転生した精霊モドキは無自覚に愛される

suiko

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第一章

~17~

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学院の図書室はそこまで広くはない
と言うのも、学院の所有する書籍数は王国一と言われており、その全てを収める為広大な図書室を一つ造るよりもそれなりの広さの図書室を複数造って置こうと言う考えの為だ。その為部屋辺りの広さは授業用の教室とそう変わらない。

簡単に学院の構造を説明するならば、古いコンクリート造りの三階建ての校舎と白く新しい見た目の四階建てのコンクリート造りの校舎が上から見てL字型に建っており、コンクリート造りの校舎に併設してこれまた見た目の整った三階建ての寮がある。
これらは貴族階級の生徒用にと増築されたものだそうだ。
そしてL字の内側に少し間をあけてコンサートホールや倉庫等がある。倉庫はたまに数が増える。
古い校舎のL字の外側にもスペースがあるが、調理学科の使用する温室や簡易な畑と建築科の使用する資材置き場と実習場があるくらいでそこまで広くはない

それはそうとして、数ある図書室のうちの一室、そこで何故か勉強会のような集まりが出来ていた。


「はぁ~、なるほどねぇ」
「ミーシャ嬢、こちらの問題はこの式で合っているでしょうか」

「何故私に聞くのかね、何度も言うが担任の教師に教えて貰いなさい
私も暇ではないのだよ」

「えぇー、だあってミーシャせんせいの教え方の方がわかりやすいからさぁ」
「僕に勉強を教えられる人はミーシャ嬢くらいしかいないので」
「・・・うん~・・スゥー」

「・・・・」

一人は完全に寝ているので別に関係ないものとして扱うとして、
一人は生徒であるし、一人はプライベートでも関わっている間柄で第二王子ときた
今何時だと思っているのやら、もう外は真っ暗だ。
教室の中は魔法石の照明のおかげで眩しいくらいに明るいが、図書室に残っている人が私達四人しかいない事を思うともう夜遅いのだろう、時計がないのが不便だ。
王国に普及している時計は特殊な魔法石を使ったものであり、日中具と月中具と呼ばれる魔法具セットの物で一日の大体の時間を計る物だ。
大きくはないが携帯出来るほど小さくもなく、希少でそれなりに値が張るので学院では玄関ホールと寮のロビーの二箇所にしかない
ちなみに授業時間や休み時間は砂時計や水時計を使って計っている。
教室の備え付けの砂時計を見ると半分以上が落ちている。寝る時間にはまだ早いといった所だろうか


「まあ良い。わからない所があれば聞け
ライネル・サズワイトはその式で合っている、続けろ」

「ありがとうございます」
「ミーシャせんせー、ここの図のこれってどういう事?」

「どれだ。ああ、布がこうあった時に針はこう、こう動く。わかるか?」

「あー、こう、で、こんな?」

「そうだ」


「ミーシャ嬢、こちらの文章問題ですが、これで合ってるでしょうか?」

「ふむ、合っているが、ここが足りないな」

「あ、すみません ありがとうございます」


「ミーシャせんせー、ここー」

「これは文章のままだ。こう、こうなる」

「へー、なーるほど」





ライネルとメッシュールはお互いに目線のみで牽制し合っていた。
何せミーシャ・フロイライトは人との距離感が多少おかしい
話しをする時、勉強を教える時、
やたら近いのだ。
そこまで近づく必要があるかと思う程には近いのだ。


これが普通の教師と生徒ならば微笑ましい勉強会にしか見えなかっただろうが
この場にいる教師は七歳の少女であり、
生徒は同い年の少年二人と十四歳の成熟した少年だ。
片方は憧れと恋との未だ区別のつかない感情を持て余し、片方は執着地味たねたみを燻らせているような状態。と互いに勝手に認識しあっている
眠っている一人に関しては特に危険視していない、ただの天然バカだ。
たまに素で少女を口説いている事があるが、少女がそういった事に関して鈍いを通り越して達観したような態度でいる為、牽制するだけ無駄と判断している。

無意識の内の感情と意識している感情、それらの感情の狭間にいる少年達としては、
少女の感心を向ける矛先の取り合い
少女が相手と近しい距離にある事から引き剥がそうとする対抗心があった。



ガララッ

「おーい、ミーシャこれやっといたぞ」

「やっと終わったのかね。もう少し早く出来ないのか?」

「無茶言うな。これでも頑張ったんだぞ」

「次はこれだ。やっておけ」


図書室の扉から図々しく、爵位も持たないただの従者という立場であるにも関わらず畏まった態度をとることなく少女を呼び捨てにする灰色の少年

ライネル・サズワイトとメッシュール・ガルパンにとって一番危険視している存在だろう


「ルーク、さんでしたっけ。ミーシャ嬢に失礼ですよ。
ミーシャ嬢も、雇っている者にこのような態度を許してはいけませんよ」
「そーそー、せんせいが良くっても周りからすれば結構目立つよー?」

「周りがどう思おうが構わん、ルークこれは私個人の従者だからな」

「犬扱いすんなよな。ってまだやんのかよ!」

「当然だろう、多く見積ってもあと三年以内には卒業して貰わねば困るのでね」

「わーあったよ!やりゃいーんだろ」

「ライネル・サズワイト、メッシュール・ガルパン
もう夜も遅い、勉強はここまでだ
また明日」



「「おやすみなさい」」


ルークとミーシャが隣合って歩いてる様子は気に食わないが中々様になっている
ミーシャは勿論だが、ルークも何やら見た目と年齢が釣り合っていないような、大人っぽい雰囲気を感じる事がある
ライネルとメッシュールは互いを睨みつけながらもより鋭い目付きで二人の去った扉を見ていた。

「・・・スゥー・・スゥー・・」


存在を忘れられた少年の寝息が図書室に響いていた。











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