婚約破棄された悪役令嬢は、事業を阻むギルドを手段を選ばず支配する

ふわふわ

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第十七話 王家の最後通告

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第十七話 王家の最後通告

隣国との信用連動が始まって、半月。

王都は、何事もなかったかのように回り続けている。

だが王城では、静かな緊張が張り詰めていた。

「お嬢様、王室評議会が緊急招集されました」

執事の声はいつもと変わらぬ。

だが、その内容は明らかに異常だった。

「議題は?」

「国外経済連動の是非。そして――」

一拍。

「王家主導による国家経済再編案」

わたくしはゆっくりと書類を閉じる。

「いよいよですわね」

――――

王城、大評議室。

王太子は立ち上がり、宣言する。

「王都経済は安定した。
だがそれは、国家の統制下にあるべきだ」

重臣たちは沈黙。

「国外との信用連動は王家の外交権を侵害する可能性がある。
よって基金は国家経済機関へ再編する」

それは実質的な接収宣言。

会議室にざわめきが走る。

「基金は民間契約の集合体でございます」

財務官が慎重に言う。

「国家の監督下にある」

王太子は強く言い切る。

だが。

老王は沈黙していた。

――――

屋敷。

「正式通達が届きました」

執事が書状を差し出す。

“国家経済再編計画への参加を求める”

わたくしは静かに目を通す。

「参加、ですのね」

「拒否すれば?」

「対抗措置が予想されます」

税制変更。

規制強化。

許可制の再導入。

王家が持つ“形式的権力”の総動員。

わたくしは微笑む。

「構いません」

「……」

「王家は最後の手段を選びました」

一拍。

「ならば、こちらも最後の手段ですわ」

――――

翌日。

王都基金評議会、緊急会議。

全主要商人、貴族、金融関係者が集まる。

わたくしは静かに告げる。

「国家経済再編計画が提示されました」

ざわめき。

「強制ですか?」

「形式上は協議」

「実質は?」

「従属」

沈黙。

わたくしは続ける。

「基金は民間契約の集合体です」

一拍。

「国家機関になれば、信用は政治に左右されます」

商人たちの表情が変わる。

信用が政治に従属する。

それは最大の不安定。

「選択は皆さまに委ねます」

わたくしは一歩下がる。

命令はしない。

強制もしない。

ただ、事実を提示する。

沈黙の後。

最初に立ち上がったのは老舗商会の主。

「基金を維持すべきだ」

次に大貴族。

「我が家も同意する」

次々に賛同の声。

強制ではない。

だが総意。

――――

その日の夕刻。

王城へ正式回答が送られる。

“基金は現行制度を維持する”

王太子はそれを読んで立ち上がる。

「反逆だ!」

老王が静かに言う。

「違う」

「何が違う!」

「彼らは選んだのだ」

沈黙。

王太子は理解する。

命令は出せる。

だが。

商人が従わなければ、経済は止まる。

止める覚悟があるのか。

王太子は答えられない。

――――

夜。

王太子が単独で屋敷を訪れる。

護衛も最低限。

顔には怒りも疲労もない。

ただ決意。

「……これ以上は国を割る」

「割りませんわ」

わたくしは穏やかに答える。

「王家は象徴であり続ければよろしい」

「私を飾りにするのか」

「違います」

一拍。

「市場を止めないでいただきたいだけ」

王太子は沈黙する。

「お前は、私を倒す気はないのか」

「ございません」

「ではなぜここまで」

わたくしは静かに言う。

「婚約破棄の日、わたくしは自由を得ました」

一拍。

「自由を守るために制度を作っただけ」

王太子は長く息を吐く。

理解した。

これは復讐ではない。

権力欲でもない。

ただ。

徹底した合理。

――――

翌朝。

国家経済再編案は“再検討”に変更される。

事実上の撤回。

王都は平穏。

商人は動く。

税は納められる。

王城も機能する。

ただ一つ。

明確になった。

王家は命令できる。

だが市場を動かすことはできない。

婚約破棄された令嬢。

王位は拒否。

国家接収も拒否。

だが。

誰一人、反逆者と呼べない。

王都の安定を壊さず。

王家を倒さず。

ただ。

選ばれ続けている。

それが、最終的な支配。

そして。

王家の最後通告は。

静かに、力を失った。
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