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第8話 新たな職務、王室の侍女として
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王太子付き侍女としての日々にもようやく慣れ始めた頃、クロエに新しい任務が与えられた。
それは、王太子殿下ノエルの母后――王妃セレーネ陛下の補佐役として務める機会を得るというものだった。
侍女長エリーヌの推薦による正式な指名であり、王家内でも限られた者にしか許されない役目だった。
「王妃陛下のご機嫌を損ねぬよう、心して働くのですよ」
エリーヌの言葉は厳しかったが、その目には確かな信頼が宿っていた。
王妃セレーネは、王国でも“静寂の花”と呼ばれる女性だ。
穏やかで慈愛に満ちていながらも、その眼差しひとつで周囲を黙らせる気品を持つ。
彼女の侍女を務めるとは、単に雑務をこなすだけではなく、王城の政治と文化の中心に身を置くことを意味していた。
その朝、クロエは深い藍の侍女服に袖を通し、背筋を伸ばした。
鏡に映る自分の姿は、かつての社交界にいた令嬢ではなく、誇りを纏う一人の侍女だった。
ルシアンにかつて言われた「君は完璧すぎる」というかの言葉が、今ではもう遠く霞んで聞こえる。
完璧であることは、誰かを追い詰めるためではない。
自分を貫くための強さなのだ――そう信じられるようになっていた。
王妃の居室は、王城の最上階奥にある「白の間」と呼ばれる一角だった。
壁には白磁の装飾がほどこされ、大窓の向こうに王都を見渡す明るい光が満ちている。
クロエはノックの音を立てて入室すると、すでに王妃が机の前に座っているのが見えた。
銀糸のような髪をゆったり結い、瞳は深い湖のような青。
微笑だけで人を包み込むその姿は、まさに“王国の母”と呼ばれるにふさわしかった。
「貴女がクロエ・ラングレーね。噂は聞いています。」
その穏やかな第一声に、クロエは深く頭を下げた。
「光栄に存じます、王妃陛下。微力ながらお仕えいたします。」
「まあ、顔を上げて。……なるほど、良い顔をしているわ。努力の痕と、誇りが見える。」
短い言葉の中に、クロエの全てを見抜くような温かい眼差しがあった。
王妃は優雅にカップを傾けながら言葉を続ける。
「ノエルが貴女のことをよく話していました。“誠実な人だ”と。」
「……殿下が、私のことを?」
驚きと照れが入り混じった声が出る。
王妃は微笑を深めた。
「ええ、あの子は他人のことを軽々しく褒めません。あなたが彼にとって特別な存在である証拠でしょう。」
その一言に、心臓が跳ねた。
クロエはすぐに姿勢を正し、平静を装ったが、耳の先がほんのり熱くなっていた。
「陛下、私はまだ至らぬ身で……。ただ、殿下のお役に立てるようにと、それだけで日々を過ごしております。」
「その謙遜が良いのです。けれど、“自らの価値を信じる勇気”も、侍女には必要ですよ。誰かのために尽くす者こそ、誇りを持たなければ疲れてしまうもの。」
王妃の言葉が心に沁みる。
クロエは胸に手を当て、小さく礼をした。
「肝に銘じます。」
彼女の初めての任務は、翌週に開かれる“アルスター大公夫人歓迎茶会”の準備だった。
王太子が主賓として列席し、王妃が主催する大規模な社交行事である。
数十名の貴族令嬢が集まり、王家との縁を強めようと競うように着飾ってくる。
礼儀作法だけでなく、社交の機微にも通じていなければ務まらない責務。
「クロエ嬢、これが当日の座席表です。」
王妃付きの筆頭侍女リナが渡してきた巻紙には、びっしりと貴族たちの名前が並んでいた。
その中に、見覚えのある名を見つけて息を止める。
――ルシアン・フェルナンド。
彼もまた大公家の縁者として招かれていたのだ。
元婚約者との再会。
胸の奥の古傷がざわめく。それを悟られるわけにはいかない。
毅然と顔を上げ、クロエは言った。
「承知いたしました。完璧に準備いたします。」
