笑い方でもない。心から笑っているようだった。
控えめに笑う彼は誰よりも美しく、より一層「護らなければ」という謎の使命感に襲われた。可愛すぎるのだ。美しく、健気で、純粋で可愛い。それなのに夜になると妖艶に赫焉を翻弄して虜にし、身も心も絡め取っていく。彼にその気がないのは知っている。無自覚だからこそ魅力的なのだ。
「竜王様?」
「……ま、まだ手は出しておらぬ」
「此処は公共の場、ですからね。弁えてくださいよ?」
「わ、分かっておる」
店主から焼きたてのたこ焼きを貰い、赫焉は人間を連れて別の場所に移動した。移動しながら赫焉は「此処はそなたの故郷に似ておるのか?」と「この国の食べ物は口に合うか?」と聞くが、やはり困ったように笑うか小首を傾げて困惑するだけだった。もう慣れた反応だというのに、どれだけ尽くしても声を聞かせてくれないことが悔しくて悲しくて、赫焉は表情を曇らせた。
どうすれば声を聞かせてくれる?
何をすれば話してくれるようになる?
そんなことをぐるぐる考えていると突然、熱々のたこ焼きを口の中に突っ込まれ、赫焉は口をはふはふ動かして飲み込んだ。熱すぎて涙が出て来た。責めるように睨もうとしたが、彼はまた満足そうに笑っていた。声は出ていないが、クスクスと微笑ましそうに、愛おしそうに笑う彼を見て我慢など出来る筈もなく、赫焉は彼の唇を自分の唇で塞いだ。
此処は公共の場の為、赫焉は触れるだけのキスをした後、彼の手を掴んで人気のない路地裏へ移動した。怯えを見せる彼を壁に押し付け、その手を壁に縫い付けて貪るように深く口付ける。口を抉じ開け、歯列をなぞり、逃げようとする舌を絡めとる。甘い刺激から逃げたいのか、逆にもっと欲しいのか、彼は力なく赫焉に縋りついた。
「ん……ぷは、ふぅ……はぁ」
解放した時には息も絶え絶えで、彼は立っているのもやっとだった。深い口付けで涙目になり、頬は赤く染まり、額や首筋から汗が滲み出ている。長く黒い髪が張り付いて余計に欲情を駆り立てるが、赫焉は必死に我慢した。本当は今すぐ抱いて隅々まで堪能したい。しかし、此処は野外で少し歩けば大通りになっている。赫焉は自分の欲に負けそうになるのを必死に理性で抑え、彼が落ち着くまで、そして自分の高ぶりを鎮める為に、彼の頭を撫で続けた。
「外に出ても大丈夫なようですし、城下町に行ってみてはどうですか?」
今はまだ城の中か周辺のみしか案内していない。天竜国は安全だと赫焉は言ったが、それは人間界に比べたらという話で、全く危険がない訳ではない。常に赫焉が傍に居るとはいえ、城下町に連れて行くのはまだ抵抗があった。もし、城下町で攫われたら。知らぬ間に誰かに傷付けられたら。自分の意思で逃げてしまったら……
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天竜国の民達は突然現れた赫焉に最初は驚きはしたものの、隣に居る黒髪の少年を見て嬉しそうに微笑んだ。彼らは赫焉が人間を伴侶にする気だと分かると自分のことのように喜んで深々と頭を下げ、二人を心から祝福した。民達は初代竜王を尊敬しているのは勿論、彼が伴侶として選んだ人間に対しても心から尊敬し感謝していた。王妃となった人間は、民達を大切にし、生活を豊かにし、この世界にはない異世界の知識や教養、技術を教え、子どもたちも飢えることなく幸せに暮らせるようになった。王妃となっても伴侶となった人は欲にも権力にも溺れず、初代竜王を生涯愛し続け、国や民の為に全力を尽くしてくれたという。
その為、民達は新しい竜王が誕生する度に伴侶が誰になるのか、異世界の人間が王妃に選ばれないかと期待していた。しかし、初代竜王以外の竜王達は二番目に強い雌のドラゴンを伴侶にしていた為、民達は祝福しつつも内心何時も落胆していた。世代が新しい者に変わっても、二人の功績は永遠に語り継がれてきた。祖父母から孫へ、両親から子へ、教師から生徒へ。そうして語り継がれた歴史があるからこそ、赫焉が人間を伴侶に迎え入れると聞いて民達は歓声を上げたのだ。
城下町は初代竜王の伴侶となった人間の故郷に似せて作られたとされており、文化や礼儀作法もこの時に導入された為、日本の温泉街のような街並みで、国民性も少しだけ日本人に近しいものとなっている。初めて城下町を訪れた人間は一瞬驚きはしたものの、何かを懐かしむような、どこか安堵したような顔をして城下町を眺めていた。
「もしや、この方も異世界から無理矢理連れて来られたのですか?」
「かつての王妃様も美しい黒い髪に黒い瞳をした小柄な方だったそうです」
「王妃様と同郷の方が再び竜王様の伴侶に選ばれるとは……実にめでたいですな」
まだ準備段階であるにも関わらず、民達は既に彼が王妃になること前提で話を続けていた。今迄色々とバタバタと忙しくて何も聞けず、情報も得られなかった赫焉は彼らの話を聞いて今迄どうして気付かなかったのかと今更後悔した。
この世界に黒い髪に黒い瞳をした者は存在しない。魔獣や魔物でも濃い灰色程度。これ程までに見事な漆黒の髪と瞳を持つ者は異世界人しか考えられない。そのことに気付いた赫焉は「異世界から来たのか?」とそっと聞くが、彼は曖昧に笑うだけで答えてくれなかった。
「異世界から来られたのでしたら、言語が違っていて通じていないのでは?」
