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逃亡先の安らぎ
やくざでは無い3
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「俺は砂糖とかいれるけど、前川サンいる?」
「牛乳はある?」
「あるあるー」
「多めでお願いしていいかな」
「お、牛乳好きなの?」
「――あつあつが苦手で」
はにかむ様子に、竜児が微笑んだ。
「仲間だね。俺も猫舌」
ぺろっと舌を出す。白い肌に血色の良い舌色が映える。
「そ、そうなんだ」
たじたじとした様子を介せず、目の前にカップを置いてやると、そのすぐ横に座った。
「こっち座るんですか?」
「あっちいけってこと?」
寂し気に見つめられれば、そんな事言えるわけもなく。近くに来た竜児から香る芳香から顔をそむけることで精いっぱいだった。
「あれ?というか、担がれて車に乗ってたって?」
「そう」
「どうして?」
前川を見つめたまんま、ゆっくりと甘いコーヒーを嚥下する。焦らすような視線が期待感を上げた。
「それがわかんないんだよね。記憶にないってやつ」
「え!?」
「ふふ、前川サンいっつも新鮮に驚いてくれるよね」
悲壮感の無い笑顔が、余計に詮索欲を掻き立てる。
「絹田さんに聞いたんですか?」
「一度だけ。でも、話逸らされてそのまんまー。意外とビビりなんだよ、俺」
「話逸らされるって……?」
「ふふ、こういう事」
近づいてきた、綺麗な顔を背ける事なんて出来るだろうか。
いつの間にか、前川を包むのは甘いコーヒーの香り。それと竜児の香りが混じっていく。合わさった甘い香りに包まれて、前川は柔らかな唇の感触を認識した。
「牛乳はある?」
「あるあるー」
「多めでお願いしていいかな」
「お、牛乳好きなの?」
「――あつあつが苦手で」
はにかむ様子に、竜児が微笑んだ。
「仲間だね。俺も猫舌」
ぺろっと舌を出す。白い肌に血色の良い舌色が映える。
「そ、そうなんだ」
たじたじとした様子を介せず、目の前にカップを置いてやると、そのすぐ横に座った。
「こっち座るんですか?」
「あっちいけってこと?」
寂し気に見つめられれば、そんな事言えるわけもなく。近くに来た竜児から香る芳香から顔をそむけることで精いっぱいだった。
「あれ?というか、担がれて車に乗ってたって?」
「そう」
「どうして?」
前川を見つめたまんま、ゆっくりと甘いコーヒーを嚥下する。焦らすような視線が期待感を上げた。
「それがわかんないんだよね。記憶にないってやつ」
「え!?」
「ふふ、前川サンいっつも新鮮に驚いてくれるよね」
悲壮感の無い笑顔が、余計に詮索欲を掻き立てる。
「絹田さんに聞いたんですか?」
「一度だけ。でも、話逸らされてそのまんまー。意外とビビりなんだよ、俺」
「話逸らされるって……?」
「ふふ、こういう事」
近づいてきた、綺麗な顔を背ける事なんて出来るだろうか。
いつの間にか、前川を包むのは甘いコーヒーの香り。それと竜児の香りが混じっていく。合わさった甘い香りに包まれて、前川は柔らかな唇の感触を認識した。
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