不遇職でVRMMO!~近接系魔法使いになってみた~(仮題)

存在感が消え過ぎた物体

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不遇職になってみた

第三話 初クエストを受けまして

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翌日、休日が終わり大体の学生には怠いと感じるであろう月曜日の学校で、俺は昼食時に佑と軽くFWOでの話をした。

「そういや、佑のジョブって何にしてるんだ?」

「ん?あぁ、俺は戦士で両手剣で戦ってるぞ」

「おー、お前の事だから魔法剣士とかだと思ってた」

「いやまぁ…β版の時に選択したけど合わなくてな。それで、慎二はジョブ何にしたんだ?」

「魔杖師にした」

「…まじで?」

「おう、でも案外なんとかなってるから大丈夫だぞ」

「お前がいいならまあいいけど、絡まれたりしないか?」

「あ~、死に戻りしたとこで絡まれたな」

「やっぱりか」

「ま、ちゃんと追っ払ったから問題ないだろ」

とまぁ、こんな感じでジョブ教えて心配されただけだった。
学校が終わり、家に帰るとFWOを用意して即ログインする。

「ま、2日連続で絡まれたりしないだろ」

しかし、数分後にその考えは間違いだと気づいた。

「今日はクエストでも受けてみようかな」

昨日ログアウトした位置にログインすると、俺は早速ギルドに向かった。

中に入ると、昨日よりは人が少ないことは分かるが、それでも十分多かった。

「さて、何かいいクエストはあればいいんだが…」

クエストボードを眺めて簡単に出来そうなクエストを探すが、既に他の人達が取った後なのか採取くらいしか無かった。

「仕方ないし、採取でも受けようかな」

そして、依頼用紙を取ろうとしたところで後ろの入り口側から大きな声と聞いたことのある声が聞こえた。

「だから、下心丸出しの貴方達とは行かないって言ってます」

「んだとてめぇ!!」

「ガキの癖に調子乗りやがって!」

「受注キャンセルとかふざけんなよ!」

あれ、この三人組ってもしや…
すっと声の方へ振り向く。

「とにかく、クエストはキャンセルします」

「待ちやがれ!」

「きゃっ!」

そこには、昨日俺に絡んできた三人組の一人が女の子の腕を掴んで強引に引き留めていた。

「ちょっと、やめて下さい!」

「レベル6の俺達が護衛してやるって言ってんだから雑魚はつべこべ言わず従いやがれ!」

レベル6って、弱くないか?俺でもレベル11なんだが…
まあいいか、取り敢えず可哀想だし助けるか。

「やめろ」

「えっ」

素早く近づいて、腕を掴んでいる手から女の子を引き離してこちら側に引き寄せて男に一言。

「なんだてめぇ!」

男は一瞬、呆然としていたがすぐに正気になりこちらに怒鳴りつけてきた。
俺はそれに冷静に返答する。

「ただの通りすがりだ、この女性が嫌がっていたので助けただけだ」

それを聞くと男達は突然笑い出した。

「ハハハ、なんだそりゃ、正義の味方のつもりか?」

「そいつは俺達の受けたクエストの依頼主なんだよ、正義の味方くん(笑)」

「それになんだよその装備、雑魚そうだな!」

普通にそこら辺に売ってる装備よりは強いけどな。

「あの、私一人でなんとかしますから」

女の子が横から申し訳なさそうに言ったのでフードの下で笑みを浮かべてこう言う。

「この程度のやつら、どうという事はないですよ」

「んだとフード野郎!」

案の定、煽られている事が分かったのか三人組はキレた。
そして前回の様にこちらにPVPを申請してきた。

「俺達は全員レベル6だ、謝るなら今のうちだぜ?」

「いいだろう、軽く捻らないと大人しくならない様だ」

ニヤニヤしてるのを無視してYESを押す。すると、闘技場の様な場所へと強制的に転移させられ、目の前に『開始まで30秒』と表示される。
空中に幾つかモニターの様なものが浮かんでいるが、これらは他のプレイヤーが観戦しているらしい。

それにしても、俺の方から絡むことになるのは予想外だった。

『3・2・1・0・試合開始!』

「後悔してもしらねぇぞ!」

おっと、考え事をしてたらもう30秒経ってた。
相手が得物の大剣を抜き、こちらに真っ直ぐ駆け出す。

「死ねやごらぁ!」

大剣が光を帯びて俺に向かって叩きつけられる。それを横に身体を逸らして回避し、後ろに下がる。

「ふむ、これが大剣のアーツか」

案外簡単に避けれるんだな。

「どうした、逃げてたら倒せねぇぞ!」

アーツの硬直時間が終わり、またこちらに突撃してくる。

「おらぁ!」

次は横薙ぎか、一応考えて行動している…のか?

俺は向かってくる大剣に杖を添える様に乗せ、地面にそらす。

「なっ!?」

大剣はそのまま突き刺さり、男は隙だらけになったので敢えて杖を使わずに思い切り蹴飛ばした。

「ほら、がむしゃらに攻撃してても倒せないぞ?」

「てめぇ…!」

顔が真っ赤に染まり、こちらに攻撃を仕掛けようとして男は気づく…手元に得物がない。

「俺の剣が!」

「戦闘中に武器を手放すなんて、馬鹿か?」

剣は俺の目の前に刺さったままである。

「くそっ、返せ!」

男は剣を取ろうとこちらに駆け出すが、そんな事気にも留めず詠唱をする。

「吹き飛ばせ・ノックバック」

杖に光が集まるのを確認し、男に肉薄して杖を鳩尾へ振り上げる。

「がっ!」

そして、追撃で魔法を発動させて男を空高く吹き飛ばす。

「なぁ!?」

「大剣のアーツも見れたし、これで終わりにしようか」

落下してくる男の真下で杖のアーツを準備する。

「うあぁぁぁぁぁ!」

そして、タイミングを見計らって『刺突』のアーツを放つ。

「はっ!」

「ぎゃっ」

ズブリと左胸を貫通して突き刺さり、男は一瞬呻き声を出すと7割ほど残っていたHPが全て無くなり、身体がポリゴンの様に散り、消滅した。
そして、空中に『勝者シン』と大きく表示された。

「軽くこんなものかな」

勝負が終わったのでまた勝手に元の場所へと戻った。そこにはさっきの三人組の内の二人と女の子が呆然としていた。

「さて、死にたい奴はまだいるか?」

フードの下で笑みを浮かべて言うと、男達は正気戻ると同時に「ひぃぃぃぃ!」と叫びながらギルドから飛び出した。

「ふぅ、大丈夫ですか?」

「あ、はい、大丈夫です。助けてくれてありがとうございます」

女の子に声をかけると、ぺこりと礼をされた。

「あ、私はコノハっていいます」

「俺はシンです」

簡単な自己紹介をしてから続けて質問をする。

「それで、あの男達はクエストがどうとか言ってましたが、どうしたんですか?」

「実は…」

話を聞くと、コノハさんはクエストの依頼主でさっきの三人組はそのクエストの受注者だった。それで、三人組はコノハさんを見て気持ち悪い笑みを浮かべたり、年齢を聞いてきたりして下心丸出しだったので断ろうとしたらあの様な事態になったとのこと。

「それは、大変でしたね」

「クエストの方も護衛なのでレベル上げは捗らないし、場所も森エリアなので敵も強くて守るのが難しくて受けてくれる人がいなくて…」

「そうですか」

…あれ、これって俺が受けたらいけるんじゃないか?

「あの、俺が護衛しましょうか?」

「えっ?」

「俺のレベルは11ですし、森エリアも行った事あるので戦力的に十分だと思いますけど」

女の子は「うーん…」と少し考えた後、こちらを向いて一言。

「えっと、お願いしてもいいですか?」

「勿論」

こうして、俺の今日の予定は決まった。

そして、クエストを受注してからギルドを出て森へ向かう途中に会話を交わす。

「そういえば、コノハさんって生産側なんですか?」

「そうですね、βの時に戦闘もしてみたんですが私には合わなくて…今は木工職人をしています」

「ふむふむ…木工って事は杖も作れるんですか?」

「はい、今取りに行っている木は杖を作って木工スキルのレベルを上げる為でもあります」

「そうなんですか…」

杖も初期装備から変えたいなぁ…生産スキルは木工でも取ろうかな。

「…あ、着きました」

森の中間近くの、昨日俺が進んだ所より少し浅い場所で木を伐採をするようだ。

「では、私は伐採してきますので護衛お願いします」

「分かりました」

さーて…初クエスト頑張るか。

お、コノハさんが伐採用の斧を装備…んん?あれ……もしや戦斧?
えっ、あれは振り下ろしの構えだ。そして、戦斧からアーツの光が…

『スラッシュ!』

ドゴォーーーーーーン!!