茶会の準備は連日深夜まで続いた。
花の選定、食器の配置、国賓の出迎え手順――どれも細やかな気配りが必要だった。
だがクロエは一度も愚痴をこぼさず、誰よりも早く動き、誰よりも遅くまで残った。
そんな様子を見守っていたノエルは、夜遅く控えの間に現れた。
「また遅くまで起きていますね。」
振り返ると、いつもの穏やかな笑み。だがその眉の奥には、わずかな心配が滲んでいる。
「殿下も遅くまでお疲れ様です。明日の打ち合わせの資料を整理しておりました。」
「無理をしないようにと言ったのに。」
そう言いながら彼は歩み寄り、机の上に置かれていた筆を手に取る。
「この字、貴女のものですか?」
「はい。至らないところもあるかと……」
「とんでもない。見事な筆跡です。力強く、そして丁寧だ。」
ノエルは微笑み、筆先を指でなぞった。
彼の指が一瞬クロエの手に触れた。
その一瞬で、心臓が早鐘を打つ。
「殿下……あまり軽率なご発言は。」
「軽率ではありませんよ。僕は事実を言っただけです。」
冗談めかしたその声は、甘く静まりかえった部屋に響く。
クロエは慌てて姿勢を正し、少し距離を取った。
「……明日の茶会、失敗のないように務めます。」
「あなたがいるなら、失敗などあり得ません。」
ノエルの言葉に、胸の奥が温まる。
だがその優しさの裏に、いつか越えてはならない境界があることを、クロエは痛いほどわかっていた。
翌日。茶会当日。
王妃のもとに立つクロエは、美しく整った動作で客人たちを出迎えていた。
昼の光に照らされる彼女の姿は、控えの侍女たちが息を呑むほどだった。
その洗練された笑みと立ち居振る舞いは、王太子の傍らに立つにふさわしい――誰もがそう思った。
だが、客の列にひときわ目立つ若い貴族の男がいた。
金髪を後ろでまとめ、華やかな笑みをたたえた青年。
ルシアン・フェルナンド公爵家嫡男。
彼の視線がクロエを捉えた瞬間、時が止まったように空気が凍った。
「クロエ……まさか、ここにいるとは。」
小声で呟くその言葉に、クロエの胸がざわつく。
「お久しぶりです、ルシアン様。」
彼女は丁寧に一礼した。その声はかすかに震えていたが、背筋は真っ直ぐだった。
「まさか王太子付きとは……君はずいぶん立派になったね。」
「ありがたいことに、務めを果たしております。」
「……僕はあの時、間違っていたのかもしれない。」
突然の言葉に、一瞬息を呑む。だがクロエは微笑みを崩さなかった。
「そう思っていただけるなら、少しは報われます。」
そのとき、背後からノエルの声がした。
「ルシアン公爵令息、お久しぶりですね。」
堂々とした声に、ルシアンは慌てて頭を下げる。
「は、はい……殿下。」
ノエルの視線が一瞬、クロエに流れた。その眼には何か熱いものが宿っているように見えたが、誰にも分からなかった。
茶会は滞りなく進行し、王妃の談笑とともに華やかに幕を下ろした。
だが、クロエの心には複雑なざわめきが残っていた。
過去の傷が完全に癒えることはない。しかし、今はそれ以上に強くなっている自分を感じる。
誰かの庇護を願うのではなく、自分で自分を守り、支える姿勢がそこにあった。
夜。疲れを癒すように、王城の庭園を歩く。
花の香りが夜気に混じり、夕方のざわめきが嘘のように静まり返っていた。
ノエルが現れたのは、その時だった。
「今日の君は見事でした。……昔の誰かが見ていたら、嫉妬したかもしれない。」
「殿下、それは……」
「事実ですよ。」ノエルは微笑む。「君は自分で輝けるようになった。」
クロエは照れくさく頭を下げた。
「殿下のおかげです。」
「いいえ、君自身の力です。」
風が吹き、花弁が二人の間を舞う。
その香りの中で、クロエは小さく息を吐いた。
「いつか、過去を振り払える日が来るのでしょうか。」
「振り払うよりも、抱きしめてください。過去を受け入れて歩くあなたの姿が、何よりも美しいのです。」
その言葉は、静かに彼女の胸に降り積もった。
今宵の星は明るく、まるで彼女の再出発を祝うように瞬いていた。
