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今日こそ弘海に謝ろう。そして病気のことを聞こう。弘海のことが心配で眠れない。
学校で弘海を探すが見当たらない。
今日で弘海を見なくなって二日目だ。
何かあったんだろうか。俺まで具合が悪くなってくる。
あそこにいるオメガ…。弘海の友達だ。
「あの、ちょっと良いか?」
「え?ほ、宝来くん?何?」
「水越の姿が見えないんだけど…。」
「弘海?」
「ああ。」
オメガの顔が一瞬曇った。
え?まさか…。やめてくれ。
「み、水越は具合でも悪いのか?」
「具合が悪いと言うか…。」
「ヒートだよ。」
後ろから怒ったような声が聞こえて振り返った。
この男も弘海がいつもいるオメガの友達だ。
「ヒート…。」
「そう。僕たちはオメガだからね。君たちに迷惑をかけないようにヒートの間は休むんだよ。こうやって休んだって君たちは嫌味を言うけどね。」
俺は何も言えず項垂れた。
心配で弘海の家の最寄り駅まで来てしまった。
ヒート…。発情期のことだろ。
弘海はどうしてるんだろう。まさかアルファと?
そんなことを考えながら弘海の家に向かって歩いているとふわりとフェロモンを感じた。
これは…、弘海のフェロモンだ!
家までまだ少し距離があるのにこんなところまでフェロモンが漏れ出しているのか?
周りを見渡すが他の人たちは気付いていないようだ。
みんなベータかオメガなのか?
いや、前を歩いている男はアルファだし、今すれ違った女もアルファだ。
気付いていない?
弘海の家の前まで来るとはっきりとフェロモンを感じる。
そのフェロモンは苦しそうに耐えていた。
弘海が苦しんでいるのか…。
俺が側にいてやりたい。いや、俺なんて向こうがお断りだろう。
こんな苦しそうで辛そうなフェロモン。発情期は本当に辛いんだな。
俺は弘海の家の前に立ち尽くして泣いていた。
♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎
五日経って弘海は学校に来るようになった。
結局俺は毎日弘海の家に様子を見に行ってしまった。
様子を見にと言ってもただ家の近くでぼーっと突っ立っていただけのまるで不審者だ。
そんなことよりとにかく弘海に謝らないと。
「水越、ちょっといいか?」
「宝来くん?な、何?」
弘海の腕を掴んだ途端、ふわりとフェロモンが広がった。
「おい、水越。発情期終わってないのか?」
「え?終わったよ。ていうか何で知ってるの?」
「まだ匂うぞ。」
「ほ、本当?」
弘海は自分の腕を匂いを嗅いでいる。
辺りにはふわふわと弘海のフェロモンが漂っている。
こんなに良い匂いをさせて…。このままじゃ危ない。
俺は上着を脱いで隠すように弘海の頭にかけた。
「え、ちょっと⁉︎何?」
「医務室行くぞ。これじゃあまずい。」
「え?え?ちょっ…。」
何か言ってる弘海を抱えるようにして大学の医務室に向かった。
「うーん、特にフェロモンは出てないけどねぇ。」
校医が弘海のフェロモンを測定している。
いや、すごい出てるだろ。今だって…。
「ヒートは終わったんでしょ?」
「はい。」
「いや、先生。出てますよ。」
「そう言われても…。あっ!君、番い?そうか!」
「え?」
困惑していた校医は何かを納得している。
「番いは相手のフェロモンに敏感だからね。大丈夫!他の人には感じないから。」
「せ、先生。僕たち番いじゃありません。」
弘海が慌てて否定している。
「あれ!そうなの?てっきり…」
「先生!大変です!」
急に医務室のドアが開いて一人のオメガが飛び込んできた。
「先生!友達がヒート起こしちゃって。」
「ええ⁉︎今どこ?」
「トイレに避難させてます。」
校医はバタバタと準備をしてその生徒と居なくなってしまった。
えっと、どうしよう。水越は発情期は終わってて、俺の勘違いか?
