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ヤモリンの音楽
ヤモリンの音楽
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ある家にヤモリの家族が住んでいました。
ヤモリとは、家のかべやまどにくっついて夜になると歩き回ってくらしている、トカゲの形をしたいきものです。
ヤモリ家族の末っ子のヤモリンは、いつも変わらない生活にたいくつしていました。
「あーぁ、まいにちお昼寝して夜に家のかべを歩くだけの生活なんて、つまらないなぁ。」
ヤモリンがそう言っているのを聞き、ヤモノスケ父さんは言いました。
「がまんしなさい。われわれは、この家を悪い虫からまもっているけれど、この家から守られてもいるんだ。この家からはなれると、守ってくれるものもないしあぶないぞ。」
「うん。分かりました、お父さん。」
ヤモリンは、お父さんにはさからえずにしぶしぶそう返事をしましたが、がまんしろと言われたらよけいに家の外をたんけんしてみたくなりました。
ある日のお昼、みんなが家の天井うらでお昼寝しているすきに、ヤモリンは家のまわりの草むらにはいっていきました。
「うわぁ、すごいなぁ。家の外って、こんなふうになってるんだ。」
みどりいろのバッタ、きいろのヒマワリ、あかとくろのテントウムシ。
ヤモリンのはじめてみるものばかりです。
「ギーッ、チョン、ギーッ、チョン。」
ヤモリンのはじめてきく鳴き声も草むらにはあふれていました。
その声の方をさがしてみると、みどりいろをした大きな虫がいました。
「ねぇ、その音はどうやって出してるの?」
ヤモリンは、声をかけました。
「うわぁ、ト、トカゲェ!」
その虫はにげようとしたので、ヤモリンはあわてて言いました。
「トカゲじゃないよ。ヤモリのヤモリン。」
その虫は言いました。
「ヤモリ?そういえば、見たことのない平べったい足をしているね。」
ヤモリンは言いました。
「この足をつかって家のかべにくっついているんだよ。きみの名前は、何ていうの?」
その虫は言いました。
「ぼくの名前はキリギリスのチョン太。ここで音楽をかなでてるんだ。音楽がうまくなったらかっこよくなれるんだよ。」
ヤモリンはたずねました。
「その音楽は、どうやってかなでてるの?」
チョン太は言いました。
「見てよ。こうやって、羽をこすりあわせているんだ。」
『ギーッ、チョン』と、どこまでもひびく大きな音が出ました。
ヤモリンは言いました。
「いいなぁ、かっこいい。」
そして、残念そうに言いました。
「ぼくには羽がないから、音楽をかなでることができないんだ。」
すると、チョン太は言いました。
「君には、家のかべにくっつくことのできる足があるじゃないか。それは、この草むらではだれももっていないし、すごいよ。」
ヤモリンは足をほめられたのははじめてだったので、うれしい気持ちでチョン太と別れました。
さらにしげみに入り池の近くにさしかかると、また鳴き声が聞こえてきました。
「クワッ、クワッ、クワッ。」
声のぬしをさがすと、小さなアマガエルがいました。
ヤモリンは、声をかけました。
「ぼくは、ヤモリのヤモリン。ねぇ、君はどうやって声を出しているの?」
そのアマガエルは言いました。
「見ててよ。こうやってほっぺたをふくらますんだ。」
ほっぺたをふくらまして、『クワッ、クワッ』と声を出しました。
これなら自分にもできそうだと思い、ヤモリンはほっぺたをふくらまそうとしました。
しかし、うまくいかず、かわりにのどから『キュー、キュー』というかわいい音が出ました。
アマガエルは言いました。
「その声もいいじゃん、かわいい。」
その時です。
「ワンッ、ワンッ」
二匹の鳴き声につられて、ヤモリンのはじめて見る、大きな動物が走ってきました。
「い、犬だ。逃げろぉ!」
アマガエルはとびあがって、池に『ポチャン』とはいっておよいでいきました。
しかし、ヤモリンはおよげません。
あたりをみわたすと、近くに大きな木がありました。
ヤモリンは、いのちからがら木をのぼっていきました。
ヤモリンはいつも家のかべを歩いているので木のぼりは得意でしたが、犬は木をのぼれません。
木の下で『ワンッ、ワンッ』とくやしそうにほえていました。
木の枝までのぼった時、あかとくろの鳥に声をかけられました。
「あら、こんなところにヤモリとはめずらしいね。どうしたの?」
ヤモリンが、それまでのいきさつをはなすとその鳥は笑って言いました。
「それは、ぼうけんだったわね。わたしは、あの家のツバメ。あの家まで運んであげる。」
ツバメの背中に乗せてもらって、ヤモリンはぶじに家に帰れました。
その日からです。