王室の侍女として、そしてひとりの女性として――クロエは確かに、一歩を踏み出していた。
続く
それは、王太子殿下ノエルの母后――王妃セレーネ陛下の補佐役として務める機会を得るというものだった。
侍女長エリーヌの推薦による正式な指名であり、王家内でも限られた者にしか許されない役目だった。
「王妃陛下のご機嫌を損ねぬよう、心して働くのですよ」
エリーヌの言葉は厳しかったが、その目には確かな信頼が宿っていた。
王妃セレーネは、王国でも“静寂の花”と呼ばれる女性だ。
穏やかで慈愛に満ちていながらも、その眼差しひとつで周囲を黙らせる気品を持つ。
彼女の侍女を務めるとは、単に雑務をこなすだけではなく、王城の政治と文化の中心に身を置くことを意味していた。
その朝、クロエは深い藍の侍女服に袖を通し、背筋を伸ばした。
鏡に映る自分の姿は、かつての社交界にいた令嬢ではなく、誇りを纏う一人の侍女だった。
ルシアンにかつて言われた「君は完璧すぎる」というかの言葉が、今ではもう遠く霞んで聞こえる。
完璧であることは、誰かを追い詰めるためではない。
自分を貫くための強さなのだ――そう信じられるようになっていた。
王妃の居室は、王城の最上階奥にある「白の間」と呼ばれる一角だった。
壁には白磁の装飾がほどこされ、大窓の向こうに王都を見渡す明るい光が満ちている。
クロエはノックの音を立てて入室すると、すでに王妃が机の前に座っているのが見えた。
銀糸のような髪をゆったり結い、瞳は深い湖のような青。
微笑だけで人を包み込むその姿は、まさに“王国の母”と呼ばれるにふさわしかった。
「貴女がクロエ・ラングレーね。噂は聞いています。」
その穏やかな第一声に、クロエは深く頭を下げた。
「光栄に存じます、王妃陛下。微力ながらお仕えいたします。」
「まあ、顔を上げて。……なるほど、良い顔をしているわ。努力の痕と、誇りが見える。」
短い言葉の中に、クロエの全てを見抜くような温かい眼差しがあった。
王妃は優雅にカップを傾けながら言葉を続ける。
「ノエルが貴女のことをよく話していました。“誠実な人だ”と。」
「……殿下が、私のことを?」
驚きと照れが入り混じった声が出る。
王妃は微笑を深めた。
「ええ、あの子は他人のことを軽々しく褒めません。あなたが彼にとって特別な存在である証拠でしょう。」
その一言に、心臓が跳ねた。
クロエはすぐに姿勢を正し、平静を装ったが、耳の先がほんのり熱くなっていた。
「陛下、私はまだ至らぬ身で……。ただ、殿下のお役に立てるようにと、それだけで日々を過ごしております。」
「その謙遜が良いのです。けれど、“自らの価値を信じる勇気”も、侍女には必要ですよ。誰かのために尽くす者こそ、誇りを持たなければ疲れてしまうもの。」
王妃の言葉が心に沁みる。
クロエは胸に手を当て、小さく礼をした。
「肝に銘じます。」
彼女の初めての任務は、翌週に開かれる“アルスター大公夫人歓迎茶会”の準備だった。
王太子が主賓として列席し、王妃が主催する大規模な社交行事である。
数十名の貴族令嬢が集まり、王家との縁を強めようと競うように着飾ってくる。
礼儀作法だけでなく、社交の機微にも通じていなければ務まらない責務。
「クロエ嬢、これが当日の座席表です。」
王妃付きの筆頭侍女リナが渡してきた巻紙には、びっしりと貴族たちの名前が並んでいた。
その中に、見覚えのある名を見つけて息を止める。
――ルシアン・フェルナンド。
彼もまた大公家の縁者として招かれていたのだ。
元婚約者との再会。
胸の奥の古傷がざわめく。それを悟られるわけにはいかない。
毅然と顔を上げ、クロエは言った。
「承知いたしました。完璧に準備いたします。」
茶会の準備は連日深夜まで続いた。
花の選定、食器の配置、国賓の出迎え手順――どれも細やかな気配りが必要だった。
だがクロエは一度も愚痴をこぼさず、誰よりも早く動き、誰よりも遅くまで残った。
そんな様子を見守っていたノエルは、夜遅く控えの間に現れた。