「あの、水越、ごめん。」
「別にいいよ。僕たちよっぽど臭いんだね。」
「違う!臭いんじゃない!むしろ良い匂いで…。」
「は?」
「そうだ!水越、どこか具合が悪いのか?」
「だから、発情期は終わったって。」
「そうじゃなくて、心臓が悪いのかって…。」
弘海は驚いて俺を見ている。
「何で…。誰に聞いたの?」
やっぱりそうなのか。心臓が悪いのか。
血の気が引く。
「聞いたわけじゃなくて…。」
「そうだよ。僕は心臓に持病を抱えてるんだ。宝来くんには関係ないだろ?それともオメガだから早く死ねばいいって?」
「違う、そんな訳ないだろ!心配なんだ。」
「余計なお世話だよ。宝来くんに心配してもらう筋合いはない。」
「おまえになくても俺にはある!」
「はぁ?何言って…」
「好きなんだ。好きだから心配するのは当然だろ?」
学校で弘海を探すが見当たらない。
今日で弘海を見なくなって二日目だ。
何かあったんだろうか。俺まで具合が悪くなってくる。
あそこにいるオメガ…。弘海の友達だ。
「あの、ちょっと良いか?」
「え?ほ、宝来くん?何?」
「水越の姿が見えないんだけど…。」
「弘海?」
「ああ。」
オメガの顔が一瞬曇った。
え?まさか…。やめてくれ。
「み、水越は具合でも悪いのか?」
「具合が悪いと言うか…。」
「ヒートだよ。」
後ろから怒ったような声が聞こえて振り返った。
この男も弘海がいつもいるオメガの友達だ。
「ヒート…。」
「そう。僕たちはオメガだからね。君たちに迷惑をかけないようにヒートの間は休むんだよ。こうやって休んだって君たちは嫌味を言うけどね。」
俺は何も言えず項垂れた。
心配で弘海の家の最寄り駅まで来てしまった。
ヒート…。発情期のことだろ。
弘海はどうしてるんだろう。まさかアルファと?
そんなことを考えながら弘海の家に向かって歩いているとふわりとフェロモンを感じた。
これは…、弘海のフェロモンだ!
家までまだ少し距離があるのにこんなところまでフェロモンが漏れ出しているのか?
周りを見渡すが他の人たちは気付いていないようだ。
みんなベータかオメガなのか?
いや、前を歩いている男はアルファだし、今すれ違った女もアルファだ。
気付いていない?
弘海の家の前まで来るとはっきりとフェロモンを感じる。
そのフェロモンは苦しそうに耐えていた。
弘海が苦しんでいるのか…。
俺が側にいてやりたい。いや、俺なんて向こうがお断りだろう。
こんな苦しそうで辛そうなフェロモン。発情期は本当に辛いんだな。
俺は弘海の家の前に立ち尽くして泣いていた。
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五日経って弘海は学校に来るようになった。
結局俺は毎日弘海の家に様子を見に行ってしまった。
様子を見にと言ってもただ家の近くでぼーっと突っ立っていただけのまるで不審者だ。
そんなことよりとにかく弘海に謝らないと。
「水越、ちょっといいか?」
「宝来くん?な、何?」
弘海の腕を掴んだ途端、ふわりとフェロモンが広がった。
「おい、水越。発情期終わってないのか?」
「え?終わったよ。ていうか何で知ってるの?」
「まだ匂うぞ。」
「ほ、本当?」
弘海は自分の腕を匂いを嗅いでいる。
辺りにはふわふわと弘海のフェロモンが漂っている。
こんなに良い匂いをさせて…。このままじゃ危ない。
俺は上着を脱いで隠すように弘海の頭にかけた。
「え、ちょっと⁉︎何?」
「医務室行くぞ。これじゃあまずい。」
「え?え?ちょっ…。」
何か言ってる弘海を抱えるようにして大学の医務室に向かった。
「うーん、特にフェロモンは出てないけどねぇ。」
校医が弘海のフェロモンを測定している。
いや、すごい出てるだろ。今だって…。
「ヒートは終わったんでしょ?」
「はい。」
「いや、先生。出てますよ。」
「そう言われても…。あっ!君、番い?そうか!」
「え?」
困惑していた校医は何かを納得している。
「番いは相手のフェロモンに敏感だからね。大丈夫!他の人には感じないから。」
「せ、先生。僕たち番いじゃありません。」
弘海が慌てて否定している。
「あれ!そうなの?てっきり…」
「先生!大変です!」
急に医務室のドアが開いて一人のオメガが飛び込んできた。
「先生!友達がヒート起こしちゃって。」
「ええ⁉︎今どこ?」
「トイレに避難させてます。」
校医はバタバタと準備をしてその生徒と居なくなってしまった。
えっと、どうしよう。水越は発情期は終わってて、俺の勘違いか?
「あの、水越、ごめん。」
「別にいいよ。僕たちよっぽど臭いんだね。」
「違う!臭いんじゃない!むしろ良い匂いで…。」
「は?」
「そうだ!水越、どこか具合が悪いのか?」
「だから、発情期は終わったって。」
「そうじゃなくて、心臓が悪いのかって…。」
弘海は驚いて俺を見ている。
「何で…。誰に聞いたの?」
やっぱりそうなのか。心臓が悪いのか。
血の気が引く。
「聞いたわけじゃなくて…。」
「そうだよ。僕は心臓に持病を抱えてるんだ。宝来くんには関係ないだろ?それともオメガだから早く死ねばいいって?」
「違う、そんな訳ないだろ!心配なんだ。」
「余計なお世話だよ。宝来くんに心配してもらう筋合いはない。」
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「はぁ?何言って…」
「好きなんだ。好きだから心配するのは当然だろ?」
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