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〜グローリア王国にて〜
第9話 別れ…?
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ハルトとミーシャは綿飴のようなものを買い、ベンチに座って食べていた。
「――この後、ミーシャを迷子としてこの国の然るべき所に連れてくつもりだ。きっと家族の所まで連れて行ってくれるさ」
それを聞いたミーシャは俯く。
だがきちんとハルトに頭を下げる。
「………分かりました。短い間でしたが、ありがとうございました」
――ハルトたちはもう何時間か、屋台を満喫した。
途中で使い魔の店があったのだが、前を通る時にミーシャがチラチラ見ていたので入った。
中にはスライムやインコ、狼などが販売されていた。…おそらく全てモンスターだが。
それらのモンスターは人に懐いているらしく、触る事が出来た。
「…ミーシャ、触れるらしいぞ?」
黙りこくるミーシャだったが、やはり触りたかったのか猫耳がピクピクしている。
ハルトは店員に「この子に触らせてあげてください」と頼む。
ケージを開け、小さい狼を取り出す店員。
ミーシャは嬉しそうに子ども狼をモフっている。
「…か、かわいい…」
――ハルトは誰にも聞こえないように呟くミーシャの声を聞き逃さなかった。「盗聴」スキルのお陰だ。ハルトはこの時の為に「盗聴」を入手したのかもしれない。
ハルトとミーシャは十分に動物(?)たちをモフったので、外に出る。
「…そろそろ行こうか」
「………はい」
先程の使い魔ショップの店員に聞いたところ、冒険者ギルドに行けばそれに相応しい場所を案内してくれるらしい。
大まかな所在も教えてもらったので、2人で向かった。
“グローリア冒険者ギルド”の前に到着したハルトとミーシャは、その建物の大きさに驚く。
木材で出来ているのだが、おそらく3階までありこの世界では豪勢な作りだ。
――これでミーシャも故郷に帰れる。
事実ミーシャとの時間はとても楽しかったので、名残惜しいがミーシャにとってもこれが1番良いだろう。
だがミーシャはじっと足元を見つめていた。
そして話を切り出す。決心したかのように顔を上げ、ハルトの目を真っ直ぐ見据える。
「……あの、宜しければ、ハルト様の旅に連れて行ってはくれませんか…?」
「―――!…俺はいいけど、ミーシャはそれでいいのか?」
ハルトも1人で旅をするのは寂しかったので、ミーシャの参加は大歓迎であった。だが齢11の少女を連れ回すのはどうなのかという迷いもあった。
「……はい。しばらく家族に会えないのは悲しいですが、この目で色んな世界を見てみたいのです」
「料理も作れます。どうか、お願いします」
「…だけど、俺はモンスターとも戦う予定だし、何より旅は危険だぞ?」
ハルトは色々な国へ旅をするつもりであった。
…魔王は御堂達がどうにかするだろう。最悪世界が滅びそうになったら俺が出ればいい。
「承知の上です、私も訓練して強くなりますから」
そこまで言うのなら承諾しよう。何より女性の手料理が毎日食べられるのは大きなメリットだ。
故郷に帰ってミーシャの母親に「あんた何ウチの子連れ回してくれてんの!!」と怒られても、ハルトは知らん振りをするだろう。
「…そこまで言うなら、わかった。一緒に旅をしよう。でも条件がある」
ミーシャは固唾を飲み、ゆっくり頷く。
「まずはミーシャの故郷を目指して、親御さんに顔を見せてあげなさい」
まだ無事かも両親に知らせずに連れていくのは流石にないだろう。
「それはもちろんです!」
「なら一緒に行こう、これからよろしくな!」
その言葉を聞いた瞬間、ミーシャはぱぁっと顔を輝かせた。
「…!ありがとうございます、必ずお役に立ちます!」
