もふもふ浄土は浪の下の都にない

的射 梓

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毒花は薬湯に沈む ※

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 伶莉れいりさまに抱かれたまま、だいぶ長いあいだ揺られていた。
 伶莉さまはわたしを抱いたまま、山の上の林道をとおっておやしろに入っていった。

「んぅ……!!」

 体がおかしい。熱く火照ってどうしようもない。
 きっと、あいつら・・・・に変なものを飲まされたせいだ。
 揺れて服が敏感なところにこすれただけで、そこがじりじりとしびれてしまう。
 ただ伶莉さまに支えられているところだけがあたたかくて、ほっとする。

 なのに、もっと熱くて息だってくるしくなってくる……!
 ううん、ただ体がおかしいだけじゃなくって、そこらじゅうもや・・がかかってきた。
 伶莉さまが、そっと床にわたしを下ろす。

「ノノ、おまえの体を清める。脱がすぞ」

 しゅるりとはかまの帯をほどかれる。
 あわせの白衣をえりから左右に広げられてく。
 それでも、襦袢じゅばんだけはってどうしても手でおさえてしまう。

「それ以上は、だめ……んっ!……です」

「濡れるぞ」

「濡れたら……はぁ、伶莉さまの貸して、ください。はぁ、ごめんなさい」

「ノノの体には大きいと思うのだが、承知した」

 そう言うと伶莉さまは急ぎ足で出て行ってしまう。
 すぐ戻ってくると分かってても、じっと伶莉さまの背中を追ってしまう。
 ううん、じっとなんてしていられなかった。

「あ……う」

 ばくばくと心臓が波打っておちついていられない。
 どうしてもどうしようもなくなって、でもどうしていいかわからない。
 ごろんと寝返りをうつけど、体にまとわりつく熱はもっとひどくなった。

「伶莉……さま……っん!」

「ノノ! 待たせたな」

 ようやく迎えにきてくれた伶莉さまに飛び込むように抱きついた。
 伶莉さまに抱きかえしてもらうと、ふわりと体が宙に浮いた。
 どれだけ抱きついても抱きつきたりなくって、腕を何度も伶莉さまにまきなおしてしまう。
 体がこすれてもどかしくなるけれど、それでも前よりは落ち着いた。

 伶莉さまにただしがみついていたら、彼がしゃがむのに次いでざぱんと体が池につかった。

「あっ! あったかい……」

 池なのに、あたたかかった。
 あたたかくって落ちつく。

 だから、帯のない襦袢が流されて開いてるのに気づいてなかった──

「!! ノノ、これは!?」

「やっ……」

 押さえようとするけれど、それより速く伶莉さまに襦袢を開かれる。
 閉じようとしたって、伶莉さまの力にはかなわなかった。

 伶莉さまに、見られちゃった──

 伶莉さまがそれを、憎々しげににらみつける。
 体に浮かび上がった、毒の花みたいなあざ・・。一つ二つじゃない。

「あいつらにやられたのか!?」

 伶莉さまの勢いが怖くて、なかなかお返事できない。

「そう、です」

「いつも優しくて頼りになる家族だと言っていただろう。何があった?」

 やっぱり、いつもの森に行くと遊んでくれてたあのキツネの子が伶莉さまだったんだ……。
 そう分かるとすこし落ちつく。

「優しくて頼りになる家族『だといいな』って。思ってたんです。わたしががんばればそうなるかなって。大人しくしてたらそのうち優しくなるかなって……でももう家族だなんて思ってない」

「やはりあのときに殺しておけばよかった……!!」

 伶莉さまの栗色の目が、怒りに揺れているのが分かる。

(ううんそうじゃない。伶莉さまにそうして欲しいんじゃない)

 伶莉さまにあいつらが殺されたってかまわない。
 けれど、生きていたって気にしない。
 でも──

「あいつらじゃなくて、わたしのこと見てください」

「ノノ」

「はい。……あっ」

 お湯に浮いたわたしの体に、伶莉さまのくちびるが落ちた。
 あざのところを舌で舐めとられる。むずがゆいけれど痛くない。
 お湯が波打つたびに伶莉さまを強く感じて、胸から息が押しだされた。
 かえすがえすあざを舐めとられるうちに、あざの違和感が引いていく。

「まだ我の力の及ぶ範囲でよかった。ノノを綺麗にできる」

 ふとあざを見おろすと、あざのあったところはすこし薄くなってた。

(かわいい……)

 滅多にしてくれなかったけど、落ち込んでるときとかキツネ姿でぺろぺろ舐めてくれたのを思いだして胸がきゅんとする。
 今は立派なちょっとコワモテのお兄さんだけど、おもかげは残ってる。

