いっき童話作品集

いっき

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ぼくのきょうりゅう

ぼくのきょうりゅう

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「すごぉい、きょうりゅうだ」
もとくんのいえに、きょうりゅうがかざられていた。
「おとうさんに、かってもらったんだ」
 もとくんは、えっへんととくいそうなかおをした。それはティラノサウルスのプラモデル。すごくかっこよくて、うらやましかった。

「あーぁ、きょうりゅう、ほしいなぁ」
 ぼくがへやでつぶやくと、
「ここにいるよ」
 とってもちいさなこえがきこえた。
「えっ、だれ?」
 キョロキョロとあたりをみまわした。
「ここだよ」
 こえがしたほうのかべをみると、ちいさなヤモリがくっついていた。
「あれ、ヤモリ?」
 すると、ヤモリはめだまをキョロつかせた。
「いまはそうよばれてるけど、ぼくのごせんぞさまはきょうりゅうだったんだぞ」
 そのこえはとくいそうになった。
「え、みえない」といいそうになったけど、ヤモリのおかおがちょっときょうりゅうみたいにみえたから、やめておいた。
「そうなんだ。すごぉい」
 そういうと、ヤモリはうれしそうになった。
「せなかにのりなよ。どこでものぼれるんだ」
「えっ、せなかになんて、のれないよ」
「だってちいさいし」といおうとしたけれど。
「のれるよ。ほら」
 かべをおりてきたヤモリは、さんりんしゃよりおおきかった。
「え、どうして……」
「ほぉら、のりなよ」
 いわれるままにせなかにのると、ヤモリはせなかをゆらしながらはしって、つみきのおしろをペタペタとのぼりはじめた。
「うわぁ、すごぉい」
 ちいさいはずのつみきがとてもおおきくて。ほっぺにあたるかぜがきもちよかった。
「つぎは、かべにのぼるよ」
「えっ、かべ?」
 すると、ヤモリはするするとかべをのぼりはじめた。したをみると、つみきがとってもちいさくて。ぼくはおもわずさけんだ。
「こわいよ、こわいよぉ!」

「たつや、おきなさい。たつや!」
 おかあさんにゆらされて、めがさめた。
「あれ、きょうりゅうヤモリは?」
 すると、おかあさんはにっこりとわらった。
「なぁに、ねぼけてるの。ほら、プレゼント」
「わぁ、きょうりゅうのほんだ」
 ぼくはむちゅうで、ほんをめくった。
「きょう、たつやのおたんじょうびでしょ」
「やったぁ。おかあさん、ありがとう」
 ほんにのっているきょうりゅうをみると、どこかヤモリににていて。やっぱりきょうりゅうって、ヤモリのせんぞなんだとおもった。
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