14 / 30
第14話 守られる恋と誇り
しおりを挟む
塔を包囲する兵の足音が近づいている。
階段を打ち鳴らす鉄靴の響きが、まるで運命を数える鐘のように、ぞくりとした音を立てて響いていた。
扉の外から怒号が上がる。「王太子殿下を拘束せよ!」
“殿下を拘束”という言葉が、クロエの胸を貫いた。
「殿下……何をするつもりですか。」
「ここに留まる理由はない。宰相派が塔を占拠する前に抜け出さねば。」
ノエルは短く息を吐き、塔の背面にある小さな窓へ近づいた。そこは外壁に沿って狭い通路が走り、作業用の橋が隣の塔へとつながっている。
だが鉄の橋は古く、風に軋んでいた。
「通るには危険すぎます!」
「他の道はもう塞がれている。行くしかない。」
クロエの言葉を遮り、ノエルは決然とした声で命じた。
「君は先に行け。私が後ろから護る。」
「いいえ、私が先に行きます。殿下を残して渡るなんてできません。」
「命令だ、クロエ!」
「それでも、嫌です。」
その強気な反駁に、ノエルは一瞬目を見張った。
クロエの瞳には、確かな誇りと覚悟の光が宿っている。
「私は侍女です。殿下を守ることも務めのひとつ。誰に責められようとも、それが私の信念です。」
その言葉に、ノエルは小さく笑みをこぼした。
「君は本当にどうしようもないほど頑固だ。」
「殿下も同じです。」
互いの笑顔は一瞬だった。外から衝撃音が響き、塔の扉が軋む。時間がない。
クロエは外壁へ身を躍らせ、足場を確かめながら鉄の橋に足をかけた。風が強く、体ごと持ち上げられそうになる。
ノエルが後ろから支える。
「風に逆らわず進め、下を見るな。」
「はい!」
二人の声が、轟く風音にかき消される。
橋の途中で背後から叫び声。「見つけたぞ! 逃がすな!」
弓弦が鳴り、矢が放たれた。
クロエの頬をかすめた矢が、すぐ横の手すりを打ち砕く。
一瞬、足元が揺れ、体が宙を滑る。
「クロエ!」
ノエルが素早く腕を伸ばし、その手を掴んだ。風の中で手と手が絡み、ぎりぎりの力でつながる。
「放さないで!」
「放すものか!」
彼は全身の力を込めて引き上げ、クロエを抱き寄せるようにして安全な足場に立たせた。息が乱れ、体を支え合う二人の間を風が通り過ぎる。
「……もう、殿下こそ無茶をしないでください。」
「君が落ちたら、僕も落ちていた。」
冗談めかした声に、クロエは目を伏せて笑った。胸の奥が熱くなる。
ようやく対岸の塔にたどり着くと、そこには古い格納庫があった。物資を吊り上げるための滑車と綱車。
ノエルはそこへクロエを導く。
「ここからなら地下通路につながっている。君だけでも先に避難を。」
「殿下は?」
「私は残る。彼らの進路を塞ぐ。」
きっぱりと言い切るその声音に、クロエは思わず首を振った。
「危険です。敵の数は十や二十ではないのに。」
「だからこそ、誰かが足止めをしなければ王妃も母国も守れない。」
彼の決意は、王族の覚悟そのものだった。
けれど、納得できなかった。
クロエは一歩踏み出す。
「殿下、覚えていませんか。“共に歩む”とおっしゃったでしょう。」
ノエルの瞳がわずかに揺れる。
「その言葉を撤回なさるなら、私はここで命を懸けます。」
「クロエ……。」
「私を置いて行かないでください。私は殿下に仕えると決めました。最後まで。」
沈黙の後、ノエルは深く息を吐き、手を伸ばした。
「分かった。ならば一緒に行こう。君を残して戦っても勝てはしない。」
「それでこそ私の主です。」
クロエの笑みに、ノエルはほほえみ返す。
二人が通路に足を踏み入れると、闇が支配する地下道が広がっていた。湿った空気の中を駆けながら、彼は短く話す。
「宰相派はいずれ反乱の大義を掲げようとしている。父王が病を患っている今、王位継承の混乱を狙っている。」
「殿下、ならば王妃陛下も危険では?」
「彼らはまだ母上を利用価値のある存在と見ているだろう。だが、宰相が目をつけるのは“次の王”――つまり私だ。」