何度もお礼をするミーシャ。そのしっぽは振れまくっている。
「…ミーシャの料理が楽しみだ」
――この日、ハルトの旅にミーシャが加わった。
「――この後、ミーシャを迷子としてこの国の然るべき所に連れてくつもりだ。きっと家族の所まで連れて行ってくれるさ」
それを聞いたミーシャは俯く。
だがきちんとハルトに頭を下げる。
「………分かりました。短い間でしたが、ありがとうございました」
――ハルトたちはもう何時間か、屋台を満喫した。
途中で使い魔の店があったのだが、前を通る時にミーシャがチラチラ見ていたので入った。
中にはスライムやインコ、狼などが販売されていた。…おそらく全てモンスターだが。
それらのモンスターは人に懐いているらしく、触る事が出来た。
「…ミーシャ、触れるらしいぞ?」
黙りこくるミーシャだったが、やはり触りたかったのか猫耳がピクピクしている。
ハルトは店員に「この子に触らせてあげてください」と頼む。
ケージを開け、小さい狼を取り出す店員。
ミーシャは嬉しそうに子ども狼をモフっている。
「…か、かわいい…」
――ハルトは誰にも聞こえないように呟くミーシャの声を聞き逃さなかった。「盗聴」スキルのお陰だ。ハルトはこの時の為に「盗聴」を入手したのかもしれない。
ハルトとミーシャは十分に動物(?)たちをモフったので、外に出る。
「…そろそろ行こうか」
「………はい」
先程の使い魔ショップの店員に聞いたところ、冒険者ギルドに行けばそれに相応しい場所を案内してくれるらしい。
大まかな所在も教えてもらったので、2人で向かった。
“グローリア冒険者ギルド”の前に到着したハルトとミーシャは、その建物の大きさに驚く。
木材で出来ているのだが、おそらく3階までありこの世界では豪勢な作りだ。
――これでミーシャも故郷に帰れる。
事実ミーシャとの時間はとても楽しかったので、名残惜しいがミーシャにとってもこれが1番良いだろう。
だがミーシャはじっと足元を見つめていた。
そして話を切り出す。決心したかのように顔を上げ、ハルトの目を真っ直ぐ見据える。
「……あの、宜しければ、ハルト様の旅に連れて行ってはくれませんか…?」
「―――!…俺はいいけど、ミーシャはそれでいいのか?」
ハルトも1人で旅をするのは寂しかったので、ミーシャの参加は大歓迎であった。だが齢11の少女を連れ回すのはどうなのかという迷いもあった。
「……はい。しばらく家族に会えないのは悲しいですが、この目で色んな世界を見てみたいのです」
「料理も作れます。どうか、お願いします」
「…だけど、俺はモンスターとも戦う予定だし、何より旅は危険だぞ?」
ハルトは色々な国へ旅をするつもりであった。
…魔王は御堂達がどうにかするだろう。最悪世界が滅びそうになったら俺が出ればいい。
「承知の上です、私も訓練して強くなりますから」
そこまで言うのなら承諾しよう。何より女性の手料理が毎日食べられるのは大きなメリットだ。
故郷に帰ってミーシャの母親に「あんた何ウチの子連れ回してくれてんの!!」と怒られても、ハルトは知らん振りをするだろう。
「…そこまで言うなら、わかった。一緒に旅をしよう。でも条件がある」
ミーシャは固唾を飲み、ゆっくり頷く。
「まずはミーシャの故郷を目指して、親御さんに顔を見せてあげなさい」
まだ無事かも両親に知らせずに連れていくのは流石にないだろう。
「それはもちろんです!」
「なら一緒に行こう、これからよろしくな!」
その言葉を聞いた瞬間、ミーシャはぱぁっと顔を輝かせた。
「…!ありがとうございます、必ずお役に立ちます!」
何度もお礼をするミーシャ。そのしっぽは振れまくっている。
「…ミーシャの料理が楽しみだ」
――この日、ハルトの旅にミーシャが加わった。
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