困惑する彼を見て、民達は我が子のように心配してくれた。彼も城下町を見ると安心するようで、危険性はないと判断した赫焉は、時間ができる度に人間を城下町へと連れて行き、美味しいものを食べさせたり、新しい衣服や装飾品を買い与えるようになった。
「これはこれは竜王様。最近よく来られますね。王妃様と意思疎通はできましたか?」
「いや。まだできていない。嫌われている訳ではないのだが、やはり声は出してくれなくてな」
「人間界で深く傷付けられたのでしょうな。かつての王妃様のように……心に付けられた傷は中々治らないと聞きますし、癒えるまでにはかなりの時間が必要となります。気長に待ちましょう」
「分かっている」
「無茶をさせてはなりませんよ? 王妃様は人の子なのですから」
民達の話はとても参考になり、赫焉は城に帰ると緋炎と水陰に彼が異世界人ではないかと報告し、今後どう対応するのか考えた。言語が通じていない可能性がある。人間界で深く傷付けられた可能性が高い為、今はみんなで愛情を注いで心の傷を癒していくしかない。焦りは禁物。それは分かっているのだが、夜になると赫焉はどうしても我慢できず彼を抱いてしまった。緋炎と水陰から怒られても全く気にしていない。
城の内部事情が何処からか漏れたのか、竜王様が人間を溺愛しているという噂は天竜国内にあっと言う間に広まり、竜王様が愛しさのあまり人間を無理矢理襲っているという噂まで流れてしまった。実際、半分は本当なのだが、従者だけでなく民達にまで忠告を受けてしまうと赫焉も反省しなければという気持ちになる。しかし、頭では分かっているのだが、本能的に彼を求めてしまうのだ。体を繋げている時に見せる余裕のない表情や、快楽に溺れて素直に可愛らしく反応する身体が、いじらしくて愛おしくて仕方ない。全てを自分のものにしなければ気が済まない。膨れ上がる独占欲や執着心を自分自身で抑えられない。
今日だって、城下町では我慢するつもりだったのに赫焉の理性は彼の可愛らしい行動によって見るも無残に打ち砕かれた。何時ものように何か欲しいものはないか、何が食べたいのか質問するが、やはり彼は答えてくれず、代わりに指で示したり、首を上下に振って意思表示したりするだけだった。
赫焉は竜王なのだから別に屋台に並ぶ必要はないし、民達も「竜王様と王妃様を待たせるなんて!」と顔面蒼白になっていた。しかし、赫焉は律儀に順番を守り先に並んでいた民達を優先した。予約していた訳ではないし、並んだとしても数分から十数分程度。民達は困惑しつつも「まるで初代様のようですね」と苦笑した。天竜国の国民性は日本人に似ている。それは初代竜王が伴侶に聞いて素晴らしいと思ったものを次から次へと取り入れ、自国で発展させたからだ。彼はその中にある「順番は守りなさい」というルールを守っているだけだ。当たり前の事をしているだけなのに、隣から小さく笑う声が聞こえた。気になって横を見ると、人間が片手を口元に持って行きクスクス笑っていた。困ったような笑い方ではなく、気遣うような笑い方でもない。心から笑っているようだった。
控えめに笑う彼は誰よりも美しく、より一層「護らなければ」という謎の使命感に襲われた。可愛すぎるのだ。美しく、健気で、純粋で可愛い。それなのに夜になると妖艶に赫焉を翻弄して虜にし、身も心も絡め取っていく。彼にその気がないのは知っている。無自覚だからこそ魅力的なのだ。
「竜王様?」
「……ま、まだ手は出しておらぬ」
「此処は公共の場、ですからね。弁えてくださいよ?」
「わ、分かっておる」
店主から焼きたてのたこ焼きを貰い、赫焉は人間を連れて別の場所に移動した。移動しながら赫焉は「此処はそなたの故郷に似ておるのか?」と「この国の食べ物は口に合うか?」と聞くが、やはり困ったように笑うか小首を傾げて困惑するだけだった。もう慣れた反応だというのに、どれだけ尽くしても声を聞かせてくれないことが悔しくて悲しくて、赫焉は表情を曇らせた。
どうすれば声を聞かせてくれる?
何をすれば話してくれるようになる?
そんなことをぐるぐる考えていると突然、熱々のたこ焼きを口の中に突っ込まれ、赫焉は口をはふはふ動かして飲み込んだ。熱すぎて涙が出て来た。責めるように睨もうとしたが、彼はまた満足そうに笑っていた。声は出ていないが、クスクスと微笑ましそうに、愛おしそうに笑う彼を見て我慢など出来る筈もなく、赫焉は彼の唇を自分の唇で塞いだ。
此処は公共の場の為、赫焉は触れるだけのキスをした後、彼の手を掴んで人気のない路地裏へ移動した。怯えを見せる彼を壁に押し付け、その手を壁に縫い付けて貪るように深く口付ける。口を抉じ開け、歯列をなぞり、逃げようとする舌を絡めとる。甘い刺激から逃げたいのか、逆にもっと欲しいのか、彼は力なく赫焉に縋りついた。
「ん……ぷは、ふぅ……はぁ」
解放した時には息も絶え絶えで、彼は立っているのもやっとだった。深い口付けで涙目になり、頬は赤く染まり、額や首筋から汗が滲み出ている。長く黒い髪が張り付いて余計に欲情を駆り立てるが、赫焉は必死に我慢した。本当は今すぐ抱いて隅々まで堪能したい。しかし、此処は野外で少し歩けば大通りになっている。赫焉は自分の欲に負けそうになるのを必死に理性で抑え、彼が落ち着くまで、そして自分の高ぶりを鎮める為に、彼の頭を撫で続けた。
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