「殿下を失えば国は宰相の傀儡になる……。」
「だからこそ、逃げるわけにはいかない。」
塔の外では再び衝撃音が響く。
追手が近い。
クロエは必死に足を動かしながら、息を詰めて問う。
「殿下、どうしてそんなに強くいられるのです。」
「強く見えるだけです。」
「違います。貴方は……人の心を守れる方です。」
「心を?」
「はい。私がここにいるのは、殿下が私の心を守ってくださったから。」
ノエルが立ち止まる。
暗闇の中、その目が柔らかく光る。
「なら、僕にも君を守る理由ができた。」
その時、背後から声が響いた。
「王太子殿下、逃がすな!」
松明の明かりが暗闇を切り裂き、十数名の兵が押し寄せる。
ノエルはクロエをかばいながら剣を抜いた。
「クロエ、下がっていなさい。」
「嫌です! 一人にしないでください!」
「頼む、これは……!」
だがクロエの手が彼の腕を掴んだ。
「私がここにいる意味を、奪わないでください!」
ノエルの動きが止まり、次の瞬間、彼は短く頷く。
「わかった。君が横にいるなら、私は恐れない。」
二人は背中合わせに位置を取り、敵の突進を迎え撃った。
鋼の音が狭い通路に響き、火花が散る。
ノエルの剣が弾く隙を、クロエが拾った槍で支える。
兵士が倒れるたび、二人の呼吸がひとつに合っていく。
「殿下、左に!」
「任せた!」
息ぴったりに反撃し、最後の一人を押し倒した瞬間、静寂が戻った。
クロエの頬に汗と血が混じる。震える手を握り直すと、ノエルが彼女の肩を支えた。
「よくやった、クロエ。君がいなければ、今ので終わっていた。」
「私は、殿下の背を守っただけです。」
「それがどれほど心強いことか、君は分かっていない。」
彼の手がそのまま頬に触れる。
指先が震えるほどの温かさ。
「怖かった。君を失うことを想像するだけで。」
「殿下は私を守る方です……なら、私は殿下の恐れを守ります。」
クロエが微笑むその声が、闇に光を灯すようだった。
ノエルは短く息をのみ、彼女を抱き寄せた。
「ありがとう、クロエ。」
彼の胸の鼓動が、彼女の肩に響く。
その音は、生きている証であり、二人がまだ戦える証だった。
しかしその背後で、遠く不気味な音が響いた。
地上へと続く階段の方から、重い扉の閉まる音と、何かが崩れる振動。
「……出口が塞がれた?」
「待ち伏せかもしれません。」
「宰相め、周到だ。」
ノエルは剣を握りしめる。
「だが、ここで終わらせはしない。君にも、僕にも、まだ果たす誓いがある。」
クロエは静かに頷いた。
「信じています。殿下がこの国を照らす光だと。」
崩れかけた石畳の上で、二人は再び立ち上がる。
痛みも疲れも忘れ、ただ前へ進む。
守るために。愛を誇りに変えるために。
地上の光を再び見るその時まで、
王太子と侍女の絆は、決して断たれなかった。
続く
階段を打ち鳴らす鉄靴の響きが、まるで運命を数える鐘のように、ぞくりとした音を立てて響いていた。
扉の外から怒号が上がる。「王太子殿下を拘束せよ!」
“殿下を拘束”という言葉が、クロエの胸を貫いた。
「殿下……何をするつもりですか。」
「ここに留まる理由はない。宰相派が塔を占拠する前に抜け出さねば。」
ノエルは短く息を吐き、塔の背面にある小さな窓へ近づいた。そこは外壁に沿って狭い通路が走り、作業用の橋が隣の塔へとつながっている。
だが鉄の橋は古く、風に軋んでいた。
「通るには危険すぎます!」
「他の道はもう塞がれている。行くしかない。」
クロエの言葉を遮り、ノエルは決然とした声で命じた。
「君は先に行け。私が後ろから護る。」
「いいえ、私が先に行きます。殿下を残して渡るなんてできません。」
「命令だ、クロエ!」
「それでも、嫌です。」
その強気な反駁に、ノエルは一瞬目を見張った。
クロエの瞳には、確かな誇りと覚悟の光が宿っている。
「私は侍女です。殿下を守ることも務めのひとつ。誰に責められようとも、それが私の信念です。」