「…!?」

視界が一瞬で砂埃で見えなくなる。いや、今はそれどころじゃない、何が起こった!?

「あ、大丈夫ですかー?」

視界が晴れて来て周りを見渡すと、そこには戦斧を振り下ろした体制のコノハさんと、周りには倒れた無数の木が…んん!?

「ちょっ、一体何が…というかそれ戦斧じゃ」

「あ、はいそうですけど…」

「何故、伐採に戦斧を?」

そう聞くと、コノハさんは突然自慢げに話しだした。

「実はですね、確かに、普通の伐採ならただの斧で十分です。しかし…一つの木を切るのに時間がどうしてもかかりまして。私はSTRとDEXに特化していたので、試しに戦斧で木を斬りつけてみたんですよ。すると…この通り簡単に伐採が出来ちゃいまして、試行錯誤の末、今ではこれが私のスタイルになってるんですよ!」

「お、おぉ、凄いんですね…」

コノハさんが凄い饒舌に…。

「あっ…すみません興奮しちゃって!」

正気に戻ると、恥ずかしそうに頭を下げて謝罪してくるので「大丈夫ですから」と言って頭を上げて貰う。

「それにしても、戦斧にもこんな使い方があるとは思いませんでした」

「ははは、確かに私も最初は出来るとは思ってませんでした」

ドロップした大量の木材を拾うのを手伝い、ほのぼのと会話をする。
あぁ、戦斧振り回すとしても可愛い女の子と二人きりでいるだけでも癒されるなぁ…。

「よし、これで集まりました!」

「お、もうクエスト終わりですか?」

「そうですね、後は街に戻れば終了です」

「じゃあ、最後までバッチリ護衛を果たしますね」

「はい!」

そうして、何事も無く街に戻る事ができ、報酬として1000エルを受け取った。

「今日は本当にありがとうございました」

「いえいえ、こちらこそコノハさんと話が出来て楽しかったです」

今日は女の子と会話出来て本当に楽しかった。あまりモンスターとも出会わなかったのでレベルは上がらなかったけど、俺は俺でのんびり強くなっていこう。

「あ、待って下さい」

「ん?」

そろそろ解散しようとした時にコノハさんに引き止められる。
コノハさんはメニューを操作しているのか、何も無い空間を指でタッチしている。そして、俺の前にもウインドウが現れた。

「これは…」

コノハさんのフレンド申請を受けますか?
YES/NO

「あ、あの、フレンドになりませんか?」

「喜んで!」

速攻でYESを押した。するとコノハさんは花の様な笑顔を浮かべ、両手を握ってきた。

「また、遊びましょうね!」

「はい!」

その後コノハさんと別れて、時間的に余裕があったのでついでにエリーさんのお店でローブの中に着れそうな皮鎧を買う。

「これ下さい」

「はーい、500エルです」

名前  ウルフの皮鎧
効果
VIT+2

早速装備をしてみて、動きづらい所が無いか確認する。

「よし、大丈夫そうだな」

次に、アイテムショップへと向かう。中にはポーションや投擲用アイテムが売られている。あと、店主は厳ついおっさんのNPCだ。

「らっしゃい」

「これとこれを下さい」

俺はMPポーションを10本と、ピックという投擲用のアイテムを200本ほど買った。ピックは一本5エルと安いので一気買いだ。合計1200エル、一気に金が減ったがまた稼げば問題ないだろう。

「HPポーションは…まだ初心者用が8本あるし、また今度でいいか」

買い物を終えると、時刻は6時半になっていたので今日は一先ずこれで終わりかな。
明日はついに投擲にも手を出すとしよう、しっかり投げられるか心配だけどその時はスキル補正でなんとかなることを祈ろう。
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