ものぐさがうぬぼれを救う

栗山 丈

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第十二話

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 ある時、思いもよらない幸運が周也に巡ってきた。

ブログに挙げていた「思い出の残る街」の紹介がYGKテレビ局のプロデューサーの目に留まり、ドラマの台本を書いてみないかと声がかかったのだ。

コツコツと努力を重ねて頑張ってきた周也に、またしてもチャンスが巡ってきた。

周也にとって、人生でこれほど嬉しかったことはなかった。

テレビ局からの依頼は至急のもので、一か月で六十分のドラマの台本を仕上げなければならない。

令和の時代の実直な若者を主人公とすることが条件である。

周也は日々書き続けた。自分でも気に入ったものに仕上がりそうである。

一日一日の時間がこれほど短く貴重に感じたことはなかった。

締め切りまでに仕上げられるのかどうかも自信がなかった。

この仕上がりで本当に大丈夫なのかと不安が募った。

何度も何度も推敲を重ね、とうとう締め切りの日を迎える。

仕上がったシナリオは《碧き湖を眺めて》。

そしてYGKテレビに原稿を提出した。

 書き上げた台本の評判は上々であった。周囲の関係者からは
「なかなかいいセンスしてんじゃん」

「めっちゃおもろいやん」

などの多数の祝福が寄せられた。

 周也は和希に感謝しても、しきれなった。

その後も和希は周也あてに来る手紙やシナリオを書いて欲しいなどの依頼がくるのを、窓口となって整理し取りまとめた。

「今日の時点でテレビ局からドラマの台本の依頼が3本、Youtubeの台本の依頼が5本入った。Twitterの反応も上々だぞ」
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