その言葉に、ノエルは小さく笑みをこぼした。
「君は本当にどうしようもないほど頑固だ。」
「殿下も同じです。」
互いの笑顔は一瞬だった。外から衝撃音が響き、塔の扉が軋む。時間がない。
クロエは外壁へ身を躍らせ、足場を確かめながら鉄の橋に足をかけた。風が強く、体ごと持ち上げられそうになる。
ノエルが後ろから支える。
「風に逆らわず進め、下を見るな。」
「はい!」
二人の声が、轟く風音にかき消される。
橋の途中で背後から叫び声。「見つけたぞ! 逃がすな!」
弓弦が鳴り、矢が放たれた。
クロエの頬をかすめた矢が、すぐ横の手すりを打ち砕く。
一瞬、足元が揺れ、体が宙を滑る。
「クロエ!」
ノエルが素早く腕を伸ばし、その手を掴んだ。風の中で手と手が絡み、ぎりぎりの力でつながる。
「放さないで!」
「放すものか!」
彼は全身の力を込めて引き上げ、クロエを抱き寄せるようにして安全な足場に立たせた。息が乱れ、体を支え合う二人の間を風が通り過ぎる。
「……もう、殿下こそ無茶をしないでください。」
「君が落ちたら、僕も落ちていた。」
冗談めかした声に、クロエは目を伏せて笑った。胸の奥が熱くなる。
ようやく対岸の塔にたどり着くと、そこには古い格納庫があった。物資を吊り上げるための滑車と綱車。
ノエルはそこへクロエを導く。
「ここからなら地下通路につながっている。君だけでも先に避難を。」
「殿下は?」
「私は残る。彼らの進路を塞ぐ。」
きっぱりと言い切るその声音に、クロエは思わず首を振った。
「危険です。敵の数は十や二十ではないのに。」
「だからこそ、誰かが足止めをしなければ王妃も母国も守れない。」
彼の決意は、王族の覚悟そのものだった。
けれど、納得できなかった。
クロエは一歩踏み出す。
「殿下、覚えていませんか。“共に歩む”とおっしゃったでしょう。」
ノエルの瞳がわずかに揺れる。
「その言葉を撤回なさるなら、私はここで命を懸けます。」
「クロエ……。」
「私を置いて行かないでください。私は殿下に仕えると決めました。最後まで。」
沈黙の後、ノエルは深く息を吐き、手を伸ばした。
「分かった。ならば一緒に行こう。君を残して戦っても勝てはしない。」
「それでこそ私の主です。」
クロエの笑みに、ノエルはほほえみ返す。
二人が通路に足を踏み入れると、闇が支配する地下道が広がっていた。湿った空気の中を駆けながら、彼は短く話す。
「宰相派はいずれ反乱の大義を掲げようとしている。父王が病を患っている今、王位継承の混乱を狙っている。」
「殿下、ならば王妃陛下も危険では?」
「彼らはまだ母上を利用価値のある存在と見ているだろう。だが、宰相が目をつけるのは“次の王”――つまり私だ。」
「殿下を失えば国は宰相の傀儡になる……。」
「だからこそ、逃げるわけにはいかない。」
塔の外では再び衝撃音が響く。
追手が近い。
クロエは必死に足を動かしながら、息を詰めて問う。
「殿下、どうしてそんなに強くいられるのです。」
「強く見えるだけです。」
「違います。貴方は……人の心を守れる方です。」
「心を?」
「はい。私がここにいるのは、殿下が私の心を守ってくださったから。」
ノエルが立ち止まる。
暗闇の中、その目が柔らかく光る。
「なら、僕にも君を守る理由ができた。」
その時、背後から声が響いた。
「王太子殿下、逃がすな!」
松明の明かりが暗闇を切り裂き、十数名の兵が押し寄せる。
ノエルはクロエをかばいながら剣を抜いた。
「クロエ、下がっていなさい。」
「嫌です! 一人にしないでください!」
「頼む、これは……!」
だがクロエの手が彼の腕を掴んだ。
「私がここにいる意味を、奪わないでください!」
ノエルの動きが止まり、次の瞬間、彼は短く頷く。
「わかった。君が横にいるなら、私は恐れない。」
二人は背中合わせに位置を取り、敵の突進を迎え撃った。
鋼の音が狭い通路に響き、火花が散る。
