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鬼頭先生まで……?!

布一枚の籠城

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「ううっ……!」
 入れられる衝撃に耐えようと、体に力を入れた。やられちゃう!上司に!どうして俺はちゃんと断れないんだ!それもこれも全部イケメンのせいだー!!!
「ダメです……!」
「同じくっ!」
「おおっと……?」
 紀藤さんじゃない声が聞こえ、ぎゅっと閉じていた目を開く。そこには紀藤さんの肩を両方から抑える玲央さんと穂高くんがいた。
「ありゃりゃ、予想より早かったね。若いからかな?わわっと……」
 紀藤さんを押しのけて、玲央さんが足の間に入って来て、先ほどまで紀藤さんのそれがあてがわれていた場所に取って代わられた。
「え?ええっ?ちょ、ちょっと何して?!」
「熱さがましになってから、こっちが熱くて堪らないんです」
 こっち、と言われた先は玲央さんの屹立した陰茎。イケメンが頬を赤らめながら勃起する様子に、思わずごくりと喉が鳴る。
「いやいや、待って。前は玲央くんに譲ったんだから今日はオレでしょ!?」
 ベッドから転げ落とされた紀藤さんは、いつの間にか俺たちから一歩離れた所に座っている。それどころか露出していた前は綺麗にズボンの中に収まっていて、冷えた紅茶を持ってすっかりリラックスモードだ。
「んー……そんな法律ありませんし」
「法律とかじゃないでしょ?!」
「でも今自分がここにいるので、自分のが先に入れられるので!」
「――ひっ……!」
 ぐっと腰を持ち上げられ、いきなり奥まで突かれそうになった俺の脳内に、うずら先生の顔が浮かぶ。その瞬間、おもいっきり玲央さんを蹴り飛ばしていた。
「……え?」
「お?」
「あ……ご、ごめんなさい!」
 ぽかんとする玲央さん、きょとんとする穂高くん。そして俺は動揺して謝るしかなかった。イケメンを蹴とばすなんて!怪我がなくて良かった。
「……もしかして、渚くん玲央くんとしたくないんじゃない?」
「そんな、どうして……?!どうしてですか渚さん!」
 取り乱す玲央さんに、焦りが募る。どうして蹴とばしてしまったんだろう。――いや、理由は分かってる。分かってるけど……。
「い、いや、その……ご、ごめんなさい、つい……」
「ほら、ついって事は心の奥底で玲央くんを受け入れてないって事でしょ!?じゃあここはオレが……!」
「いや、それは許せません!いざ挿入ってシーンで蹴られるなんて、そんな事された事ありませんから……!」
 足を二人に握られたまま股間辺りで繰り広げられる謎の争いに、俺の中の何かがプツリと切れた。
「――……された事、無い……?」
「え?これって渚くんの声?」
 自分でも聞いたことないくらい低い声だ。
「な、渚さん……?いつもと様子が……」
「今まで一体何人とセックスしてるって言うんだよ!?イケメンだからって、たくさんの人とセックスしてるって分かってても、いざ当事者と会うのとは違うんだよ!うずら先生が玲央さんとセックスしたって聞いてからのもやもや、玲央さんにわかんないでしょ!?」
 二人の手から逃れた足ごと、体全体をひっぺがえしたシーツでくるんで籠城した。
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