「キュー、キュー、キュー。」
ヤモリンは夜になると自分のかわいい音楽をかなでるようになったのでした。
ヤモリとは、家のかべやまどにくっついて夜になると歩き回ってくらしている、トカゲの形をしたいきものです。
ヤモリ家族の末っ子のヤモリンは、いつも変わらない生活にたいくつしていました。
「あーぁ、まいにちお昼寝して夜に家のかべを歩くだけの生活なんて、つまらないなぁ。」
ヤモリンがそう言っているのを聞き、ヤモノスケ父さんは言いました。
「がまんしなさい。われわれは、この家を悪い虫からまもっているけれど、この家から守られてもいるんだ。この家からはなれると、守ってくれるものもないしあぶないぞ。」
「うん。分かりました、お父さん。」
ヤモリンは、お父さんにはさからえずにしぶしぶそう返事をしましたが、がまんしろと言われたらよけいに家の外をたんけんしてみたくなりました。
ある日のお昼、みんなが家の天井うらでお昼寝しているすきに、ヤモリンは家のまわりの草むらにはいっていきました。
「うわぁ、すごいなぁ。家の外って、こんなふうになってるんだ。」
みどりいろのバッタ、きいろのヒマワリ、あかとくろのテントウムシ。
ヤモリンのはじめてみるものばかりです。
「ギーッ、チョン、ギーッ、チョン。」
ヤモリンのはじめてきく鳴き声も草むらにはあふれていました。
その声の方をさがしてみると、みどりいろをした大きな虫がいました。
「ねぇ、その音はどうやって出してるの?」
ヤモリンは、声をかけました。
「うわぁ、ト、トカゲェ!」
その虫はにげようとしたので、ヤモリンはあわてて言いました。
「トカゲじゃないよ。ヤモリのヤモリン。」
その虫は言いました。
「ヤモリ?そういえば、見たことのない平べったい足をしているね。」
ヤモリンは言いました。
「この足をつかって家のかべにくっついているんだよ。きみの名前は、何ていうの?」
その虫は言いました。
「ぼくの名前はキリギリスのチョン太。ここで音楽をかなでてるんだ。音楽がうまくなったらかっこよくなれるんだよ。」
ヤモリンはたずねました。
「その音楽は、どうやってかなでてるの?」
チョン太は言いました。
「見てよ。こうやって、羽をこすりあわせているんだ。」
『ギーッ、チョン』と、どこまでもひびく大きな音が出ました。
ヤモリンは言いました。
「いいなぁ、かっこいい。」
そして、残念そうに言いました。
「ぼくには羽がないから、音楽をかなでることができないんだ。」
すると、チョン太は言いました。
「君には、家のかべにくっつくことのできる足があるじゃないか。それは、この草むらではだれももっていないし、すごいよ。」
ヤモリンは足をほめられたのははじめてだったので、うれしい気持ちでチョン太と別れました。
さらにしげみに入り池の近くにさしかかると、また鳴き声が聞こえてきました。
「クワッ、クワッ、クワッ。」
声のぬしをさがすと、小さなアマガエルがいました。
ヤモリンは、声をかけました。
「ぼくは、ヤモリのヤモリン。ねぇ、君はどうやって声を出しているの?」
そのアマガエルは言いました。
「見ててよ。こうやってほっぺたをふくらますんだ。」
ほっぺたをふくらまして、『クワッ、クワッ』と声を出しました。
これなら自分にもできそうだと思い、ヤモリンはほっぺたをふくらまそうとしました。
しかし、うまくいかず、かわりにのどから『キュー、キュー』というかわいい音が出ました。
アマガエルは言いました。
「その声もいいじゃん、かわいい。」
その時です。
「ワンッ、ワンッ」
二匹の鳴き声につられて、ヤモリンのはじめて見る、大きな動物が走ってきました。
「い、犬だ。逃げろぉ!」
アマガエルはとびあがって、池に『ポチャン』とはいっておよいでいきました。
しかし、ヤモリンはおよげません。
あたりをみわたすと、近くに大きな木がありました。
ヤモリンは、いのちからがら木をのぼっていきました。
ヤモリンはいつも家のかべを歩いているので木のぼりは得意でしたが、犬は木をのぼれません。
木の下で『ワンッ、ワンッ』とくやしそうにほえていました。
木の枝までのぼった時、あかとくろの鳥に声をかけられました。
「あら、こんなところにヤモリとはめずらしいね。どうしたの?」
ヤモリンが、それまでのいきさつをはなすとその鳥は笑って言いました。
「それは、ぼうけんだったわね。わたしは、あの家のツバメ。あの家まで運んであげる。」
ツバメの背中に乗せてもらって、ヤモリンはぶじに家に帰れました。
その日からです。
「キュー、キュー、キュー。」
ヤモリンは夜になると自分のかわいい音楽をかなでるようになったのでした。
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