ノエルの剣が弾く隙を、クロエが拾った槍で支える。
兵士が倒れるたび、二人の呼吸がひとつに合っていく。
「殿下、左に!」
「任せた!」
息ぴったりに反撃し、最後の一人を押し倒した瞬間、静寂が戻った。
クロエの頬に汗と血が混じる。震える手を握り直すと、ノエルが彼女の肩を支えた。
「よくやった、クロエ。君がいなければ、今ので終わっていた。」
「私は、殿下の背を守っただけです。」
「それがどれほど心強いことか、君は分かっていない。」
彼の手がそのまま頬に触れる。
指先が震えるほどの温かさ。
「怖かった。君を失うことを想像するだけで。」
「殿下は私を守る方です……なら、私は殿下の恐れを守ります。」
クロエが微笑むその声が、闇に光を灯すようだった。
ノエルは短く息をのみ、彼女を抱き寄せた。
「ありがとう、クロエ。」
彼の胸の鼓動が、彼女の肩に響く。
その音は、生きている証であり、二人がまだ戦える証だった。
しかしその背後で、遠く不気味な音が響いた。
地上へと続く階段の方から、重い扉の閉まる音と、何かが崩れる振動。
「……出口が塞がれた?」
「待ち伏せかもしれません。」
「宰相め、周到だ。」
ノエルは剣を握りしめる。
「だが、ここで終わらせはしない。君にも、僕にも、まだ果たす誓いがある。」
クロエは静かに頷いた。
「信じています。殿下がこの国を照らす光だと。」
崩れかけた石畳の上で、二人は再び立ち上がる。
痛みも疲れも忘れ、ただ前へ進む。
守るために。愛を誇りに変えるために。
地上の光を再び見るその時まで、
王太子と侍女の絆は、決して断たれなかった。
続く
47
あなたにおすすめの小説
手作りお菓子をゴミ箱に捨てられた私は、自棄を起こしてとんでもない相手と婚約したのですが、私も含めたみんな変になっていたようです
珠宮さくら
恋愛
アンゼリカ・クリットの生まれた国には、不思議な習慣があった。だから、アンゼリカは必死になって頑張って馴染もうとした。
でも、アンゼリカではそれが難しすぎた。それでも、頑張り続けた結果、みんなに喜ばれる才能を開花させたはずなのにどうにもおかしな方向に突き進むことになった。
加えて好きになった人が最低野郎だとわかり、自棄を起こして婚約した子息も最低だったりとアンゼリカの周りは、最悪が溢れていたようだ。
悪役令嬢発溺愛幼女着
みおな
ファンタジー
「違います!わたくしは、フローラさんをいじめてなどいません!」
わたくしの声がホールに響いたけれど、誰もわたくしに手を差し伸べて下さることはなかった。
響いたのは、婚約者である王太子殿下の冷たい声。
わたくしに差し伸べられたのは、騎士団長のご子息がわたくしを強く床に押し付ける腕。
冷ややかな周囲のご令嬢ご令息の冷笑。
どうして。
誰もわたくしを信じてくれないまま、わたくしは冷たい牢の中で命を落とした。
【完結】婚約破棄、その後の話を誰も知らない
あめとおと
恋愛
奇跡によって病を癒す存在――聖女。
王国は長年、その力にすべてを委ねてきた。
だがある日、
誰の目にも明らかな「失敗」が起きる。
奇跡は、止まった。
城は動揺し、事実を隠し、
責任を聖女ひとりに押しつけようとする。
民は疑い、祈りは静かに現実へと向かっていった。
一方、かつて「悪役」として追放された令嬢は、
奇跡が失われる“その日”に備え、
治癒に頼らない世界を着々と整えていた。
聖女は象徴となり、城は主導権を失う。
奇跡に縋った者たちは、
何も奪われず、ただ立場を失った。
選ばれなかった者が、世界を救っただけの話。
――これは、
聖女でも、英雄でもない
「悪役令嬢」が勝ち残る物語。
初恋を諦めたあなたが、幸せでありますように
ぽんちゃん
恋愛
『あなたのヒーローをお返しします。末永くお幸せに』
運命の日。
ルキナは婚約者候補のロミオに、早く帰ってきてほしいとお願いしていた。
(私がどんなに足掻いても、この先の未来はわかってる。でも……)