「また遅くまで起きていますね。」
振り返ると、いつもの穏やかな笑み。だがその眉の奥には、わずかな心配が滲んでいる。
「殿下も遅くまでお疲れ様です。明日の打ち合わせの資料を整理しておりました。」
「無理をしないようにと言ったのに。」
そう言いながら彼は歩み寄り、机の上に置かれていた筆を手に取る。
「この字、貴女のものですか?」
「はい。至らないところもあるかと……」
「とんでもない。見事な筆跡です。力強く、そして丁寧だ。」
ノエルは微笑み、筆先を指でなぞった。
彼の指が一瞬クロエの手に触れた。
その一瞬で、心臓が早鐘を打つ。
「殿下……あまり軽率なご発言は。」
「軽率ではありませんよ。僕は事実を言っただけです。」
冗談めかしたその声は、甘く静まりかえった部屋に響く。
クロエは慌てて姿勢を正し、少し距離を取った。
「……明日の茶会、失敗のないように務めます。」
「あなたがいるなら、失敗などあり得ません。」
ノエルの言葉に、胸の奥が温まる。
だがその優しさの裏に、いつか越えてはならない境界があることを、クロエは痛いほどわかっていた。
翌日。茶会当日。
王妃のもとに立つクロエは、美しく整った動作で客人たちを出迎えていた。
昼の光に照らされる彼女の姿は、控えの侍女たちが息を呑むほどだった。
その洗練された笑みと立ち居振る舞いは、王太子の傍らに立つにふさわしい――誰もがそう思った。
だが、客の列にひときわ目立つ若い貴族の男がいた。
金髪を後ろでまとめ、華やかな笑みをたたえた青年。
ルシアン・フェルナンド公爵家嫡男。
彼の視線がクロエを捉えた瞬間、時が止まったように空気が凍った。
「クロエ……まさか、ここにいるとは。」
小声で呟くその言葉に、クロエの胸がざわつく。
「お久しぶりです、ルシアン様。」
彼女は丁寧に一礼した。その声はかすかに震えていたが、背筋は真っ直ぐだった。
「まさか王太子付きとは……君はずいぶん立派になったね。」
「ありがたいことに、務めを果たしております。」
「……僕はあの時、間違っていたのかもしれない。」
突然の言葉に、一瞬息を呑む。だがクロエは微笑みを崩さなかった。
「そう思っていただけるなら、少しは報われます。」
そのとき、背後からノエルの声がした。
「ルシアン公爵令息、お久しぶりですね。」
堂々とした声に、ルシアンは慌てて頭を下げる。
「は、はい……殿下。」
ノエルの視線が一瞬、クロエに流れた。その眼には何か熱いものが宿っているように見えたが、誰にも分からなかった。
茶会は滞りなく進行し、王妃の談笑とともに華やかに幕を下ろした。
だが、クロエの心には複雑なざわめきが残っていた。
過去の傷が完全に癒えることはない。しかし、今はそれ以上に強くなっている自分を感じる。
誰かの庇護を願うのではなく、自分で自分を守り、支える姿勢がそこにあった。
夜。疲れを癒すように、王城の庭園を歩く。
花の香りが夜気に混じり、夕方のざわめきが嘘のように静まり返っていた。
ノエルが現れたのは、その時だった。
「今日の君は見事でした。……昔の誰かが見ていたら、嫉妬したかもしれない。」
「殿下、それは……」
「事実ですよ。」ノエルは微笑む。「君は自分で輝けるようになった。」
クロエは照れくさく頭を下げた。
「殿下のおかげです。」
「いいえ、君自身の力です。」
風が吹き、花弁が二人の間を舞う。
その香りの中で、クロエは小さく息を吐いた。
「いつか、過去を振り払える日が来るのでしょうか。」
「振り払うよりも、抱きしめてください。過去を受け入れて歩くあなたの姿が、何よりも美しいのです。」
その言葉は、静かに彼女の胸に降り積もった。
今宵の星は明るく、まるで彼女の再出発を祝うように瞬いていた。
王室の侍女として、そしてひとりの女性として――クロエは確かに、一歩を踏み出していた。
続く
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