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旅立ちの前

勇者、土下座からのセックス。

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私の幼馴染のラインハルト――通称ハルは勇者らしい。

つい最近まで農民をしていたのだけど、神託により王宮から直々に勇者の称号をいただいたのだ。

そして、明日、この村を発ち、魔王討伐のための冒険の旅に出る。


のだけど。


「なんで最後の晩にウチに来るかね?」

どうしても二人で話がしたい、と言われ、仕方ないからディナーを用意した。

食事は私が用意してやる、だから酒はハルが持ってこい、と言ったら、とびきり高いワインを持ってきた。うまい。

「実は……レミィに折り入ったお願いがあって」

レミィとは私の愛称だ。レミールと言う。


ハルは椅子から降りた。

それから地面へ膝をついた。

手をついて、長身を折り畳み、額を床にぶつけた。

土下座だ。


「俺を男にして欲しい!」

「あんた最初から男じゃん」

「いや、そういう意味じゃなくて……その……」

 ゴニョゴニョと語尾が小さくなっていく。

「は!?なんだって?」

「ふひぃ……」

私が強めの口調で聞き返すと、ハルは変な情けない声を出した。気が弱いのだ。

「はっきり言えよ。聞こえないんだけど」

椅子へ横に座り、足元の勇者もといハルの頭を爪先で弾く。耳まで真っ赤になっていた。


「……せ、セックスさせてください」

「ほう」

「勇者になる自信が持てないんです。童貞のままで世界を救える気がしないんです。レミィにしか頼めないんです。俺を男にしてください」

「ふむ」

腕を組む。


土下座して顔は見えないが、ハルはなかなか整った顔立ちだ。

銀色の短髪に、灰色の丸く大きな眼。いつも笑ったようなやや厚い唇。いわゆる可愛い系。

声も柔らかく掠れて、少し舌足らず。

好みのタイプではないけど、まあ、悪くはない。


「そうだなぁ。幼馴染のよしみだし、死ぬかもしんないもんな」

「……死……死ぬかもって……」

「いいよ、しよっか」

「本当に!」

パッと顔が上がる。目がキラキラしていた。現金なやつだ。


ということで。


その晩、私は勇者と寝た。

いざ挿入、というところで、緊張で中折れ。

仕方ないから口で勃たせて、今度は私がのし掛かり、お前それでも男かよと口頭で叱咤激励して、なんとか挿入ができた。

やめろと言っているのに腰を掴まれ、中で遂げられた。こちとら処女だというのに、酷い目にあった。
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