今頃、ロミオは思い出の小屋で、初恋の人と偶然の再会を果たしているだろう。
ロミオが夕刻までに帰ってくれば、サプライズでルキナとの婚約発表をする。
もし帰ってこなければ、ある程度のお金と文を渡し、お別れするつもりだ。
そしてルキナは、両親が決めた相手と婚姻することになる。
ただ、ルキナとロミオは、友人以上、恋人未満のような関係。
ルキナは、ロミオの言葉を信じて帰りを待っていた。
でも、帰ってきたのは護衛のみ。
その後に知らされたのは、ロミオは初恋の相手であるブリトニーと、一夜を共にしたという報告だった――。
《登場人物》
☆ルキナ(16) 公爵令嬢。
☆ジークレイン(24) ルキナの兄。
☆ロミオ(18) 男爵子息、公爵家で保護中。
★ブリトニー(18) パン屋の娘。
私が、全てにおいて完璧な幼なじみの婚約をわざと台無しにした悪女……?そんなこと知りません。ただ、誤解されたくない人がいるだけです
珠宮さくら
恋愛
ルチア・ヴァーリは、勘違いされがちな幼なじみと仲良くしていた。周りが悪く言うような令嬢ではないと心から思っていた。
そんな幼なじみが婚約をしそうだとわかったのは、いいなと思っている子息に巻き込まれてアクセサリーショップで贈り物を選んでほしいと言われた時だった。
それを拒んで、証言者まで確保したというのにルチアが幼なじみの婚約を台無しにわざとした悪女のようにされてしまい、幼なじみに勘違いされたのではないかと思って、心を痛めることになるのだが……。
『婚約破棄?結構ですわ。わたくしは何もしないで生きていきます』
鷹 綾
恋愛
内容紹介
王太子ユリウスの婚約者だった伯爵令嬢リュシエンヌは、公衆の面前で一方的に婚約を破棄される。
だが彼女は泣かず、怒らず、復讐も選ばなかった。
「働かないと、決めましたの」
婚約者として担ってきた政務補佐、調整、裏方の仕事をすべて手放し、彼女は“何もしない”生活を始める。
すると王宮は静かに軋み、これまで彼女が支えていた日常だけが浮き彫りになっていく。
新たな婚約者を得た王太子。
外から王宮を支える女性。
そして、何もせず距離を保つ元婚約者。
誰も声高に責めず、誰も派手なざまぁをしない。
それでも、関係は変わり、立場は入れ替わり、真実だけが残っていく。
これは、頑張らないことで人生を取り戻した令嬢の物語。
婚約破棄のその先で、“何もしない”という最強の選択をした女性が、静かに自由を手に入れるまでの40話。
婚約者チェンジ? 義理の妹は公爵令嬢の地位もチェンジされました』 ~三日で破談、家ごと褫奪の末路です~
ふわふわ
恋愛
「お姉様の婚約者、私がいただきますわ。だって“公爵令嬢”ですもの」
義理の妹コンキュはそう言って、王太子との婚約を奪いました。
父はそれを容認し、私は静かに受け入れます。
けれど――
公爵令嬢とは“地位”ではなく、“責任”の継承者。
王宮で礼儀も実務も拒み、「未来の王太子妃」を名乗った義妹は、わずか三日で婚約破棄。
さらに王家への不敬と統治能力の欠如が問題視され、父の監督責任が問われます。
そして下されたのは――家ごとの褫奪。
一方で私は、領地を守り、帳簿を整え、静かに家を支え続ける。
欲しがったのは肩書。
継いだのは責任。
正統は叫びません。
ただ、残るだけ。
これは、婚約を奪われた公爵令嬢が
“本当に継がれるべきもの”を証明する物語。
婚約破棄を望むなら〜私の愛した人はあなたじゃありません〜
みおな
恋愛
王家主催のパーティーにて、私の婚約者がやらかした。
「お前との婚約を破棄する!!」
私はこの馬鹿何言っているんだと思いながらも、婚約破棄を受け入れてやった。
だって、私は何ひとつ困らない。
困るのは目の前でふんぞり返っている元婚約者なのだから。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる