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37 狂笑
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37 狂笑
朝日は容赦なく昇った。
祝福でもなく、罰でもない。
ただ、世界が続いているという事実だけを告げる光だった。
ヴェインの瞳は、どこか焦点を失っていた。
唇は乾ききり、ひび割れ、血が滲んでいる。
それでも彼は、空を見上げていた。
まるでそこに玉座があるかのように。
「……は」
喉から漏れた音は、笑いの名残だった。
それは最初、小さかった。
乾いた空気に溶ける程度の、かすかな笑い。
だが、次第に大きくなる。
「はは……」
肩が震える。
痩せた体が揺れる。
「ははは……はははは……」
声が荒野に響く。
誰もいない大地に、王の宣言のように。
「分からぬのだ……」
笑いの合間に、呟きが混じる。
「世界は……私を中心に回っている」
それは確信だった。
いや、確信でなければならなかった。
廃嫡も、破門も、追放も。
すべては誤りだ。
一時的な狂いだ。
やがて修正される。
自分が王であるという真実に、世界が戻る。
「愚かなのは、あいつらだ」
国王。
教会。
民衆。
そして聖女。
「私を理解できぬとは……」
笑いが膨らむ。
荒野に反響する。
「わはははは……!」
声が裂ける。
だが止まらない。
笑いは高く、長く、空へ向かって放たれる。
その音は、どこか壊れていた。
かつて王宮で響いた高貴な笑みとは違う。
威厳も、余裕もない。
ただ、何かにしがみつくような笑い。
「私が世界の王だ!」
宣言する。
何度でも。
荒野が王国であるかのように。
風が吹く。
強く。
乾いた砂を巻き上げる。
彼の笑い声を、少しずつ削っていく。
「はは……は……」
声がかすれる。
喉が震える。
だが彼はまだ笑う。
笑い続ける。
それ以外に、自分を保つ方法がないからだ。
怒りは消えかけていた。
呪詛も力を失っていた。
残ったのは、空虚。
その空虚を埋めるのは、狂った笑いだけだった。
「わははははは……!」
荒野に響く。
空に投げつける。
だが空は広い。
音は吸い込まれる。
誰も答えない。
笑いは、次第に短くなる。
息が続かない。
胸が焼ける。
視界が揺れる。
それでも彼は、最後まで笑おうとする。
王である自分を演じるために。
だがその声は、次第に風に混ざる。
砂が舞う。
音が途切れる。
笑いは、風に削られ、かき消されていく。
荒野は、何もなかったかのように静まる。
そこに玉座はない。
冠もない。
ただ、風だけが吹いていた。
朝日は容赦なく昇った。
祝福でもなく、罰でもない。
ただ、世界が続いているという事実だけを告げる光だった。
ヴェインの瞳は、どこか焦点を失っていた。
唇は乾ききり、ひび割れ、血が滲んでいる。
それでも彼は、空を見上げていた。
まるでそこに玉座があるかのように。
「……は」
喉から漏れた音は、笑いの名残だった。
それは最初、小さかった。
乾いた空気に溶ける程度の、かすかな笑い。
だが、次第に大きくなる。
「はは……」
肩が震える。
痩せた体が揺れる。
「ははは……はははは……」
声が荒野に響く。
誰もいない大地に、王の宣言のように。
「分からぬのだ……」
笑いの合間に、呟きが混じる。
「世界は……私を中心に回っている」
それは確信だった。
いや、確信でなければならなかった。
廃嫡も、破門も、追放も。
すべては誤りだ。
一時的な狂いだ。
やがて修正される。
自分が王であるという真実に、世界が戻る。
「愚かなのは、あいつらだ」
国王。
教会。
民衆。
そして聖女。
「私を理解できぬとは……」
笑いが膨らむ。
荒野に反響する。
「わはははは……!」
声が裂ける。
だが止まらない。
笑いは高く、長く、空へ向かって放たれる。
その音は、どこか壊れていた。
かつて王宮で響いた高貴な笑みとは違う。
威厳も、余裕もない。
ただ、何かにしがみつくような笑い。
「私が世界の王だ!」
宣言する。
何度でも。
荒野が王国であるかのように。
風が吹く。
強く。
乾いた砂を巻き上げる。
彼の笑い声を、少しずつ削っていく。
「はは……は……」
声がかすれる。
喉が震える。
だが彼はまだ笑う。
笑い続ける。
それ以外に、自分を保つ方法がないからだ。
怒りは消えかけていた。
呪詛も力を失っていた。
残ったのは、空虚。
その空虚を埋めるのは、狂った笑いだけだった。
「わははははは……!」
荒野に響く。
空に投げつける。
だが空は広い。
音は吸い込まれる。
誰も答えない。
笑いは、次第に短くなる。
息が続かない。
胸が焼ける。
視界が揺れる。
それでも彼は、最後まで笑おうとする。
王である自分を演じるために。
だがその声は、次第に風に混ざる。
砂が舞う。
音が途切れる。
笑いは、風に削られ、かき消されていく。
荒野は、何もなかったかのように静まる。
そこに玉座はない。
冠もない。
ただ、風だけが吹いていた。
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