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第26話 王宮と貴族たちの“手のひら返し大合唱”
しおりを挟む王子が門前払いを受けた翌日。
王都の空気は、まるで季節が変わったかのように一変した。
エレノアの名は、どこへ行っても耳にした。
◆ 王都の社交界、掌返し選手権開催中
「エレノア様は、昔から素晴らしい方でしたわ!」
「まあ、私もそう思っておりましたのよ。ええ、もちろん婚約破棄のときも“殿下が間違っている”と!」
「王子が愚かな選択をされたせいで……エレノア様、お可哀想に……!」
昨日まで
「可愛げがない女」
「平民の天使に負けた女」
などと言っていた同じ口とは、とても思えない。
「エレノア様こそ未来の王妃候補でしたのに……惜しいことを……!」
「今からでも王族に戻っていただくべきでしょう?」
そんな声があちらこちらから聞こえる。
(……掌返しとは、まさにこのこと……)
侍女たちの噂は瞬く間に公爵家にも届いた。
◆ 王宮の貴族会議
重苦しい空気の中、代表貴族たちが集まった。
「殿下の件で国の信用が揺らいでいる。このままでは……」
「せめて、エレノア様に戻ってきていただくわけには……?」
「エレノア様なら、諸外国への対応も万全。民の支持も高い」
まるで“救世主を求める声”のような扱いだ。
だが――。
◆ 国王の冷たい一言
「――無理だ」
国王の声で会議が静まり返る。
「エレノアは、公爵に保護されている。
そして、王宮に戻るつもりは一切ないそうだ」
「な、なんと……!」
「我々には……もう拒絶されたと?」
「当然だろう」
国王の目には、怒りよりも深い後悔があった。
「エレノアを軽んじたのは、お前たち自身だ。
今さら取り戻そうなど、無礼にもほどがある」
「……………………」
(ぐうの音も出ない……)
◆ 王子の嘆きは続く
その頃、謹慎中のアレクシオンは部屋の片隅で体育座り。
「エレノア……皆が戻れと言っている……なのに……
なぜ……なぜ僕だけ拒まれる……?」
侍従はため息をついた。
(それは殿下が“最初に捨てた”からです)
◆ 一方そのころ――辺境のエレノアは?
公爵邸の広い廊下を歩くエレノアに、侍女シレンナが駆け寄った。
「エレノア様! 王都の貴族たちが、皆様に謝罪の手紙を送ってきております!」
「まあ。あの方たちが?」
「はい! “戻ってきてください”“あなたが必要です”と……もう山のように!」
エレノアは涼しい顔で紅茶を口にした。
「……丁寧にお断りしておいてくださいな」
「はいっ!」
シレンナは誇らしげに胸を張った。
(これぞエレノア様! 格が違いすぎる!)
◆ 公爵様の“本音”
その会話を聞いていたライナルト公爵が、小さく吐き捨てるように言った。
「戻る必要はない。あんな場所、君には似合わない」
「……公爵様?」
「ここでいい。私は君にここで……いや、何でもない」
視線をそらす耳が赤い。
エレノアはわずかに微笑んだ。
(公爵様、最近少し様子がおかしくありませんこと?)
◆ ◆ ◆
こうして――
王宮も貴族たちも、エレノアの価値にようやく気づき、必死にすり寄る。
だがエレノアは完全拒絶。
公爵領では彼女が光の中心となり始めていた。
物語は次のざまぁへ進む。
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