「全部消えたな。綺麗になった」

「ありがとうございます」

「そんなにかしこまらなくてもいい。ノノは我の妻なのだから」

 ほほえんだ伶莉さまを見るとわたしもうれしくなる。
 そしたら、今度は伶莉さまの顔が近づいてきた。
 どきっとして目を閉じる。くちびるに、何か当たった。

「あっ」

 ぱちりと目を開けたら伶莉さまが近くって顔よこにそむけた。
 唇のなにか当たったところを、指でなぞってみる。
 なぞってみるけど、まだよく分からない。

 伶莉さまの影がなくなったと思うと、おなかを舐めとられる。
 ぬるっとした感覚に体がはねて、お湯に波が立った。

「!! ごめんなさい」

「このくらい平気だ」

 そしたら伶莉さまに、腰が水面にあがるまで足を持ち上げられた。
 それだけじゃなくなんでか急に体が軽くって、水面にぷかぷか浮く。
 はずかしい、だけじゃなくて波が変なところに当たってくすぐったい。

「ふあっ!!」

 足のあいだの一番敏感なとがりに、ぬるっとしたものが載せられる。
 それだけでふるふるっと体がふるえた。
 あそこの上の弱いところ、舌をのっけるようにしてぺろぺろと舐められるだけでくすぐったさよりもう少しおさえきらない感覚がのぼってくる。

「伶莉さま、大丈夫、そこ、なおりすぎて変なっちゃう」

「大丈夫じゃないんだ。ノノ、もう少し我に任せてくれ」

「分かり、まひ、……ん!!」

 もともと敏感だったところがはれぼったくなってもっと感覚が強くなる。
 波うつ水面に揺られながらゆっくりゆっくりと舐めとられてく。
 おだやかに安らぐような調子で舐めとられてるのに、しだいに体の熱が高まってくのだけ感じてた。

 なのに、急に膨らんでるところを唇ではさまれた。
 そのまま吸いだされる! 苦しいくらい気持ちよいのが走って、ぴんと体が伸びた。

「ひゃあっ、あう!」

「大丈夫か?」

「はぃ……」

 伶莉さまが離してくれても、軽すぎる体はお湯にたぷたぷと浮いたまま。
 お湯の中から抱き上げられて、池のふちに寝かされた。
 背中には、土間のわらよりずっとフカフカでチクチクしなくて温かいものが敷かれてた。

「続けるぞ」

「ん、がんばります……」

 まだぜんぜん胸の高鳴りはおさまらない。
 伶莉さまに敏感にされたところも熱もったまま。

「綺麗だな。よく開いているがもう少しだ」

「伶莉さま、なおしてくれたから」

「そことは違うぞ」

 すると伶莉さまにあそこを指でさぐられる。
 驚いて首下をみた。そしたら足のあいだにいたはずの伶莉さまは首元くらいまできてて、おなかにそのかたい胸板があたる。
 あったかい……! 肩にうでまわしてぎゅっと抱きついてしまう。

「しあわせです……」

「それはよかった。ノノが良いなら、そうしていろ」

(お母さんが死んじゃって以来だ。こういう風に甘えられるの)

 ぎゅうっと抱き着くけど、伶莉さまは力づよくて止めらんない。
 伶莉さまが動くと体がこすれて、もどかしさに変な声がもれた。

「ぅ……ん……っ」

 ぴちゃぴちゃと胸の先をなめられてくすぐったい。
 見ると伶莉さまに吸われていて、キツネみたいって胸がとくんと鳴る。

 お湯から上がったのにじわりと奥から潤んでくるの、伶莉さまの指ですくわれた。

「よく濡れているな」

「へん……?」

「安心して良い。ノノを嫁にするには濡れていたほうが良い」

「うん……」

 もっと奥まで指でさぐられる。自分のなかに指が入ってくるのが落ちつかない。
 落ちつかないけど、伶莉さまだからって信じた。
 何度もなであげられて、もっと奥の方のあるとこにそっと触れられたらじりじりとしびれた。

「ん……っ!」

 どうしていいかわかんなくて、伶莉さまにしてもらうばかりになる。
 どうしていいかわかんないけど、でも伶莉さまに腕まわしてると安心する。

 胸も体のなかもそのうえの弱いところも怜悧さまにいっぱいにとろかされて、きゅうって奥からいろいろなものがあふれてくる。
 なかがほぐれるたびに指を足されてもっと広げられた。
 慣れるたびに指が足されて、違和感がつよくなる。
 それでも怜悧さまならって思うと体のこわばりが解けた。

「あっ……くすぐったい、くすぐったすぎ……んっ」

 あちこち愛でられてひくひくと体がふるえる。
 もっともっと──
 怜悧さまがくれるばかりじゃなく気持ちよくなりたいって疼いて止まらない。
 火照りきったところでふくれた一番弱いところを強く押されて、目の前がまっしろになった。

「ひぁあ、あ……!!」



 怜悧さまが手を洗い流したり口ゆすいだりしてるのを、不安になりながら見ていた。
 でも、すぐに戻ってきてくれて、横に寝てくれる。
 ころんと寝返りをうって怜悧さまの横に行く。

「大丈夫か、ノノ」

「のぼせた、かも」

「ん?」

 ひたいに怜悧さまのひたいをこつんとされて、すこし落ち着いてたのにまたどきどきする。

「そろそろ上がるか」

「はい」

 お社のなかに戻ったら、襦袢じゅばんだけ着せてもらった。
 怜悧さまのだからぶかぶかだけど、でもちょっとしあわせで、そしてちょっとはずかしい。
 また抱き上げられて、お社のどこかに連れてかれる。
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