王女の婚礼を阻止します ~JKだけど転生したら××になっていました~

墨隊員

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02 落ちる

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「ごめん、お待たせ!」
 張りのある声とともに、生徒会長の諏訪圭一郎が駆けこんできた。
「期末考査が終わってすぐだから、手短に済ませよう。11月の文化祭について、事前準備
の内容を共有しておきたいんだ」
 執行部メンバーに議題を伝える諏訪の声を聞きながら、理沙はちらりとその顔を盗み見て
いた。実は理沙は、一年生のときから諏訪に対して特別な想いを抱いていた。生徒会副会長
に立候補したのも、諏訪の近くにいたいと思ったからだ。
 剣道部で主将を務める諏訪の姿を、何度かこっそり覗きにいったこともある。鋼の防具の
面の奥でまっすぐに光るあの眼差しにもし自分が見つめられたら、と、うっとり想像を重ね
たりしていた。

 だが、文化祭の資料を読み上げる諏訪の声を聴いているうちに、理沙はさっき笹山雪に対
して感じていたのに似た、あの不思議な感覚をまた感じていた。
(この声は……)
「――葉山、どうかした?」
 諏訪が理沙に言った。
「あ、ごめん。何でもないの。続けて?」
「いや、テストで疲れてるよな。みんなもすまん。今日伝えたいことは以上だから、あとは
各自、配った資料を読んでおいてくれ」
では解散、という諏訪の声で、執行部会はお開きになった。

(なんだか変な一日だったな)
 朝見た夢がこんなにも残っているなんて珍しい。たいていは、時間が経つにつれて、どん
な夢を見ていたのかすらも忘れてしまうものなのに。
 そんなことを考えながら理沙が階段を降りようとしていたとき、後ろから諏訪の声がし
た。

「葉山!資料を忘れてるぞ」
「え?」

 とっさに振り向いた理沙の足が、階段から踏み外れた。ガクンと揺れる視界にアッとなっ
た。

(落ちる―――!)

 こちらに駆け寄り手を差し伸べようとしていた諏訪の姿がどんどん小さくなっていくの
を、理沙はスローモーションの映像を見ているような気持ちで、呆然と見ていた。
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